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夢で見た景色  作者: Sikino
2/11

9歳、確信

前回のあらすじ

 怪奇現象を体験した。

 他人の不幸を象徴する物だった。

 そんな物に僕は関わりたくない。

僕は見えるはずの無いものが怖い。


何かの気配を感じたら、即座に目をつぶり耳を塞ぎ逃げ出した。


そんなんだから、

学年1のビビリ扱いをされていたが、

その程度は見てしまうことに比べたらどうでも良かった。


しかし、あの鏡の件から2年、

実際に何かを見ることは一度も無かった。


万が一を恐れて逃げ続けたが、気のせいだったかもしれない。

やはりあれば、偶然に偶然が重なったミラクル。

いや、葬式の後に見た夢とごっちゃになっていただけかもしれない。


そう思ったが、

そう思いたかったのもあって、

万が一を恐れて僕は逃げ続けていた。



ある日、

何のイベントかは忘れたが、

一部の親と生徒が公民館に夜まで残った

親たちが懇親会をしている間、子供たちは建物内で遊んでいたが、

流石に飽きてきたので、外に出ようとなった。


誰かが、肝試しをしようと言った。

多数決で決まってしまった・・・


いざとなったら逃げるか・・・

またバカにされるだろうが、仕方ない・・・

しぶしぶ付いていく。


向かった先は公民館に併設された運動公園の体育館。

学校でもうわさの最怖スポットじゃないか・・・

帰りたくなってきた・・・


早速チーム分けをする。

メンバーは5人を3チームに分ける事になった。

計算おかしくない?と思いつつ、くじを引く。


2番。

よっしゃー

1,3,5は1人になる可能性があったけど、2番だと確実に誰かと一緒だ!


そして組み分けが発表される


「1番と3番がペアで、1番目。4番と5番がペアで2組目。2番が3組目で」

「体育館の裏側を通って途中に人形があるからそれを取って、正面玄関に集合な」


は?


「おかしくない?組み分けおかしくない?」


僕は必死で抗議する。


「あぁ、じゃぁ、お前のペアそいつらでもいいぞ」


幼女&幼男「ふぇぇ」


肝試しには不参加だけど面倒見る人がいないから付いてきちゃった幼稚園生たち。

あ、スタートとゴールが別ってことは、どちらにせよ不参加無理じゃん。


やっと、嵌められたと気付いた。

最初から、逃げ出す僕をバカにする為の、計画的な罠だったのだ。


さっさと先に行く先輩たち。

取り残される3人。

終わった。詰んだ。


しかたない。スタート地点の駐車場から正面玄関へは明かりのついた正規ルートがある。

それでも地味に怖いが、幼稚園生たちの手を引き、そちらへ歩き出した。


しかし、違和感を覚えた。

裏道、肝試しルートのほうを見ても何も感じないのだ。


駐車場出口まで来て立ち止まり、幼女たちに相談した。


「ココから先は明るいし、二人でも行ける?僕は二人の分も人形とって来るね」


「うん、がんばる」


本当は怖いのだろう、少し震えながらも、頑張るといってくれた。ええ子や。


「ダメだったら一周して戻ってくるからね。ここで待っててもいいからね。無理しないでね」


そういい残し、僕は1人で裏道ルートへ進みだす。


違和感は気のせいじゃなかった。

裏道ルートに入っても、僕は全く怖くなかった。

むしろ清々しいと感じるほどだ。

脅威を数値化するとしたら、ここは完全にゼロだ。

ココに比べたら、逆に外の方が怖いとさえ思う。


ありえないでしょ?

学校でもうわさの、目撃証言もある、最恐心霊スポットだよ?

そこでココまで何も感じないのはありえない。


つまり、

僕には幽霊を見る素質なんて無かったんだ!


やはり、あの鏡の件は、偶然の夢だったんだ!


思わずスキップしていた。

落ち葉が舞い、祝福しているようだった。


途中の人形はすぐわかった。

社のようなものがあり、そこに人気ゲームの人形が並べられていた。

モンスターを捕まえてペットにしてバトルしたりするアレだ。

人形と聞き、怖い物を想像していたが、

これは、実質、恐怖に打ち勝ったご褒美なのだろう。


しかし、人形は6体あった。

人数分3個で十分だろうけど、僕が最終組なので、

とりあえず余った分も全部持って行った方がいいだろう。


クエストクリアして、意気揚々と正面玄関へ戻る。

少し名残惜しい気がするが、

幼女たちが待ってるかもしれないから急がなきゃ。


玄関に戻ると、物陰に先輩たちがこちらを背にして隠れていた。

駐車場側に何かやばいものを見たのだろうか?

僕も一応先輩の後ろに隠れて、こっそり聞く。


「何かあったんですか?」


「そりゃ、はぁぁぁぁぁ!!」


凄い驚かれた、確かに隠れている人の後ろに黙って忍び寄るのは良くなかったな。


「おまっどこから」


「普通にそこから」(裏道)


「嘘つくなぁぁぁ!!」


「あ、人形です、余っていたので全部持ってきました。余った分どうぞ」


「は?要らん!お前が持て!ありえない!」


「隠れているなら、もう少し声を落とした方が・・・」


「もういいわ!なんでもないわ!お前ら!終りだ終り!」


どゆこと?


幼女&幼男「ふぇぇ」


おぉー!二人でここまで来れてたのか!えらいぞ!凄いぞ!


「二人とも頑張ったな!はい、人形取って来たぞ!好きなのを選んで」


「ありがとう!」


かわいい


帰路、幼女たちがこっそり色々教えてくれた。

あの後、正面玄関に行ったら先輩たちに脅かされた事。

先輩たちは僕を脅かす為に隠れていた事。

僕が遅いから心配していたが、誰も裏道の方には行かなかった事。

あの人形は中学生のお兄ちゃんが用意してくれたもので、

今は取りにいけないから、明日回収してもらうつもりだったらしい事。


先輩たちは少し離れたところから、明らかに聞こえるように嫌味を言いまくってた。

「何か卑怯な手を使った」とか「怖すぎて感覚が麻痺したに違いない」とか。


僕が凄いニコニコしてたので、出し抜かれたと思って焦っていたのだろう。

それも少しはあるが、僕にとって今日の成果は、僕が無能だったって事だ。

思い返せばまたスキップしそうになっちゃうほどうれしい。

ニヤニヤが止まらない!


それで気を悪くした先輩たちは色々無茶を言い出した。

懐中電灯を消せだとか、遠回りをするとか。


僕は全然かまわない。

だって、確かに怖いものは怖いが、僕にはきっと何も見えないから。


無茶振りはエスカレートする。

離れて歩けだとか、道を外れて雑木林を突っ切りショートカットするとか。


余裕過ぎる。苦笑すらしながら、

雑木林に足を一歩踏み入れた瞬間だった。


絶望

いや、絶望ですらない。

絶望の痕跡?どう表現していいかわからない。

燃え尽きた後の煤の様な、

もはや何物でもなくなり、何の脅威も無い物でありながら、

悲劇の後に残る何か。


「大丈夫だよ?怖くないよ!」


足を止めた僕を幼女たちが追い越していく。

自分たちを気遣ったと思っているのだろう。

すまない。そんな余裕は無い。


雑木林とはいえ、10m程しかなく、向こう側の道路が既に見えている。

街灯の光も差込み、懐中電灯無しでも歩けるほどだ。

普通なら怖くないのだろう。

でも僕には無理だ。

安全である事はわかっている。理屈では理解しているが、本能が拒否する。

私にとってその雑木林は、暗闇の中、底無しの水の中に入るようなものだった。

息が出来ない。


「先行ってて、僕は回り道する」


肺に残った空気を搾り出すようにそう言って、違う道を走り出した。

懐中電灯は渡したままだから

100mほど1人で暗闇の中を遠回りする事になる。

だかあの林に比べればなんでもない、全然余裕。この程度でありがたいほどだ。


合流した後、

逃げ出した私を、先輩たちは水を得た魚のようにバカにしたが。

いまいち歯切れが悪かった。

普通なら、あの程度の林より、暗闇の回り道の方が怖いからだろう。


誰もが恐れる体育館を恐れず、

幼稚園生ですら余裕のただの林を恐れた。

これはもう本当に無能でただのビビリってことに違いない。


先輩にビビリだとバカにされる事が、もはや祝福のようでニヤニヤしてしまった。

流石に先輩も閉口した。


その後は普通に解散して。

この日はこれで終り。




数日後


学校内で襲撃的なニュースが飛び交った。


なんと公民館の近くで白骨死体が見つかったらしい。

といっても風化が激しすぎて、戦時中のものだろうと判断されたらしく、

事件性は全く無いとの事。

見つけたのは、先輩のおじいちゃんという事になっているが、

本当は、先輩が見つけたに違いないとのこと。

しかし、その事を先輩が全く話さない。これは何か凄い裏が有るかも知れない。

そんな感じの内容だ。


先輩は一躍時の人となったが、結局、沈黙を守った。


信じたくなかった。


僕は、藁にも縋る思いで、お母さんに体育館の裏の怪談の事を聞いた。

その答えは、予想通り最悪の物だった。


「あら、知ってたのね、そうあそこは神事が行われるような良い場所よ。実はちゃんと整備してるし」

「いわくがある場所に子供たちだけで行かす筈無いじゃない。」

「あそこでの肝試しは、昔からある伝統ね。小さい子に教えちゃダメだよ?」


結局、僕は本物であるという事だろうか。


僕は以前に増して逃げるようになった。

学年1のビビリから学校1のビビリにランクアップしたが、

その程度、些細なことだ。


見栄を張るには代償が大きすぎる。


色々と察する能力が高いのは、子供の頃から本を読むのが好きだったからかもしれません。

9歳になる頃には小学校の図書館の本でめぼしい物は読みつくして、

県立図書館まで行ってた位ですから。

まぁ、フィクションですしね。

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