5ー俺死す
もう少し耐えてくれ・・・なんて言うからどうにかして俺を救ってくれるんだと思ってた。
台詞もまさに助けるための言葉を投げられてるんだと思った。
でも、だ。
「地獄の業火」で?
あの一帯?
技の名から察するにかなり高位かつ高火力魔法による攻撃と見るべきだ。
それをオオカミ群れの一帯だと?
俺ごと燃えるじゃねぇか。
何せ群れの中心にいるのは・・・。
「待って待っ」
必死に言葉を発しようとするが既に軍勢と貸したオオカミに襲われてる俺には無理難題である。
数があまりにも多すぎて対処しきれない。
感覚で言えば、朝の通勤ラッシュ車内120%なのではと思わせる中揺られている感じだ。
その中で一体どうしろというんだ。
方向感覚を失い、全身がギシギシと鳴っている(気がする)中で一つの考えが浮かぶ。
彼らはもしかして、PKの連中なんでは、と。
PKとはプレイヤーキルの略称であり、また同時に侮蔑とも取れる称号。
一般的には忌み嫌われ淘汰される存在だが・・・。
ここは数多の人達がプレイするゲームだ。
多種多様な人物、思考を持つ輩がいるため、好き好んでPKに臨むのもいる。
大概ランダムドロップの報酬を狙ってだが動機が変態的な性癖を持つ奴もある。
そして。
明らかに弱そうなオオカミ(lv8)に襲われている奴を見てこう思ったのだろう。
雑魚だと。
その目論見は概ね外れていないと言ってもいい。
何せ装備は初期。
何も出来ず襲われている。
更に己の陣営は2人以上、俺はボッチ。
殺さずにせず何をするか・・・。
目の前に届く果実があるならば取ってしまうのが人(だと思う)。
しかし、初期装備ではあるがlvはカンスト済み。
ステータスはオリジナルで振っている。
HP-MP-c-B-Sという風に振ったが正直装甲には自信が無い。
というのも装備に頼っていたからなぁ。
それが今や初期装備。
駆け出し冒険者という表現が一番似合っている。
であるなら相手の攻撃を数発受ければ落ちてしまう。
結論としては、敗北。
負け、つまり死亡扱いとして一旦仮死状態になるな。
デメリットとしてはアイテムの一部紛失、所持金減少。
特に他にペナルティはないが・・・
だからと言ってむやみに死にたくは無い。
無い、全く無いが本人の意思とは関係無く死は近づいてきている。
「」「---」「」「」
軍勢は更に数をましているらしく、聞こえていた声も今や騒音ともいえる音量によってかき消されている。
せっかくのイベントが出だしで躓くなんてもう・・・最悪だ。
これまでに何度もやらかしてきたけど、最初のうちだけだった。
こんなプレイングミス・・・久々だな・・・。
ジリジリと空気が焼ける臭いが鼻に付く。
獣臭さしかないはずの場所にまで届くなんてな。
思考を遮る様に激しくなる音と熱量が徐々に。
確実に迫ってきている。
一瞬激しく光った後視界が黒よりも黒く染まった。




