<血液>のカケラ
「では、始めますよ?」
サキはニクハとキランに確かめる。
…反応を調べるにはいくつかの検査をしなければならない。
ニクハとキランは不安そうに頷く。
そんな二人を励ますようにサキは笑いかけ、カユウとカリナに視線を向ける。
「なにするの?」
「…注射?」
双子にとって理解させて検査するのは初めての検査。
検査をするのは五年おき。
0歳の時に検査をしたが、その時は双子は認識していない。
そしてあれから五年が経ち、双子はある程度分かる年齢になった。
「…そんな顔しないで。大丈夫、痛くないよ」
「「うん!!」」
そんな二人にサキはニコッと笑い、準備を始める。
最初の検査は血液検査。
道具をだした途端、双子の表情は恐怖一色になる。
「注射じゃん…っ」
「いやだぁ!痛いもん!」
「いい子にできたらお土産あげるよ」
サキがそう言うと、双子はぱぁっと笑顔になった。
「じゃあ、やろっか。どっちからがいいかな?」
「まず僕から!」
カユウは目を輝かせて言った。
そんな双子の変わりようにサキは戸惑いつつ、カユウの血液をとっていく。
そして終わってカユウをみると、怖かったのか固まっていた。
「終わったよー。おーい」
サキはそんなカユウの目の前で手をふる。
そして気付いたのか理解できていないような目でサキをみる。
「………」
「?」
目を合わせて、サキが笑いかけても反応がないためサキは目で『?』をおくる。
するとカユウは急に椅子からたち上がり、ニクハへ無言で抱きつく。
「………上手にできた?」
ボソッとカユウは呟いた。
そんなカユウにニクハは頭をなで、できたよ、と言う。
…とカユウはニコォと笑った。
「次はカリナのばんー」
ふてくされた顔のカリナがサキのひざにのる。
「それじゃ、できないよ。ほら、前に座って」
「……ぶぅ」
文句を言いながらもカリナは前に座る。
そして血をとられたあと、カユウと同じように無言でサキの膝にのった。