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     1-3

1時間後、私はまだ同じバーのカウンターで飲んでいた。


さっきは居なかった隣の男の人と話しながら。




 その日学校のサークルの打ち上げでバーに来ていたらしい幸一は、


自分の友達が酔っ払いすぎて面倒だと言って、私の隣に非難してきた。


 少し話すと、年が同じことが判明し、会話が弾んだことがきっかけのようだ。




それがいつの間にか、どうしたことか人生相談になっている。


「俺さぁ、実家が病院なんだけど」


「へぇ、すごいねぇ」


でも、そんなこと、初対面に言うことかね~? よく判らないなぁ・・・


なんて思いながら、適当に相槌を打つ。


「最初は普通の大学に行って、経営を修学した後に今、医大に通っているんだよね~」


「そうなんだ~」


(おぼっちゃまが服を着ているのね~) 私は既にウィスキーに舌鼓を打っている。


美味しいお酒を堪能できて幸せだからか、人によっては自慢に聞こえる隣人の愚痴も


なんの苦にもならない。


「そしたら最近、俺の実家の環境をねたむやつがいるみたいでさぁ」


(ま、そりゃ居るよな) 


 医大に通っている中で、実家を引き継ぐことが決まっている人なんて、ほんの一握りだろう。


普通に考えれば、うらやましいに決まっている。


 でも、隣にいる男はどうやら真剣になやんでいるらしい。


“悩みとは、他人にとっては大した事ない事でも、本人にとっては深刻なものである。”


 それを私に教えてくれたのは誰だったか・・・


教えてくれた人を思い出せなくても、その考えには共感していたので


おぼっちゃまの愚痴に付き合ってあげることにした。




「ほっときゃいいんじゃない? そんな見識の狭い人間なんて。

 

 大体、人をそのバックグランドだけで判断すること自体がおバカな証拠だよね?


 そんなの、その人にしか判らない苦労もあるだろうし?」


「そう思う?」


あんまり自信のない顔で返される。


「だいたいさぁ、その妬んでいる人たち? 

 

 幸一さんが目に見える才能の持ち主だとしたら、妬まないの? 


 オリンピックに出る選手達とかじゃなくてね、


 彼らはもちろん才能だけじゃなくて努力も半端ないって判っているんだけど・・・ 


 たとえば、美人ってわかりやすい才能だと思うのね、頭がいいのももちろん。 


 それって、天から与えられた才能でしょ?」


「うん・・・」


 幸一は、まだ的を得ない顔をしている。


「実家の環境も、同じことじゃないのかな?」


幸一のこっちを見る目が、一気に見開いた。


「うん。たまたま目に見える才能なんだよ、きっと。美人さんと一緒で! 


 人生に無駄な経験なんてないでしょ?例えば今日、ココで飲んでいることも!」


う~ん、、、 ワインを飲んだ後にウィスキーはやっぱり、思考がまとまらないなぁ、、、


何が言いたいんだ私! と一人ツッコミを頭の中でしていると、幸一も笑いながら


「全然意味わからないんだけど!」


って言ってきた。 ごもっともです。





「私もよくわからないんだけど、でも、


 美人さんやお金持ちさんが、その恵まれた部分は才能じゃないって誰が決めたの~? 


 誘惑も多いだろうし、苦労も多いと思うよ~! 

 

 それを耐えれるだけの才能があるんだから、妬むヤツなんて


 ほっといて堂々としとけばいいんだよ! それを理解らないんだから!」


 言いたいことが全部言えた気がする私は、また酔いどれ幸せモードに突入し


ねひゃひゃひゃと笑いながらお酒に舌鼓をうつ。シングルモルト最高!!




「へぇ、そう言ってもらったことは無かったな、気が楽になったよ、ありがとう!」


お役に立てたのならなによりだわぁ。お酒も美味しいし、気にしなくてよ?


「相談代として、なんか飲む?おごるよ??」


「アホか! 私は学生に奢ってもらうお酒なんて私の辞書にはありません!! 

 

 なんやったら自分で飲み! 楽しいで、酔っ払いは~」

 



 幸一が、大きく目を見開いた、気がした。




「よく来るんだよね?ココ」


「言ったやん、うちココの姉妹店の従業員やから仕事終わりに入り浸っているって!」


酔っ払っているせいか、関西弁丸出しになってきた・・・


「じゃ、今度は一緒に飲もうよ!また飲むときに俺の事呼んで!」


そう言って幸一は私に名刺を渡し、またね、とサークルのグループに戻っていった。


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