マシュマロ
冬童話2017企画に捧げる…(乗り遅れたにも程がある)
これは、ちょっとだけ ちがうせかいの、ふゆの とある ふつうの1にちの おはなし。
『きょうは とても さむい1にちに なります』
テレビで てんきよほうの おねえさんが さむそうに ほっぺを あかくして いいました。
たしかに けさは おきるのが すっごく たいへんでした。
おねえさんは あかいかさを てにもって もちあげて まだはなしています。
『──おひるまえから ふるでしょう。かさをもって おでかけください……』
「やだわ。つもらなきゃ いいけど」
おかあさんが しんぱいそうに いいます。
「そうだな。でんしゃが おくれそうだから できれば はやめに しごとを きりあげて かえってきたいなあ」
おとうさんは そういうと おりたたみがさを かばんにいれて げんかんを でていきました。
さて、こどもたちといえば。
がっこうへむかう つうがくろでは みんな ながぐつを はいて かさを もっています。
あ、うんどうぐつのこも いますよ。
「いっぱい ふると いいね!」
「でも ちょっと あるきにくいんだよな」
「たべちゃだめって ママが いうしね」
「じめんに つもったのは きたないかも しれないから、ふってくるのを たべるのは?」
みんな てんきよほうに うきうき わくわく です。
さて、そんなふうに、みんなが みんな それぞれの おもいを かかえて すごしていると、
ふわり。
ふわり、ふわり。
「あっ! ふってきた!!」
きょうしつの まどから だれかが さけびました。
そらから ふわりふわり、ほろりほろりと おちてきたのは、まっしろな──
マシュマロです。
「わーいわーい マシュマロ ふってきた!」
「せんせい、つもったら マシュマロがっせん していい?」
こどもたちは もう じゅぎょうどころでは ありません。
「あんまり つもると みんなが あるきまわって つぶれて ぐしゃぐしゃに なってしまうから、おひるやすみだけね。あと、なかに いしを いれては ダメよ」
「はーい。やったあ!」
ふわふわ、ふわふわ。
ねこが しっぽで ポーンと はじきます。
いぬは くちを あけて パクッ。
あかちゃんの ほっぺに ひたり。
ちいさいこどもと あるいている おかあさんは、こどもが じめんに おちている マシュマロを くちにいれようと するのを あわてて とめようと しています。
くるまは そろそろと すすみます。マシュマロは つぶれると、いがいと すべりますからね。
ふわふわ ふわふわ、マシュマロは つもります。
こどもたちは ぞんぶんに マシュマロがっせんを たのしみました。
おかあさんたちは いえのまえの マシュマロを マシュマロかきで どけています。
でんしゃは おくれなかったようですが、おとうさんは はやめに かえってきました。
「あしたもふってると いいなあ」
こどもは みんな そうおもうのですが、おとうさんや おかあさんは こっそり、はやくやんでくれ、とおもうのでした。
そうして、よなかには マシュマロはやんで……
あさには すっかり きえて しまいました。
つぎ ふるのは いつかなあ?
(きみの まちに もし マシュマロが ふってきたら、どうする?)
おしまい
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