希望は遅れてやってくる
キラーウェという男がいる。彼は幼少の頃に家族と離別し一人で生きてきた。そのため、彼を大切に思う存在を知らず、ずっと何のために生きているのかを考え続けていた。
誰にも知覚されないまま一生を終えるのだろうか。誰か、誰か自分を見てくれる人はいないのかずっと探していた。
ある日ある男に出会い全てが変わった。男は自分を家族の一員だといって親しく接してくれたのだ。他の家族も同様だった。
忘れることはできない、初めて自分が存在することを実感した。加えて男は自分に、全世界にお前の名を知らしめてやるといってくれた。
そこまでしてくれることが嬉しかった。世界中が自分の存在を認めてくれることが嬉しかった。だからキラーウェは…
昔のことを思い出しながら崩壊した王都を歩いて行く、ところどころに死体が転がっているが、あいつらは家族がいたのだろう、誰かに存在を認められていたのだろう、ならば死んでもよい、死んでも思い出や遺品によってその存在はあり続けるからだ。
一国を壊滅させた男は両手を上にあげて高らかに笑った。もう誰もが自分の存在を知ることになるだろう
「最高にいい気分だ!!…ん?」
誰かが歩いてくる、さっきの騎士が立ち直ってきたか、それとも騎士団長が追いついたのだろうか?なんにせよ今のキラーウェは自信とそれに見合うだけの力を持っていた。
「やっと見つけたぞ、テメェよくもやってくれたな」
どこかで聞いた男の声だった。
「あの巨人もテメェの仕業だな?街をこんなにしやがってもうゆるさねぇぞ、というかはなから許す気は無かったがな!」
瓦礫の破片が舞うせいでよく見えないがその姿がだんだんと明らかになっていく。
「暴力は好きじゃないが話し合いが通じない相手ぐらいわかる、一発じゃすまねぇぞ…十発は殴る、そのあと騎士団に突き出してやる」
その男の顔を見てキラーウェは少し驚くと同時に疑問を抱いた。
「…お前確か死んだよな?」
キラーウェの前に立ちはだかったのは騎士団長でも聖騎士でも兵士でもない、農民生活19年の男、
ウィンだった。
読んでくださった方、ありがとうございます。作者のカワノタミです。今回は幕間程度の短さで描かせていただきました。いやぁ、生きてましたね
さて、次回の話は「チートに勝つには、チートしかねぇ!」です。また読んでくださいね




