王宮トーク
ヴァルミア王国第18代国王リエス・ヴァーミリアンは頭痛に悩まされていた。
父であるレイスの死による国力の低下は著しいもので日々、円卓を囲んで臣下と思案を巡らせ今にも倒れそうな状態である。
「次は軍事力についてだな。よし、わが国の所持する魔法武器はいくつだ?」
王の問いに文官の1人が答える。
「全てを合わせるとおよそ1万基でございます。そのうち一般兵士でも使用が可能なのは8千基です。」
王は頷く、
「まぁ良いだろう。戦力は元からあったからな。しかし、なぜ父は死んだのだ?まだ73年だぞ、早すぎるではないか!」
万能の王と呼ばれた男が寿命で死ぬなどあまりにもあっけない話である。
ありとあらゆる治癒の力をもっていたのだから病気で死ぬことなどありえないし恐らく毒も効かないだろう、延命の魔法すら知っていたはずだ。
「なのに死んだのだぞ、何か不吉なことの前ブレか?・・・いやもう不吉なことは起きてるな、まったく、残された方の身にもなってくれ」
リエスは、決して愚王ではないむしろ才覚ある方だ。
ただ先代があまりにも優れていた、優れ過ぎていたために彼への期待も評価も薄いものとなっていた。
「そう先代を責め立てるなや王様よ」
そう言って、苛立つ王をなだめるのは文官最高職の大臣トリエンダである。
彼は先代からこの国を支えている古株であるために発言力があり、リエスもこの男には頭が上がらない。
「・・・そうだな、すまないトリエンダよ。皆にも悪かった、冷静にいこう、冷静にな。」
そう自分に言い聞かせて会議を続けさせた
「次は先代の遺品だな、アレらが一番厄介だな私としては今すぐでも地下深くに封印してやりたいものだ。どうだ、お前たちの意見も聞こう」
すると、文官たちは一斉に王から目をそらした
「どうした?」
王は目を合わせようとしない文官を疑問に思いつい理由をたずねてしまった。
文官たちは互いに顔を見あい、そして恐る恐る口を開いた。
「あの、その、ですね、先日、王が亡くなられた次の日です、2日前、王の遺品整理を行った者の報告によると・・・・どこにも見当たらなかった、とのことです。」
思考が停止したのはリエス王、トリエンダと数人だった。報告は続く、
「宝物館から消えたのは先代が身に着けていた超級の装飾品と・・・10本の魔法剣です。」
耳を疑うような報せにプチリと何かが切れた音がした次の瞬間、
「ふざけるな!!どれもこれも超厳戒態勢で保管していたではないか!なぜ見当たらなくなるのだ!!」
リエス王は激怒した。
文官たちに当たり散らしても無駄なことだとはわかっているが叫んでいなければショックで意識がとびそうだったからだ。
「国すらも滅ぼす力を持つ13本の魔法剣のうち10本が盗まれたとしてみろ!?戦争だけでは済まされんぞ、何とかして探せ、探し出せ!!」
今日一番の激昂怒号に文官たちは慌てふためき一斉に円卓をあとにした。
先ほどまで市場のように騒がしかった王宮の一室は静寂に包まれ、ただ王の荒い息づかいだけがきこえる。
残ったのはリエスとトリエンダだけであった。
「ハア、ハア、全くなんなんだ、この数日で10年くらい歳をとった気分だ。くそっ!」
リエスは息を乱しながら愚痴をこぼす
「まさかあの魔法兵器が外部へ出てしまったとは、もう騎士団を動かして調査するしかあるまいよ。」
トリエンダは冷静を装っているが声は震えている。
「やむをえまい、どうか何事もなく見つかってくれよ。もうこれ以上は何も起こらないでくれ。たのむ、神よ!」
一国の王が両手を握って天に祈るが、そんな願いも虚しく状況は最悪の方向へところがってゆくのであった。