ちょっとよく分からない
初めましての方は初めまして
お久しぶり…?の方はお久しぶりでございます
説明が色々と足りないと思いますが、それはそのままだったり、後々に説明があるかもしれないです。……みなさまの想像力、信じております
唐突であるが、世界五分前仮説といったものをご存知であろうか。
簡単に説明するのであるならば、世界は五分前に創られたとされ、その記憶も周りの建造物も全てが辻褄を合わせるために存在するといったようなものだ。
数年前に何かのテレビ番組がなどで見て知ったものであるし、記憶も薄れているためにもしかしたら違うのかもしれないが、だいたいは合っていると思う。
ただ、どうしてこのようなことをいきなり考え始めたのかと言えば、現在の状況が関係してきていたりする。
俺こと芒澪。女みたいな名前だが性別は男。前世を生きていたのが確かなのであれば……。
――異世界にて転生を果たしました
いやいやいや、ちょっと頭おかしいとか思われても仕方ないけれど、話は最後まで聞こう? ね? ね? 内心の独白で誰に向けているかは分からないけれど……。
『あ? お前何言ってんの? 頭大丈夫? 病院行く? それとも病院行く?』
って言われたのは簡単に想像できるよ?
気がつくと……いや、夜に寝て朝起きた。みたいな感じで目を開けると、知らない天井であるし。周りを見回しても初めて見る景色である。
しばらくしてドアが開いたかと思えば、猫耳の美少女メイドが入ってくるし。間違いないんだよ。その娘が何か呟いたかと思えば指先から水が出たりして木で作られた桶に水を溜め、雑巾濡らして掃除始めたし。
それと昼間なのにも関わらず淡い光のようなものがいくつか漂っていたりする。
ここが本当に異世界(自分でもまだ半信半疑)ならば、精霊……ってことでいいのかと。
「あれ? ミオ様、起こしてしまいましたか?」
俺と目があったメイドさんは掃除の手を止め、近寄ってくる。
けど、いま俺の名前読んだ時にミオって言ってたよな。同じ名前ってのはありがたいと言えばありがたいが、どこか異世界の名前に憧れていた自分がいるらしく、少しだけガッカリしている。
「……ん? これが気になるのですか?」
ピコピこと動く猫耳をじっと見ていたら、その視線に気がついてか顔を近寄せて耳をこちらに向ける。
触ろうと手を伸ばし、今更ながらに気がつくけれども赤ん坊だからか腕も短く、モチモチと柔らかそうである。
あ、猫耳は普通に猫の耳と似たような感じでありました。触った時、艶やかな声とか出すのかと期待しておりましたが、特に何もなく終わりまして残念であります。
それと、顔を近づけてくれた際に模様の描かれた首輪が見えた。
「もう少し構っていたいのですけれど、掃除をしなければいけないので失礼しますね」
そういって優しげに目を細めながら頭を撫で、『よしっ!』と気合を入れて掃除へと戻っていった。
……………………ふむ。
考えがいろいろと脱線したな。
確か、世界五分前仮説だったか。
現状の俺を表すならばその仮説が一番胸の内へスッと入ってくる。
前世……たとえ転生だとしても、死んでいるのだから前世で間違いはないだろう。
――十八歳。
俺が死んだ年である。
よくある小説の転生ものでは交通事故や誰かを助けようとして〜。寿命なんてのもあったかな。
後は事件に巻き込まれたり、恨みを持たれて刺されたり。愛憎のすえにあなたを殺して私も死ぬ! みたいな。
ネタものでクシャミしてたら~ってのもあったっけ?
話が逸れた。
とりあえず俺は、いままで普通に過ごしてきたと思う。とくにかもなく不可も無い人生だったかと。
そこそこの成績を取っていき、中高一貫の男子校に中学受験で入り、六年間も変わらないクラスメイトと面白おかしく過ごしてきた。
周りに女子の目がないからか、趣味全開でもハブられることはなく、逆に仲のいい友達も何人か増えた。
よくある不良とか、現在の日本では絶滅危惧種であるし、俺の通う高校もそんなのはいなかった。
……頭のおかしい奴はどこにでもいるが。
そして女子との接点もあまりなく、卒業後の進路として専門学校も決まった二月半ば。
夢を見た。
意識がはっきりとしていたため、本当に夢か疑問に思うところだが、周りを見回すと宇宙であり、一番近くの惑星は地球であった……と思う。地球であったか確かめる術はなかったが、これで夢だと確信はした。
無重力であるはずなのに、夢だからかしっかりとした見えない足場のようなものに二本の足で立っていた。
そして気がつけば男の子……女の子? が目の前に立っている。ショートヘアであったが、目は前髪によって隠れているために見えない。そのうえ中性的な顔立ちで男女の判別はつかなかった。
年は十歳前後。背は百七十後半はある俺の胸元よりも少し下といったところか。
『一つ』
そこへ女の子のような、少し声の高い男の子のような声が聞こえてくる。
『周りには何がある?』
「……え? 何も無いけど」
突然の質問に、深く考えないで答えたがよくよく考えるとおかしいと思った。けれども納得していた。
近くに地球と思われる惑星があるし、星の煌めきもある。
だけど俺は、何も無いと答えた。
『二つ』
少し混乱している俺に対し、我関せずとばかりに続ける子ども。
『手には何を持っている?』
「分からん」
またも考えず答えたが、今回のには先ほどよりも納得している自分がいる。
両手のひらを見ても、何も持っていない。だけど、気のせいかもしれないが何かを持っているかのような感覚がある。
だから分からないと思ったのだろう。
『三つ』
なんとなく。
雰囲気で最後の質問だろうと感じた。
『私は誰?』
「お前は――」
俺の答えをきいた子どもは、満足したかのように笑みを浮かべた。
そうして、眠りから目を覚ますように目を開けてみるとすでにこのような状態であったと。
……………………。
…………。
…………うん、分かんない。
取り敢えず、元の世界の俺は死んだことにして、転生と考えて納得し。
記憶に関しても前世の記憶〜とか、考えていた通り世界五分前仮説がしっくりとくるのだ。
兎にも角にも俺は死に、この異世界と思われる場所で新たに生を受けた。
ならば目指すことは一つ。
いい感じにサボって楽する!
まあ、確実に何もないことはないというフラグ満載であるが、ここ最近のネット小説の流行りはスローライフだし。
俺も可愛い子を伴侶にして、イチャイチャしたいってのはある。
まだ見ぬ両親がどんな顔をしているのかも気になるな。後はメイド……奴隷かな。どちらにしても安くはないだろうし、貴族か……はたまた夢のある死と隣り合わせの冒険者で高ランクなのか。
家の感じからだと、貴族の可能性は低いようにも思われる。
あくまで、俺のイメージだから差異はあるだろうけれど、階級が低くともそれなりの見栄は張るのだと思う。
この家の造りは木であるから、冒険者だと思うかな。
したがって、在り来たりな魔力の成長を頑張っていこうかと思います。
両親が冒険者ならば、俺もそのうち鍛えられると思うし。たとえ貴族でもたしなみ程度はやると思うから。
前の世界で異世界に行く妄想をしてか、よく目を閉じて気配を読み取ろうとしていたが、ドア一枚分しかできなかったが、この世界に来てからはそれがもう少し広くなったような感じがするけれど、家全体の造りや間取りが分からないためになんとも言えない。
それに体も縮んでいるため、距離感も微妙にずれているような気がする。
少し離れたところでも遠くに感じるのだ。
だから寝ていてもできるような魔力の成長から始めるのである。
一番の成長期である子どもの頃からやるのは効率がいいと思うし、やっぱり、知識って大事だよね。
それにこの世界、力がなければ搾取される側になるし。
誰にも負けない程度にはなって、一部の人には知れている程度が一番理想的。
それではまだ子どもなので明日から頑張ろう。ってことで、おやす……みぃ……。
誤字脱字報告、大変喜びます
小説の書き方、少しだけ変えてみました。違和感ございましたら、感想などで教えてもらえると助かります