第4話
今日は新山さんがお休みだから、事前の打ち合わせができない。
・・
不安だ。
そりゃあ、多少慣れては来たけど、、
・・
いやいや、
いつまでも新山さんに頼っていてどうする!
自分の婚活だろ!
自分の運命は、自分で切り開くんだよ!
(利いた風な口をきくな)
〜お客様来店〜
「ども〜婚活に来たものですが〜」
「・・ヒメカワ様、でございますか?」
「とも言い切れない!、、なんつって」
・・
はいキャラ濃いの来たー。
(新山さん助けて)
ポカーンとしてる僕に気付き、お客様が続ける。
「はいヒメカワっすよ」
「あっ・・お待ちしておりました。どうぞこちらへ」
派手目な金髪のギャル。
・・
どう考えても出会い系と間違えてるだろ。
(↑失礼)
「いやっ、マミーがさ、
ウチはいつもロクな男連れて来ないから
ココ行けって言われてw」
「・・そうですか」
別に聞いてないんですが。。
「でもウチ、ぶっちゃけ、
モテないわけじゃないからね。
ウチ百戦錬磨だからw」
「・・そうですか」
いやっ聞いてない。
(意味もあんまりわからない)
(↑うそ。なんとなくわかる)
・・正直、マジで苦手なタイプだ。
ガサツな感じ。
繊細さを微塵も感じない。
とにかく、さっさと終わらせよう。
名前は姫川美久様。20代後半。
・・
いや、名前めっちゃ可愛いな。
・・でもなんかワガママそうな名前だけど。
(↑失礼)
「では姫川様、改めまして私、
本日担当させていただきます佐伯、と申します。
宜しくお願い致します」
「よろ!」
・・ふっ、チャラいな。(苦笑)
「では、ご希望の条件についてですが・・」
「そっすねー、カッコイイ苗字の人とかいる?」
・・ふざけてるわ。
なんとなく空気で感じ取ったのか、姫川様が続ける。
「いやいやっ、結構大事な条件っしょ!
一生その苗字になるかもしれないんだし。
せめてウチの”姫川”くらいは超えてもらわないと。
なんか損した気分になりそう」
「・・そうですか」
多少共感してしまった。
(↑ちょっと悔しい)
・・でも、カッコイイ苗字って言われてもなぁ。
どう検索すれば・・
・・
あっ!
この間接客した五十嵐様とかちょうどいいかも。
(チャラさ加減も含めて)
「こちらの五十嵐様はいかがでしょう?」
「おっ、いいねぇー」
苗字以外の情報をほとんど見ずに答えている気が・・
本当に大丈夫なのか?
なんか危なっかしい人だな。
「では、お見合いの申し込みを行いますか?」
「そっすね、じゃあとりあえず。おねしゃす!」
「・・わかりました」
正直、姫川様は明らかに冷やかしでココに来てるような気がするし、
五十嵐様も、、、決して真面目な人とは言えない。
ここは2人に潰しあってもらうのが得策。
フロマージュのより良い未来のために、
2人には犠牲になってもらおう。
(↑最低)
「さえキングはさ、いつ頃結婚したの?」
唐突に質問されたってのもあるし、
いろいろ考える事が多くて脳内が渋滞した。
さえキングって!!
(まぁ「さえ貴様!」よりはマシだけど)
いやいやそんなことより、どう答える?
・・やっぱ嘘つくのは良くないよな。。
「・・いえっ、独身です」
「えっ!?」
姫川様は心底驚いてるようだ。
「独身でも結婚相談所に勤めていいんだ!?」
「ええ、まぁ」
やっぱそう思うよね〜。
僕もそう思ってたもん。
「そんなんでちゃんと紹介できんの?心配だわ〜」
・・
何か気まずいな。
「すいません。研修中なもので」
胸のバッチを見せる。
「いやいや、関係ないし!
なんならもっと不安になったわ!!」
・・
もっと気まずくなっちゃった・・orz
魔法の言葉が通用しないとは。。。
(新山さん助けて)
「・・」
「しゃあないな〜、じゃあウチと結婚するか?」
「・・ハハ。さて、、
お見合いのお申し込みが完了致しました。
お見合いのお返事が来るまで、
今しばらくお待ちください」
「りょ!」
「・・では、本日はありがとうございました」
「あざした!」
・・やっぱり姫川様は危険だ。
簡単に『結婚する?』なんて言う人と、結婚に真剣な会員様をマッチングするわけにはいかない。
それこそクレームものだ。
やっぱり五十嵐様と早々にくっつけて、退会してもらうのが1番だ。
・・
帰り支度をしながら、
冗談でも初めて言われた逆プロポーズ?に、
他の女性だったら・・・と、
悔やまずにはいられなかった。