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「あれ? 今日も来てるの?」
幸一は今日は一人で来ているらしく、カウンターに座っている。
私は幸一から一つ席を空けた隣に座った。
「昨日、うちのサークルの飲み会をやらしてもらったお礼にね~」
幸一は昨日と同じ人懐っこい笑顔で返す。
「まさか、昨日の今日で美紗緒ちゃんに会えると思っていなかったけど」
「いやいや、それは私のセリフですから!」
ビールが目の前に置かれる。さすが春ちゃん、仕事が速い!
「ふぅ~~~、 うまい~~~!!」
これこれ、この味のために仕事しているのよね~、なんて思っていると隣で、ぷぷっと噴出す声が聞こえた。
「美紗緒ちゃんて、本当に美味しそうにお酒飲むよね~」
「でしょ~、ちょっと自慢なの!美味しそうにお酒飲めること!」
「どんな自慢なんだよ!」
「だって、美味しく楽しくいただかないと、お酒に失礼だし?」
これ私の持論。ま、友達のおうちで読んだ“夏○の酒“ってマンガのセリフを
真似ているだけなんだけど。
「確かに、そうかもね。」
幸一は笑顔で返す。
しっかしおぼっちゃんってもっとお高くとまっているイメージがあったのに
この子ってば かなりフレンドリーだな・・・
「あれ、昨日関西弁だったじゃん、今日は違うの?」
「あぁ、私酔うと関西弁に戻るんだよね~。 あとは一緒に喋っている人が関西の人だったら!」
会話はこんな出だしだったが、あっという間に時間が過ぎる。
きっと、友達としては気が合うって事なんだろう。
気が付けば、ビールを2杯飲んでしまっていた。うぅ、今日は1杯だけのつもりだったのに・・・!!
「あ、私、もう帰らなきゃ!」
「なに~? もう帰っちゃうの~?」
「うん、昨日飲み過ぎちゃったしね~。明日も明日で忙しいし!」
「折角だから、連絡先交換しようよ!」
幸一からの提案に、思わず目がしぱしぱしてしまう。
「え? ココでどうせ会うでしょ?」
思わず本音が出てしまった・・・!!
「ぷっ」
幸一が嬉しそうに笑っている。 今の返しのどこに笑う要素があるんだろう・・・?
「いや、そうだけど、仕事終わりに一緒に飲みに言ったりしようよ!
電話かメール知ってたら、約束しやすいでしょ?」
変わらず笑顔で返される。 ま、一緒にいて楽しかったし、確かにそう、かな?
細かいことは気にするのはやめ、私は幸一と出会った翌日に、連絡先を交換したのだった。