7話
結婚式途中。
「さとしさん、あなたはこの女性を健康な時も病の時も富める時も貧しい時も良い時も悪い時も愛し合い敬いなぐさめ助けて変わることなく愛することを誓いますか」
「はい、誓います」
「めぐみさん、あなたはこの男性を健康な時も病の時も富める時も貧しい時も良い時も悪い時も愛し合い敬いなぐさめ助けて変わることなく愛することを誓いますか」
「はい、誓います」
「では、誓いのキスを」
誓いのキスをした瞬間、何か違和感を感じた。周りを見渡すと時が止まっていた。
「めぐみ」
時が止まっているのに声は聞こえないハズが聞こえていた。声が聞こえる方を向くとそこにはおじいちゃんがいた。
「おじいちゃん!」
「めぐみ、ひさしぶりじゃな。ちょっと、外に出て話さないか?」
☆
「なあ、めぐみ。わしがいなくて寂しかったか?」
「そりゃあ、寂しかったよ」
「そうか。めぐみ、さとしと結婚できてどうじゃった?」
「なんていうか、まだ実感がわかないな。なんて」
「わしは、ずっとお前を見てきて気づいたんじゃ。さとしのことが好きじゃと。だから、わしは何回かさとしにとりついたのじゃ。お前が本当の自分の気持ちに気づくように。わしがここ何ヶ月間いなくなったのはさとしの気持ちを確かめる為とさとしにとりついて、お前とさとしが結婚できるようにした為じゃったからじゃ。でも今日でそんな偽りも、お終いじゃ。めぐみ、今までありがとうな。楽しかったぞ。これでわしもやっと成仏できる」
そう言っておじいちゃんは私の前から消えようとした。
「待っておじいちゃん!」
おじいちゃんは何も言わず、消えるのを止まってくれた。私はおじいちゃんの前に行きキスをする。
「私はおじいちゃんの事も本当に好きだったよ。結婚式上げるって約束は叶えられないけど。これで我慢してね」
おじいちゃんは私にやさしく微笑みながら語る。
「ありがとうな、めぐみ。わしはお前に何もできなかった。あとは自分の好きなようにやりなさい。自分の夢を叶えなさい。わしに縛られていた鎖が解けたのじゃ。好きなようにやるといい」
「うん、ありがとう。おじいちゃん」
私のその言葉を聞いてうれしそうな顔をしておじいちゃんは消えた。
そして、再び時は動き出す。