はじまりはここから
少子高齢化。
この世界では出生率の低下、人口減少に歯止めが利かなくなってしまった。政府は子どもを持つまたは持とうとする家庭への支援を行おうとするが、高齢化に伴う医療保険費用に多く資金をとられていた。上手く行かない現状に人々は頭を悩ませる。しかし、今を生きる「この世」の人間だけではなく、「あの世」も困惑していた。
増え続ける転生を待つ魂が溢れかえっていたのだ。あの世では浄化、記憶消去、新しい運命の定着などが行われる。その後、魂は転生待機するのだが、出生率が低下したため待機場所で魂が溢れているのだ。さらに、この世まで魂が来て様々な現象を引き起こした。魂の気配を感じ気分が悪くなったり、ものや人に無理矢理憑依したり……。この対策にも政府は資金を取られていた。
魂が溢れる問題を解決しようと天上の者は一つの考えをだす。それは、
「魂の交換(Exchange Of the Soul)」契約だった。
現世を諦めた者の身体へ転生を待つ魂を入れることだ。身体(器)は同じでも魂を入れ換えることで、言い方は悪いが器のリサイクルをしようということである。
すぐさま可決され天上の者はこの世とも連携をはかった。この世でも資金難解消のため承認され、今や周知の契約となる。
魂の交換契約はまたの名を「EOS契約」といい、どこかの神話になぞらえてそう呼ばれている。
夜の闇(現世を諦めた魂)を払い、夜明け(転生)を告げる、暁の女神。
EOS契約の下、溢れる魂の問題は解決されつつある。
──暁の女神が微笑んでいる──
こんばんは
彼方です。
長編をしばらく放っておきまた新しいオムニバス形式のような小説を始めてしまいました…。
こちらも不定期更新と言う名の気分更新です。
のんびりよろしくお願いします。
2016/6 彼方わた雨