第8話
げえ!
2次会って・・
カラオケかよ!!
(若いな!)
この人数なので、広いパーティールームに通された。
・・カラオケのパーティールームとか、、、
幼少期に親戚の集まりで来て以来だわ。
(ぶっちゃけ大嫌いだった。音はうるさいし歌わされるし)
「(飲み物は)みんな生でいーよね!?」
姫川様が一応みんなに確認してはいるが、有無を言わせない感じだ。
・・だが、勇気を出して言わなければ。
「あっ!、私は、、コーラで・・」
・・変な空気になりかけたので、すかさず
「仕事中なので・・」
と付け加えた。
「はぁ!?」
案の定、姫川様はご立腹だ。
(無理矢理飲ますのって、今のご時世ギリギリアウトだと思うんだけどなー)
口を尖らせて姫川様が続ける。
「1次会で仕事終了だろ!」
いやまぁ、確かにそうなんだけどね。
・・ってか本音を言うと、
別に飲んでもいいんだけど、、建前上ね。
一回は断っとかないと。
(こんなにたくさん会員様が来てるし)
『この人・・職員なのに普通に飲んでる!
こんな結婚相談所はもう嫌だ!』
って思う人いそうだし。
(↑ちょっと被害妄想)
でも、あとひと押ししてくれたら折れよう。
(さぁ来い!)
「ここまで来て飲まないとか無しですよ!
佐伯さん!」
よし来た!
・・んっ?姫川様じゃない。。
このパーマがオシャレな男性は確か・・
五十嵐様!!
来てたのか!
(↑今まで気付かんかったんかい!!)
「では、一杯だけ」
「よろしい!」
姫川様の機嫌も直ったようだ。
(ひと安心)
無事みんなにお酒が行き渡り、乾杯する。
僕は普段からあまり晩酌などはしないタイプなんだけど、お酒は人並み程度には飲める方だ。
でも、、今日はやけに酔いが回る。
(久しぶりに飲んだからかな?)
まぁ・・周りも結構酔ってるんだけどね。
無理矢理歌わされるんじゃないかと心配してたけど、この大人数だから、それぞれ自分の事でいっぱいいっぱいみたいで助かった。
みんな何とか好みの方の隣に行きたいようで、歌なんかそっちのけだ。
・・でも、この50代ぐらいの男性はずっと歌ってるな。
しかも、、絶え間なく注ぐ愛の歌を歌ってるやん!
(年齢的に演歌を歌うかと思ってました・・←なんか失礼)
2次会の幹事?である姫川様は、
誰かと話してガハハハ笑ったり、
タオルを振り回しながら歌ったり、と忙しそうだ。
僕は何をしてたかというと・・
ずっと誰かの歌を聞いてるフリしながら手拍子してました。
(↑こうしておけば誰とも会話してない寂しい奴だと思われないから楽)
時が経つにつれ、1人帰り、2人帰り・・上村様も帰り・・
(行かないでーー(悲))
気が付けば、僕と姫川様と五十嵐様の3人だけ!
僕もよっぽど途中で帰ろうかと思ったんだけど、、
なんとなく、最後まで居ないといけない気がして・・。
(↑真面目)
3人だけだから、もう誰も歌わずに、ただただ喋ってた。
・・と言っても、
僕は聞いてるだけで、2人が喋ってるだけなのだが。
(↑本当はあんまり聞いてない)
(↑酔ってる)
「ウチ百戦錬磨だから・・」
フフッ、この人、また言ってるよ。
「・・キスできるよ」
・・いやいや、
どこでそんな会話になったんだよ。(笑)
(↑酔ってちゃんと聞いてない)
姫川様が急に立ち上がり、目の前で五十嵐様のほっぺにキスをする。
そして、僕の方に向かってきた。
・・とりあえず、
ほっぺを姫川様に向ける。
(↑酔ってなかったら絶対無理だった)
なーに、海外じゃ挨拶でほっぺにキスするらしいし、
大した事じゃ・・
『むにゅ』
クチビルに柔らかい感触と、あたたかい温度を感じた。
・・
感じた?クチビルに?
何が起こった?
・・いやっ、何が起こったかはわかってる。
キスしてしまった!
(何十年ぶりだよ!)
・・いやっ、違う。
キスされてしまった!
(人生初だよ!)