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8話〜買い物〜


 私の名は水瀬(みなせ)美那(みな)

 国立異能科学研究高校関東校の一年A組を席を置いています。


 同じクラスの早瀬君とは幼馴染みなのですが、悲しい事にここ数年仲良くしてくれません。

 そういう年頃なのでしょうか。

 ちょっぴり悲しいです。


 彼と知り合ったの八歳の頃。

 私が彼の家の隣に引っ越して来たのがきっかけでした。


 そしてその時私は彼に明白に好意を抱いたのです。

 いわゆる、一目惚れというやつでしょうか。

 その日から私の恋は始まりました。


 そしてそのまま異能校まで一緒に過ごして来た私達。

 なんと寮の部屋は隣。

 とても嬉しい。

 けれど同室ではないのが悲しい。


 そんな私と同室になったのは二年生の先輩。

 白い髪に白い肌。

 髪は染めているのか、所々赤くなっていてお洒落に見える。


 彼の名は篝火火織。

 刀の形をした心具を使う異能者の少年。

 異能者としては強い方らしく、先生が言うには搦め手を用いない純粋な火力だけでみたら校内トップだという。

 全四学年の中でも片手には入る程の実力を持っている篝火先輩。


 その先輩は今何をしているかというと……


「土曜の朝だからってだらけ過ぎですよ〜」

「……んぁぁぁ……ん〜」


 ベッドではなく、ソファーで寝ている先輩。

 既に時刻は朝の九時。

 にも関わらず先輩は爆睡している。


 これは仕方のない事だろう。

 昨夜、先輩が寮に帰って来たのは日付を跨いでからだったのだ。


 というのも先輩、その実力の高さから怪異が関わっていると思われる事件の解決に協力する機会が多いのだ。

 先生が言うには昨年度先輩は、学園を通した依頼を96件、薄明組を通した依頼を35件の計131件に関わっている。

 そしてその全ての件で原因となっている怪異を打ち倒しているのだという。


 ちなみに噂では、こっそり受けている依頼もあると言われているので本当の件数はもっと多いと言われていたりする。


 昨日も午後から先輩は怪異関連で出かけていたので、帰宅が日付を跨いでしまったのだ。


「ご飯テーブルの上に置いておきますからね!!」

「……んー」

「ちゃんと聞いているのかな……」


 ソファーで眠る先輩を残して部屋を出る。

 今日は土曜日で学校は休み。

 そんな日に私が向かうのは近くのデパート。

 女子は色々と、入り用なのです。




「……ぁ、ん……っくぁ〜〜〜あーぁ寝た寝た〜」


 俺が起きた時、部屋には俺だけが残されていた。


「……アイツ、どこ行った?」


 ルームメイトであるはずの後輩の姿が見当たらない。

 大方どこかに出かけたのだろうと思っているとテーブルの上の食事が目に止まった。


「……そういや何も食ってねぇな」


 テーブルの上にある二つの握り飯を見て、昨日の昼以来何も食べていない事を思い出した。


 昨日は昼飯を食っていたら呼び出され、怪異関連と思われる事件を調べに行って来いと言われ、行かされたのだ。


 この前の地下鉄の件といい、俺に回される依頼が最近多い気がする。

 報酬もそれなりに貰えるので嫌ではないが、疲れる事は考慮して欲しい。


 にしても、昨日の依頼は不思議なものだった。

 山の方に調べに行ったのだが、そっちの方で最近とある問題が発生しているのだそうだ。

 なんせ怪異のヤバさも桁違いらしく、異能強度がA以上の者に依頼を出しているのだそうだ。

 

 異能強度はS〜Eで基本的には表されており、Eが最低でSが最高。

 因みにCが平均でBならそこそこ。

 Aで化け物レベルとなっている。

 Sはまだ一回しかお目にかかってねぇが、化け物の上のレベル。


 分かりやすく言うと、普通のスポーツの国立大会でメダルや表彰の常連なのがBラン。

 世界大会とかでメダル争いに食い込むのがAラン。

 Sランは世界大会でメダル常連ぐらいのレベルと思っている。


 更に希少で上の存在に、(Xeno)ランというのもある。


 あぁそうそう。

 強ければ高ランクというわけでもない。

 異能の強さ、異能の応用力、戦力としての価値、保有魔力量等を総合して出される。

 例え弱い異能でも、一人しか確認されていない程希少だったら割と高ランクになる。


 そんな勝手に作られたランクの中で俺は一応、暫定的にAとなっている。

 ちなみにいつも一緒にいる牙楽羅も暫定でAになっている。


 暫定というのはまぁ、俺と牙楽羅はいろいろと問題児なのだ。

 去年の高内戦、俺達は全ての試合でエーテル体を使っていない。


 一応学園側の許可は得ているし、やはり生身の体の方が動きやすい。

 それに、腕の一本ぐらいなら落とされても自力で治せるので問題無い。


「にしても美味いな……」


 握り飯を食いながらテレビを点ける。


 テレビでは売れっ子アイドルの熱愛報道とかやっているが、こういうの見ると本当に平和だなぁと思う。


 思いながら依頼の件を思い出す。


(ガキ一人見つけりゃ150万か……)


 依頼内容は怪異が原因と思われる行方不明事件の調査。

 行方不明となっている子を一人見付けるごとに150万が支払われる。


「安いんだから高いんだから分からねぇなぁ……」


 相場で見れば格安だ。

 そもそも怪異関連は非常に危険な事が多い。

 いや、大半が危険と言える。

 いや、安全なのを探す方が大変だ。

 原因である怪異退治はもちろん、神隠しに至っては調査中に神隠しに遭う者も多い。

 呪いの調査では逆に呪われる者もいるし、呪いを拡散してしまう事だってある。


 それに対処できる異能者だって数が少ない。


 ハッキリ言ってリスクの方が圧倒的に高い。

 リターンと言えるのは金ぐらいだ。

 にしても……


「150万かぁ……」


 ただまぁ、今回の依頼はあくまで調査とガキの捜索。

 原因の討伐は入っていないので注意していれば問題はないだろう。

 原因と当たっても逃げれば良い。


 そう思うと


「……妥当な値段か」


 いや、やはり安いか。


「安いよなぁ……でも」


 テレビの中では熱愛報道されたアイドルが、いつかは温かい家庭を作りたいと言っている。


「命に値段って、どうつけりゃ良いんだろうな」


 そう呟きながら皿へと手を伸ばすが、何も掴めない。


「……あ」


 どうやら俺はいつの間にか握り飯を平らげていたようだ。


 さて、どうするかと考えていると生徒手帳に着信。

 誰だと思いきや薄明からだった。


「……んだよ」

「あ、篝火君。良かった繋がって」

「何の用だよ」

「今暇かい?」

「……ぁ〜、まぁ暇だな。暇って言えば暇だな」

「今から出れる?」

「……」

「おーい?」

「……あぁすまん。寝てた」

「起きろ起きろ〜」

「んで、どこに行きゃ良いんだよ」

「近所のデパート」

「近所のデパート……デパートデパート」

「海の見える所の」

「……あぁ、あそこか!!」

「分かった?じゃあ来てね」

「分かった」


 面倒だが、薄明からなら仕方ない。

 さっさと支度して出るとしよう。


 と、さっさと適当な服を着て出ようとした時だった。

 再度の着信。

 相手は俺のよく知る相手。


「……牙楽羅か」

「やっほ〜い。今暇かにゃ〜ん?」

「……殺すぞ」

「いやいや怒らんでよ〜」

「何の用だ」

「悪い悪い。んで、相談なんだけどよ」

「何だよ」


 話しながら部屋を出る俺だったが、その足はすぐに止まる。


「一緒に買い物行かね?」

「……あぁ」


 なんせ目の前に牙楽羅が立っていたのだから。


「そういう事か」


 俺と牙楽羅が動く。

 多分、牙楽羅を呼んだのも薄明だろう。


「こりゃひょっとして、ヤバめか?」

「かーもね〜」


 昨日の疲れを引きずりながら、買い物へと向かう俺だった。

お読みくださり、ありがとうございます。


幼馴染みの水瀬と先輩の篝火書けた〜

わーいわーいわーい


って、篝火君が受けている依頼は割とヘビーなものでしたねぇ。

これも怪異かな?

調査って、結構危険なのよ〜


……まぁ良いか。


ブクマ、星ポイント、本当にありがとうございます。

書くのって、楽しいね!!


次回もお楽しみに!!


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