11歳、転機
前回のあらすじ
気のせいだと思いたかった
しかし、本物と偽者を当ててしまう
もう嫌だ
何もかもが怖い。関わりたくない。
学校1のビビリに昇格した僕は、
予想と反して、怖い場所に連れ出されることは無かった。
しかし、自分の可能性を確信した僕の感覚はより研ぎ澄まされ、
希望に反して見えないなにかを感じる機会は多くなっていった。
逃げ続けていたから、それらが本物かどうかはわからない。
しかし、確かめる気は無い、二度と試したりしない。
林の件も、結局、僕はSOSを見殺しにしたんだ。
間接的に目標は達成したのかもしれない。
でも本当に僕は何もしていない。ただ偶然周りが何とかしてくれただけだ。
僕は恨まれても仕方の無いほど卑怯で無責任だ。
でも無理だ。
僕の手には負えない。
それが勘違いかどうかは関係ない。私は全力で逃げる。
その日も逃げていた。
同級生の誕生日会だった。
同級生のお兄ちゃんが乱入し、急に肝試しをやると言い出したのだ。
もちろん全力で逃げた。
恥も外聞もかなぐり捨てて、机の脚にしがみついてでも拒絶した。
流石に諦めて、みんなで外に行ってしまった。
僕は1人で取り残された。
いや、あの感じだと、他の人を先導した後、
更に強引な手段で引きずり出しそうな雰囲気があった。
よっぽど嫌われているらしい。
後になってわかったことだが、同級生のお兄ちゃんは学校No.2で次期ボス候補筆頭であり
学校のボス的存在になった先輩が、無条件で僕を保護しているのが気に入らなかったらしい。
No.2としては、どちらが上か示しを付けたかったんだろう。
というより、ただのヘタレでビビリなカスは身の程を弁えろボケカス。って私怨かな。
弁えてるよ!そんなんじゃないよ!
先輩はあの後、何も言わなかったが、なんとなくわかる。
仮に僕が本物の霊能力者だとしたら、校内のヒエラルキーがひっくり返る。
いや、本物かどうかは問題ない。実績があるだけでヤバイ。
だから林の件は黙った。そして、その見返りとしての保護であり、
保護により僕を隠すことが自分の地位を守る事にもつながる。
僕はそれを歓迎する。そういう関係だ。
だが、当時は同級生のお兄ちゃんの意図がわからなかったため、
僕は逃げ隠れるしか出来なかった。
1人になった後、僕は階段に座り、途方にくれていた。
帰りたい。
そこに同級生のお兄ちゃんの友達が現れた
一瞬身構えたが、なんとなく、敵じゃない気がして、もう一度座った
彼は隣に座った
「何がそこまで怖いんだ?」
僕には先輩との密約。では無いけど、そんな感じのがある。全てを説明できない
「何か見えるかもしれないのが怖い」
「見なければいいだろう」
「見たくなくても見えてしまうかもしれない」
「目をつぶれば見えなくなる。それと同じだ」
「そしたら、何も出来ない」
「その目をつぶるわけじゃない」
「仮にお前に見る能力があったとする。それが制御できないはずが無いだろ?」
「本当にそんな力があれば、見ないようにすることすら出来るはずだ」
「それを試した事が一度も無いだけじゃないか?」
その発想は無かった。
「そこから更に、見たい物だけを見えるようにしたり出来ると思うぞ」
「使い方の問題だ」
「足が速い奴はいろんなスポーツが出来るだろ?」
「同じようにどう使うかで、もっと自由に何でもできるんじゃないか?」
「それともう1つ」
「すべてがお前に害であるはずがない」
「殆どの物はどうでもいいもののはずだ」
「まっ、仮にそんな力があればの話だけどな。俺は信じて無いぞ」
そう言って、笑いながら去っていった。
不思議な人だ。
何故か、信頼できる。
あの人は何があっても味方のような気がする。
言って無いのに僕の悩みを的確にわかっていた
「呼んで来いって言われた」
いつの間にか反対側に友達の弟が座っていた
こっちの話が終わるまで待っていてくれたらしい
こう来たか。
でももう僕は歩ける
行こう。
一緒に肝試し会場に行った。
発想があれば後は簡単だった。
確かに見えないように出来る。それも少し意識するだけで簡単だった。
いや、実際には全部空想で、意識せずとも何も見えないのかもしれない
でも、僕は今、「何も見える気がしない。」
それがとても重要で、本物か杞憂かはどうでもいいのだ。
No2は驚いている様子だったが、意気揚々とコースの説明をしだした
もちろん俺は1人で行く事になったが、もはや怖くは無い
仮に、僕の能力が本物なら、何かがいても見えなし、仮に偽者ならそれはそれで見えない
何も起こらないのが確約されているのだ
僕は迷わず躊躇わず前に進み、何事もなくコースを一周した
何も無かった。
僕は自由だ。
No.2は露骨に不機嫌になった
実は時間を計っていたらしく、
順位が発表された。
1位は僕
2位はNo.2だった。
No.2は全ての計画が狂ったことに憤慨し、僕に詰め寄ってきた
「なぜ怖がらない!あの後何があった!」
説明できないし、しても無駄だから適当に答えた
「怖くならないおまじないを教えてもらった」
「誰に!」
「えーっと、あの人」
名前は知らないので指を刺す
「そんなはずは無い!嘘をつくな!」
「ほんとだよ、僕見てたもん。階段のところで」
友達の弟が参戦した。あ、そいうや居たな
でも、この剣幕に良く入ってこれるな。やるなコヤツ。
「そんなはずは無い!こいつは最初からこっちに居た」
「俺が?助けた?無いわー」
あ、こいつじゃない。こいつは僕に悪意しかない
あの人はもっと親身に仲間だった
違う人?頼りになる人、誰だっけ、同級生のお母さんか?
その時思い出した、
助けを求めて台所に行って、そしてアドバイスを貰ったんだっけ
「あれ?お母さんだったかも?」
一緒に居た友達弟が同意見なら間違いないな
「それも無い。居たらこんなこと(肝試し)で出来んわ、今は買い物に行ってるはずだ!」
え?じゃぁ誰だ?先生?
「じゃぁ先生?」
友達弟が僕に聞いてきた。
何で予想が一致するんだ?
「来てる訳ねーだろ!」
確かに。
でも僕の記憶の中には、玄関で先生に言われた記憶が残っている
というより、
同級生の兄の友達を始め、同級生母親、先生、父親、塾の先生、お母さんの友達、他にもたくさん
さまざまな人にさまさまなシチュエーションで言われた記憶が残っている
どういうことだ?
「分からない、いろんな人に言われたのかもしれない」
友達弟も頷いた
「バカにしてんのか!?もういいわ!」
どうなってるんだ?
いろんな人に言われるはずが無いから、
僕の妄想だとしか思えないのに。
目撃者が居るとなると、それも不可能になる
宇宙人にさらわれて偽の記憶を植え付けられた?
あの人が普通じゃない存在だったのか?
全ては謎のまま、結局何が起こったのかわからないままだった
兎に角、僕は「コントロールする」という発想を知った
この日はこれで終り
数日後
僕は霊場と呼ばれる場所に来ていた
調子に乗っているわけではない
一種のトレーニング、では無いな
試運転のようなものかもしれない
あの人は言っていた
すべてが害であるはずがない
もっと自由に何でもできる
って感じの事を
僕は今まで自分のことで精一杯だった
だから全てを拒絶してきた
でも今、安息の手段を手に入れた今
ほんの少しでいいから義務と向き合うべきじゃないだろうか
ダメなら即効で辞める。いや、辞める為にダメな事を再確認するんだ。
言い訳作りだ。無理はしない。
安全な奴で、たいした事無い物だけ、すりガラス越しにぼんやりと、居るか居ないかだけ調べる感じ
出来た。のかもしれない。
近くに脅威では無い何か、意志の存在のような物がある気がする。
出来なければいいのに。
出来なければいいのに。
仕方ないので、次のステップだ。
安全な奴で、たいした事無い物だけ、すりガラス越しにぼんやりと、雰囲気を知る感じ。
「子供は元気じゃの~」
は?
あくまで声が聞こえたわけじゃない、そういうイメージな気がしただけだ
しかし・・・・
ほんの少しだけ危険な奴で、すりガラス越しにぼんやりと・・・
「この子転びそう」
・・・・
僕は今までこれを全力で拒絶していたのか。
善意の手すらも否定して払いのけていたのか。
失礼にもほどがある。
いや、思い返せば最初から悪意など無かった。
鏡も林もあくまで僕の手に負えないだけで、基本的には善意だった
悪いのは僕1人だ。
しかし、結局、一部は僕の手に負えない事実は変わらない。
だから、気を入れ替えてこれからは積極的に関わって行こうとは微塵も思わない。
でもこれは・・・
僕はどうすれば・・・
この後No.2は失脚した。
ざまぁ
この後、自分と向き合い、折り合いをつける過程は全カットだよ。ごめんね。
最後まで読んで分かることもあるから、ほんのり怖い所だけ抽出してサクサク行くよ。
フィクションとはいえ、事実を元にしているから、筆者にも分からないままの謎もあるよ。
ごめんね。




