姉の金の髪と青い瞳を羨ましいといいずるいずるいという妹と、どうしてずるいといわれるのか理解できない姉、妹がある魔法で姉の色彩を奪い、婚約者の王太子を奪ってから姉は妹に復讐をすることにした。
「どうして私には金の髪と青い瞳がないのですか!」
「いわれても、仕方ありませんわ」
私たちは母違いの姉妹です。父は侯爵。私の母は幼い時に亡くなり、後妻として今の母がきました。
妹ができてから、父と母は妹ばかりをかわいがりました。でも私は二人きりの姉妹で、妹がかわいいと思っていました。
でもいつも茶色の髪と瞳なんていやだと妹がぐずるのです。
私たちは4歳違い、顔立ちは妹もかわいらしいですし、お互いの母に似たので、私たちはまるで似ていません。色彩もそうでした。
だけどあなたはかわいいし、大丈夫よといっても聞かないのです。
「その色彩さえあれば私は完璧なのに!」
「そういわれましても……」
妹はわがまま放題でした。だけど、たった一人の妹です。
私は彼女をかわいがり、愛してきました。
私は十七で王太子殿下の婚約者に選ばれ、その時もずるいずるいと妹は言いましたが、13歳では適齢年齢ではないから仕方ないと私が言うと黙り込みました。
そして2年がたち、私が王太子妃となる日がやってきたのですが……。
「どうして髪の色と目の色がそんな風になったんだ! 呪われているのではないか!」
ある日突然、私の髪と目の色が茶色に変化し、どうあっても元に戻らず、私は殿下に呪われた女といわれ、婚約破棄をされ、実家に戻されることとなったのです。
そして実家に帰った私が見たのは……。
「どうしてあなたが金の髪と青い瞳をしているのです。マリー!」
「あら、エリスお姉さまお久しぶりですわ、私はずっとこの髪と目の色ですわ」
金の髪、青い目をした妹がにやりと笑います。
両親もそうだそうだと頷きます。
なんらかの手を使って、私と妹の色彩を入れ替えたのだと気が付いたのですが……。
色は元に戻ることがなく、妹は殿下の婚約者となり、私はお前を養っては置けないといわれ放り出されることとなったのです。
「……見てなさい」
私は魔法力が高く、魔法使いとして魔法研究所に雇われることになりました。
数年ギルドにいて冒険者をしていましたが、そこにいた魔法使いにスカウトされたのです。
そこで特殊な魔法で色彩を互いに入れ替わるものがあるということを知ったのです。
「……ようやく元に戻りましたわ」
あれから数年、私は魔法を研究し、その魔法を体得しました。
隣国の今は魔法研究所にいます。あんな国いたくなかったからです。
隣国の王太子がちょくちょくここにやってきて、結婚してくれなどとほざきますが、もう恋などはしません。まっぴらごめんです。
「隣の国の王太子妃の髪と目の色がいきなり変わったって、呪われた女の妹は呪われているって、離縁されて実家に戻されたらしいぜ」
「へえ」
王太子が研究所になってきて楽しそうに語ります。
私はやはりねえと思いながら、金の髪をリボンで結い上げました。
「前の色もよかったけど、その色もいいな、魔法で変えられるって便利だな」
「ええ、この色が気に入ってますの」
私はにこりと殿下に笑いかけます。呪われた王太子妃は、実家に戻され、実家も呪われた女を二回も王太子妃にした罪により断罪され、爵位もとりあげられたそうです。
「しかし呪われた女が二人とか、わけがわからん話だな」
「そうですわね」
私にはもう関係がありませんわ、私は殿下に早く王宮に戻らないと怒られますわと笑いかけます。
どこの出などは関係なく、実力さえあればとりあげるこの国らしく、王太子も自由ですわ。
「おい、そろそろ俺と結婚するっていってくれよ」
「結婚の前に婚約ではないですか?」
「なら婚約してくれよ、エリス」
「考えておきますわ」
前の恋の傷がいえたら、この自由な王太子殿下のものとなるのもいいかもしれませんと私はにっこりと彼に笑いかけたのでありました。
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