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結婚相談所Sプラン  作者: みゃう
17/27

第17話

「皆様真剣に結婚したくてここに来てるんですよ!」


「ウチだって真剣だっつーの!!」


「・・いやっ、真剣さを感じませんね」


「んなもんテメーの主観だろうが!」



主観・・


何気に難しい言葉知ってんだよなぁ。

(もしや東大?)

(↑んなわけ)



・・って感心してる場合じゃないぞ。


まじで一歩も引かないな。


(ああ言えばこう言う)



「っ・・そもそも、

 酔っ払ってケガをするなんて、

 恥ずかしくないんですか」


「・・説教してんじゃねーよ」


姫川様が明らかにいたたまれない顔をしている。


・・もうひと押し!



「しかも、、女性が顔にケガなんて・・」


「・・」



よし!効いてる!!


(ラッシュ!ラッシュ!)



「・・それに、

 両親を『パピー』と『マミー』で登録しないでくださいよ!

 わかりづらいです!」



「・・ってか人のスマホ勝手に見んなし!」



・・やばい。


息を吹き返した。


「じっ・・状況が状況だからしょうがないじゃないですか!」



「・・訴えたらウチが勝つぞ」



姫川様は勝ち誇った顔をしている。



・・くっ!!

(まさかのカウンター!)



・・やっぱり、

姫川様には勝てそうもない。。



・・



お父様には勝ったのに・・

(↑勝ってはいない)



敗北感を噛みしめていたらつい、


言うはずじゃなかった本音がこぼれてしまった。


「めちゃくちゃ心配したんですよ・・」


「!・・」



でもこの一言で、


終始臨戦態勢だった姫川様の態度が変わり、


口調も優しくなった。



「・・別にダイジョブだよ!

 ウチには衛兵・・いや近衛兵がいっぱい居るから!」


「・・」



・・もしかしたら、


ワザとふざけて、仲直りするキッカケを与えてくれたのかもしれない。



・・でも、


ここでふざけられた事に、

僕は少しイラッとしてしまった。



「別にどっちの兵でもいいですよ。

 ってかアナタにそんな兵いないでしょ」


「マジレスすんな!」


「もし居るなら、アナタが転んだ時、

 その兵達は何してたんですか。

 即刻クビにしてください」


「だからマジレスすんなって!」



これにより姫川様も、再度不機嫌になる。


「・・ったく!マジでなんなん!?

 ・・あの日か??」


「・・僕は男です」


「わかってるっつーの!

 冗談だよ!」



・・マジでデリカシーがないわ。


「冗談でも、そういうデリカシーの無い発言はやめてもらえますか?

 ・・やっぱり、アナタみたいな方に、大切な会員様を紹介できません」


「はぁ!?」


「どうせ割り切った相手を探そうとしてるだけなんですよね?

 この間のパーティーでも、隙だらけの軽い感じではしゃいでましたもんね。

 結婚相談所じゃなくて、出会い系を使ったらどうですか?」


「・・・

 マジでざけんなよ」



・・僕は一体何を言ってるんだ?


こんなこと、本当は言いたくないのに・・


止まらない!



「正直言ってアナタって、、

 チャラいを通り越してチョロいんですよね」



「チョロいのはテメーだろ!」



「!・・・・

 とにかく、お引き取りを・・」


「あぁ!?」



「・・もう、、来ないでください」


「っ!クソが!」



姫川様は去っていった。



・・



片付けを終え、奥の事務所に居る新山さんに紙袋を渡す。


「・・これ、姫川様から頂きました。

 皆さんで食べてください」


「どうも。

 ・・

 !これっ・・」



新山さんが何か言ったような気がしたが、


一刻も早く帰りたいので聞こえなかったフリをして、


僕もフロマージュをあとにした。



・・



僕は最低だ。


何も悪い事をしていないお客様に


『もう来ないでください』なんて言う職員がどこにいる?


前代未聞だ。



この事が新山さん達にバレたら、

僕はきっと怒られるんだろうな。


・・いやっ、クビかな。



もしかしたら既に、姫川様から電話でクレームが来てるかもな。



・・まぁ、もはやそんな事はどうでもいい。



自己嫌悪に押し潰されそうだ。



僕は、職員失格だ。

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