第1章 1: はじまりは・・・
「美紗緒、今度お父さんとこの店で食事しようと思っているんだけど、良かったら一緒に来ない?」
目の前の男性が言った言葉に、笑顔が凍りつく。
「そう、タイミングが合えば、ね」
美紗緒は凍りついた笑顔を悟られないよう、お箸で摘んだ和牛を、そのまま口にした。相変わらず、ここのステーキは美味しい・・・
その話は、普通の女性なら喜びに満ちた内容だった。にもかかわらず、美紗緒は相手に知られない様にため息をつく。
(これ以上、もう、近づかない方がいいかな) 美紗緒はぼんやりと思う。
彼は大病院の跡取り息子、これ以上近づくと過去も現在も全て調べ上げられるだろう。彼のご両親に。
(それだけは、避けなくちゃ)
頭の中で、繰り返す。本当に、居心地がいい場所だっただけに残念でならないが、仕方ない。自分が蒔いた種なのだから。それに、、、
(それに、付き合って間もないのに、お父さんに合わせるだなんて。。。)
そんなに社交的な親子だっただなんて、今まで聞いたことも無い。もしかしたら、彼にはよくある事なのかもしれないが・・・。
本当のことを知られる可能性がある限り、そんなリスクに身を投じる訳にはいかない。特に、彼には知られたくない。私の闇の部分を。
彼に知られるくらいなら、ただの友達に戻ったほうがいいのだ。そもそも、結婚する気などなかったのだし。
彼女は、何度も何度も、自分を言い聞かせ続けた・・・
きゃ~! 初投稿緊張します。。。
誤字脱字ありましたら、お知らせくださいませ・・・