第一話 訪れない春
あるところに一つの国がありました。そこでは四季折々をそれぞれ司る女王様が四人いました。彼女達が国の中央にある塔にて季節を管理していました。
――春の女王。――夏の女王。――秋の女王。――冬の女王。
それぞれが塔で一定期間暮らすことで季節を巡らせていたのです。
ですが、ある時一つの問題が起こりました。
そう、春の女王が行方不明となってしまったのです。冬も終わりかけという頃、既に表れてもいいはずの亜春の女王が塔に姿を現さないのです。春の女王が行方不明となってしまっては冬の女王は季節を巡らせるために春の女王と交代することが出来ず、いつまでも塔に暮らすことになり、季節が巡らなくなってしまいます。このままでは植物は育たず、作物も育ちません。このまま冬が続けば、食料はそこを尽きてしまいます。
この事態を重く見た国王は全国にお触れを出したのでした。
『冬の女王を春の女王と交替させた者には好きな褒美を取らせよう。 ただし、冬の女王が次に廻って来られなくなる方法は認めない。季節を廻らせることを妨げてはならない』
これはこの事件を解決するために立ちあがった四季の女王と一人の放浪者の物語なのです。