<視力>のカケラ
続いての検査は……。
「次は視力ね」
サキは双子にニコッと笑いかける。
双子の立つ位置には、黄色い線が引いてある。
「やり方は簡単。どこまで見えるか、ってだけ」
サキは言うと同時に指を一本、双子の目の前で立てる。
「これ何本だ」
「「一本!!」」
「正解。コレを私は離れながらやっていくから、何本指を立ててるか当ててね?」
「うん!」
何でも楽しい事になってしまうカリナは元気に返事する。
カユウは心配そうにサキを見つめるだけ。
「じゃあ、始めるね」
そう言うと、サキは双子から少し離れる。
そして指を立てる。
「「4!」」
そして更に離れて指を立てる。
「「2!」」
するとサキは何か考え込むような動作をした後、定期的に下がっていた距離を一気に広めて
双子からかなりの距離をあける。
「……」
さっきと別人のようにサキは指を立て真剣な表情で双子の様子を見る。
「2!」 「4!」
「………」
サキは一瞬悲しそうな顔をして、目を伏せた。
そのサキをキランは真剣に見ていた。
でもサキは何事もなかったかのようにいつもの笑顔に戻り双子に近付く。
「これでこの検査はおしまい。次は耳ね」
「(…感情を殺す事…、か…。これだから”解放者“は少しやっかいなんだ)」
そんなサキにキランは苛立ちを覚えながらも見ていた。