27歳、夢で見た景色_前編
目を開ける。
時計。7時。目覚まし。
カチッ
ピ
鳴るとほぼ同時に止める。
ここは私の家だ。
えっと、そう、怒らないで聞いて欲しい。
夢オチである。
最悪の結末と思うだろうが、体験した方は本当に現実と同じくらいキツイ。
一応説明しておくと、私には双子の兄はいない。
いや、その前に私は・・いや、「俺」は男だ・・・
子供の頃、鏡の中に同級生を見てから、奇妙な経験を続け、
6年前に全てを失った、今は怪奇現象とは無縁のただの男だ。
「取り合えず、顔を洗うか」
無意識にそう呟いて苦笑する。
俺は寝る前と出かける前に顔を洗う派で、起きてすぐ洗うことは珍しい。
もしかしたら、少し「私」の習慣が残っているのかもな。
起き上がり、ベットに腰掛ける
でもいいだろう。気持ちを切り替えたい気分だ。
しかし、実にリアルな夢だった。体の痛みがまだ残ってるほどだ。
それに体が重い。背中とか痣になってないかな?
左手を見ながら、左手を動かす。
体中が冷たくて、感覚が鈍い。まるで血が通っていないようだ。
ベットから立ち上がろうとして、
右手を引っ張られる。
驚いてそちらを見ると、
引っ張られたのではなく、右手がベットの縁をつかんだまま固まっていた。
手を開こうとするが、全然反応しない。
氷水に長時間手を突っ込んだように全く感覚がなく、冷たい。
ショックが残っているのか、まだ、体の方は寝てるのだろうか。
左手て右手を開かせようとする。
完全に固まっている。
左手で右手の指を一本ずつ開けていく。
これで良し。
じんわり右手にも熱が、血が伝わってきたような感覚がした。
ぎこちないが右手もある程度動くようになった。
今度こそ立ち上がり、部屋を出る為に、
引き戸に手をかけようとする。
しかし、ノブに手が掛からない。
まるで見えない圧力に弾かれているかのように、右手がうまく操作できない。
まだ少し鈍いな。
左手で引き戸を開ける。
これでよし。
リビングを通り抜けるが、足元がふらつく。
まだ寝ぼけているのだろうか?
だが、この程度なら問題ない。
廊下に出るときに足元に躓き、洗面所のドアに頭をぶつける。
「っ!でもこれで目が覚めたな」
そう呟きながら、左手でドアを開け洗面所に入る。
しかし奇妙な夢だったな。
完全に別人の夢を見るなんて、
しかも、異性だなんてありえるのか?
顔を洗いながら色々考える。
しかも、すごいリアリティがあったな。
「私」の同級生の友達すら思い出せる。
本当に別人の人生を体感したような出来栄えだった。
結末的には「私は」殺されたと考えるのが妥当だろうか?
どうせならもっと幸せな結末が良かったな。
「よし!」
顔を上げる。
鏡には「俺」が映っている。
その「俺」の後ろに、
疲れきって、諦めるのにも慣れた様子の「私」が居た。
目の前が真っ暗になった。
まだ続きます。演出上区切っただけです。




