小説書いてスランプに陥った時に人生豊かになる高齢化社会のススメ
なんじゃ、この日本語として全然意味が
つながらない、ちょっと何言ってるか
わからないタイトルは?
と思ったでしょうが
ちょっと最後まで聞いていってください。
小説を書いていると様々なスランプに
陥ることがあるかもしれません。
ネタが出てこない。
展開が思いつかない。
やる気が出ない。
そんな時、解消できるかもしれない。
そして、人生豊かになる方法がある
かもしれませんよ?
その方法というのは、近くにいる
リタイアした方(お年寄り、高齢者)
のこれまでの人生をインタビューする。
という方法。
インタビューと言っても別にかしこまる
必要はありません。ただ話を理解しながら
聞くだけ。
昔話なんて!
年寄りの古臭い話なんて!
くだらない他人の自慢話なんて!
つまらない苦労話なんて!
と片付けてしまうのは簡単ですが
小説の何かのきっかけに
なるかもしれないぞ?と思うと
途端に価値が出てくると思いませんか?
平凡なお話もあるかもしれませんが
時には、血沸き肉躍るお話や
素敵な恋のお話、
そして引くようなお話が
出てくるかもしれません。
たとえば
終戦直後、それまで日本領であったが
戦後外国となった地域に住んでいた人は
引き上げなければなりませんでした。
民間用の移動飛行機なんてありませんから
当然船になります。
その船移動だって快適な環境なわけは
ありません。非常に過酷な環境です。
そんな過酷な環境の中、赤子と一緒に
引き上げなければならない人だって
いたでしょう。
過酷な環境ですから、それに耐えられず
亡くなってしまう赤ちゃんもいました。
引き揚げ船で亡くなった人はどうするか?
(もちろん赤ちゃんも)
ドライアイスにつつんで連れて帰る?
そんな余力があると思いますか?
ご遺体は、海に投じるのです。
そう、海に捨てるのです。
ひどいですか?
人が大量に密集した、ただでさえ
過酷な船内で腐臭をさせ、万が一
病気が蔓延したらどうする?
だからみんな悲しいけれど
海に投げ捨てるんだ。
でも中にはねぇ、ずっと死んだ赤子を
抱き続ける母親もいるんだ。
腐臭がすごくてね、周りの人間が
説得するんだよ。
「奥さん、気持ちはわかるが
あんたも、周りも病気になっちゃ
終わりだ」
とね、でもねそん人は
「私の赤ちゃんは死んでなんかいない!
死んでない!眠っているだけ!」
と言って抵抗するんさ。
どうしたかって?
大人達で母親から赤ちゃんを奪い取って
海に投げ捨てるのさ。
海にむかって半狂乱で赤ちゃんの
名前を叫ぶ母親の声は
いまでも覚えてるよ。
でもねぇ、わたしだって
我が子を自分で海に投げ捨てたのにねぇ。
って話とか。
たとえば
いきつけのバーの老マスターの話。
そのマスターは、若いころ会社勤めを
しており企業戦士なんて自負してた
そうです。
しかし社内の権力闘争に敗れた
マスターは閑職に追いやられて
しまったそうです。
今思えば非常に無駄なことを
していたと思うけどあの頃は内側での
出世争いがすべてだったんだよ。
でさ、何もかも嫌になったんだけど
ふとね、定年迎えたらやってみたい
と思っていたバーを前倒しして
やってみようかな?って思ってね
それで今に至るんだよ。
それでさ、ここ最近なんだけど
あの頃に出世争いしてた連中がさ
店にひょっこり来るんだよ。
今まではこなかったのにさ。
まぁ忙しくて来られなかったとか
後ろめたかったとかそんな理由で
今までこなかったのかな?
なんて思うけどさ。
彼らももう定年を迎えてるから
暇になって、ふと思い立って店に
来たのかなー。
最初はさ、あの頃の良い思い出話を
するんだよ。
徹夜して激論してそれで良い物を
作ったなー、なんてね。
それからほどなくしてポツリと謝るんだ。
「なぁ、あの頃は悪かったなぁ・・・」
なんてね。
今更謝られてもということもあるし
何より私は、あの時出世争いに敗れた
おかげで、今たくさんのお客様に
支えられて夢だったバーのマスターを
(ちっちゃいけどね)
させてもらえて素敵な時を過ごせてる。
幸せなんだよ。
だから謝る必要なんか無いのにな。
なんて思うんだけどさ
邪険にはできないでしょ?
だから、まぁまぁ、あの時代は仕方
なかったんだよ、気にするなよ。
なんて返すんだけどさ。
そしたらなんだか安心したような顔して
帰るんだ。
え?それの何が悪いかって?
それそのものは
別に悪くは無いんだけどさ
謝りにきた後、数か月で
死んじゃうんだよ。
一人くらいなら気にしないんだけどさ。
今月までで、5人ほど同じことが
起きてんだよ。
まぁ私らも若くはないからね。
偶然だって言われればそれまで
なんだけどね。
でもさ、こっちも寝覚め悪くなるでしょ?
それでさっき、キミとすれ違いに
出ていった人がいるでしょ?
え?悲痛そうな顔してた人かって?
そうか、悲痛そうな顔してたか。
彼もね、昔の私の同僚。
私を閑職へ追いやった一人。
例にもれず、昔話を一通りしてからね
謝ったんだよ。
でね、私ね
「ふざけるな!今更謝られて済む
と思ってんのか!あやまって自分だけ
楽になろうなんて身勝手だろう!
くだらないこと言うくらいなら
帰れ!!!!」
って言って追い返したのさ。
もちろん、あの頃のことは別に
恨みには思ってないよ?
そうか、悲痛そうな顔してたか。
アイツ
長生きしてくれると良いな・・・。
って話とか。
たとえば
とある口が悪い(なんでもディスる)
おばあちゃんの話。
男ってのは現金なものだねー。
なにがってウチの死んだ爺さんさ。
あたしと結婚するとき、お祝いだからって
うちの父親が蔵から好きな物
持って行って良いっていったんだ。
でもさ、爺さん、うちの蔵のこと
「ガラクタ置き場」とか言っててさ。
鎧甲冑とか刀とか掛け軸とか
巻物とかあるんだけどさ
たしかに全部ボロボロなんだよ。
え?本当にガラクタ置き場
じゃないかって?
物は由緒正しい物だったんだよ!
でも義父からの好意じゃない?
断りづらいじゃない?
あとうちの父親厳格で怖かったんだよ。
だから迷惑そうに思いながら
一振りの脇差しを取ったのさ。
爺さんが言うには一番小さくて
邪魔にならなさそうだから。
遠慮するな、もっと大きな物でも
構わんのだぞ。
なんてあたしの父親が言うけど
爺さん、いえ、これで結構です。
なんて慎ましく答えるのサ。
本心は、要るかそんなもん!
なんだったんだろうけどサ。
で、家に持って帰った脇差を
鞘から抜こうとしたら抜けないんだよ。
呪われた脇差?
あんたまだそんな夢みたいなこと
言ってんのかい?
そんなんじゃいつまでたっても嫁
こないよ!
脇差はね、力いっぱい引っ張ったら
鞘から抜けたさ。抜いてみたら
抜けなかった理由がすぐわかったね。
刀の刃の部分が錆てボロボロだったのさ。
爺さん、ふーんって興味なさそうな
顔して脇差は家の隅っこに
放りだしたのさ。
しばらくそのまま放置してたんだけどね
ある日、あたしの父親が我が家に
遊びにくることになったんだ。
で、それを知らせる手紙にね
あの脇差はどうしてるか?って
書いてあったの。
さーあわてた、爺さん。
ほったらかしだった脇差をもって
あわてて
近所にあった研屋に飛び込んだ。
この脇差を研いでどうにか見られる
形にしてくれないか?ってね。
そしたら研屋のおじさん
脇差の刀をしげしげと眺めるんだよ。
ときおり、ほー、とか、はーとか
ため息をつきながらね。
そしておもむろに私らのほうへ
向かいこう言ったのさ。
「お客さん、良い刀もらったね」
ってね。
ボロボロに錆びた脇差に何言ってんだい
って思ってたんだよ。
それが表情に出てたんだろうね。
研屋さん、おもむろに鉄でできた火箸
で脇差の刃をスーッスーッっと
撫でたのさ、そしたらね
火箸がカンナ掛けした木みたいにね、
わかんないかい?
かつお節を削ったものみたいにだよ。
削れるんだよ。
金属の火箸がだよ!?
そしてね、爺さんに
「この刀はきっと名のある刀だと思う。
ばらして研いでみないと
わからないですけどね」
と告げたんだ。
爺さん驚いて、おまかせします。
とか言ってんの。
しばらくして研屋さんから連絡が
きてね。
あたしも爺さんも用事なんか
ほっぽって駆け付けたのさ。
そしたら
研屋さんが脇差の鞘も束もとった
刀身だけのものを持ってきたの。
そりゃーピカピカで綺麗だったよ。
でね、刀身の下のほうを私らに
見せるんだ、何か字が書いてあってね。
「奥さん、この字なんて書いてあるか
わかりますか?」
って。
字を見ると、菊一なんとかって書いて
あるのさ。
「そうです、やっぱり名のある
刀でしたね」
ってにっこり笑ってね。
爺さんに
「ご主人、大事になさってくださいね」
なんて言ってね。
爺さん、その脇差を受け取って
すぐに鞘、束、鍔、拵え全部
新しく作り変えてねぇ。
金かけちゃって。
それ以来、自分の部屋で
座布団にすわって
懐紙を口にくわえてさ
粉をポンポンって刀につけるのが日課さ。
あんた時代劇でみたことないかい?
そう!あれだよアレ。
今まで刀の手入れなんかしたこと
無かったくせにさ。
急に、刀に息吹きかけちゃいけないんだ!
とか言い出すんだよ。
ド素人のくせにさ。
まぁ~男ってのは現金なもんだねぇ~。
あ?居間にある刀?
なんのことかねぇ。
爺さんも死んだし、あたしが死んだら
欲しけりゃあんたにあげるよ。
なんて話が聞けるかもしれません。
どうです、小説でスランプに陥ったら
身近なご高齢者の話聞いてみたら。
人って自分の話するの好きだから
喜んで話してくれると思いますよ?
小説の役に立たなくても
色んな人の色んな人生を聞けるって
なんだか豊かになれる気がしませんか?