騎士vs巨人2
もし巨人に意思があるならこう思うのではないだろうか、
なんだこいつらは、これほどまでに力の差があるのになぜすぐに排除できない?
王宮は目前にあるのに腕を振れば届く距離にあるはずなのに、なぜまだ破壊できない?
それどころか半身が破壊されてしまったのだ。守ること、これがこいつらの役目なのか?
騎士たちは考えている。
力の差は決してうまったわけではない、すでに王宮の目前まで押されてしまった。
片腕は吹っ飛ばしたがもう片方の腕を振られるたびに2.3人で全力を尽くして軌道をそらすのがやっとである。
体に当たってしまえば致命傷であろう、これが『命令』によって与えられた役目の力か。
しかし、少しずつ弱点も見えてきた。
「くらえ、火球!」
騎士の1人が火の魔法を詠唱すると体の部分部分が木片でできた体に燃え広がった。
「よし!もとは民家だったんだ、やっぱり燃えた!」
が燃える体は逆にガードを難しくさせる。
「ぐっ、あっつい!」
「まずい!火の粉が王宮まで飛んでいくぞ!」
「任せて!」
リアが巨人の膝を折り巨人が仰向けに倒れる。そのスキに水魔法で燃える体を鎮火させる。
「すまない、礼を言う」
「気にするな。それより、、、うおっ!」
巨人の手が伸びて騎士の1人を掴む、そして城に向かって投げ飛ばした。
「うおおおおおおお!!」
ドガん、と城壁に激突しそのまま下へ落ちる。
「だいじょ、、きゃっ!」
振り回される手足は次々と騎士たちを襲う、
「やっぱり決定打にかける、何か良い方法はないのか!?」
もう時間もない、攻撃を避けつつ思考を巡らすことは難しいため防戦一方になっている。リアも巨人を倒すための策を考える。
最も確実なのは残り3本の手足を破壊して無力化すること、それには膨大な魔力が必要である。それこそ王の遺品のような、、、いや不可能じゃない
「サーシャさん、魔法道具よ!この城の武器庫に数千基の魔法道具があるはず、その魔力を使えばあの巨人を破壊できるほどの一撃を叩き込めるわ!」
「そうか、その手があったか!」
ミーシャは武器庫に向かって走り出そうとするが、何かを悟ったかのように巨人が腕を叩きつける。
間一髪で身をかわすことはできたがさらに攻撃を受ける。リアの方にも腕が伸びて直撃する。そのまま地面へ叩きつけられる。
「リア!!」
「ッッって、早く行って!!」
呼吸は荒いがなんとか急所を避けている。サーシャは頷き武器庫へ向かう、リアを信頼しているからこそ心配は無用なのだ。
巨人はまたサーシャを狙う、リアの剣撃がその腕を弾く。
「近づかせはしない、ここが正念場よ!」
他の騎士たちも巨人を牽制する。四方からの攻撃に巨人は狙いを定めきれない、何を思ったか巨人が体を丸め込んでしまった。
「?、何をする気だ、もう諦めたか?」
ティムは自分がどれ程愚かなことを言ったかすぐに理解することになった。巨人の体のあらゆる箇所から高速で瓦礫が射出される。
「やっべ!!」
瓦礫を避けることに集中する、してしまった為に最も警戒しなければならない一撃に気づかなかった。
「あ、無理だこれ」
すでに避けられない距離まで腕が迫って来ていた。ゴギッと鈍い音がする。ただしその音を発しているのはティムではなく、リアの体だった。リアは異常な速度で城に突っ込み、城内に倒れ伏した。
「ッッ!何やってんだよ!お前が最後の希望じゃないか、俺なんかほっとけばいいだろ!」
反応はない、心なしか巨人が勝利の笑みを浮かべている気がした。その顔に剣撃が打ち込まれる。
「何勝った気になってんだよ、まだ俺たちが残ってんだろうが!負けるつもりはさらさらないぞ!」
残された騎士たちは一斉に攻撃を仕掛ける。巨人の全身を少しでも削れるように、、、
「ハァハァ、、、」
巨人は微動だにしなかった。騎士たちの全力を尽くした攻撃は巨人には全く通用しなかった。もとより圧倒的な力の差があることはわかっていたがやはり残酷なものだ。
「へっ・・・頑丈な野郎だ。何でできてんだよお前の体は」
ティムが言った。周りの騎士たちは皮肉だと思った。皮肉だった。ただし巨人ではなくその後ろにある王宮の城壁に立つリアに向かってだった。隣にはサーシャの姿と大量の魔法道具があった。
全魔力解放
今までにないほどの衝撃がはしる。魔力が放出され周辺の空間が歪む、その歪みは次第に剣に集まり剣はかつてない高魔力に耐えかねギチギチと悲鳴をあげながらその刀身を大きく変化させる。そしてリアは最高の一撃に備えて剣を構える。
「これで最後よ、私たちは人々を守ることが役目なの、だから、、、さようなら」
守護者の絶剣
振り下ろした剣から放たれた膨大な魔法はどこまでも続く光の刃をつくりだし触れたものを灰塵へと変える。
刃は巨人を呑み込む、もう与えられた役目を果たすことはできない、瓦礫たちにはもう巨人としての意思は存在してはいないだろう、それほどまでに巨人は一瞬にして消し飛んだ。
残された瓦礫が地面に崩れ落ちる様子を傍に騎士たちはこの勝利を喜んだ。
読んでくださった方ありがとうございます。作者のカワノタミです。今回初めて必殺技らしきものを描いてみました。厨二臭くておもしろいと思ってます。さて、次回の話は「アイツがやっと帰ってくる」です。また見てくださいね




