<再会>のカケラ
「ねぇ、お父さん!サキ兄ちゃんが来てるよ!」
「ん?…あぁ、分かった」
キランは双子の妹…カリナの頭を撫でる。
カリナは嬉しそうにニコッと笑う。
双子の兄…カユウはニクハに甘えていた。
———5歳になった、生まれてはいけなかった双子。
この家族は国の人から嫌われている。
【なぜ自分の家はいけなかったのに、あそこの家は許されたのか…】
という理由がほとんど。
ガチャッ———
「失礼します」
ドアが開くと、そこには少し大人になったサキが立っている。
雰囲気の変わったサキに多少驚きながらも椅子に座らせるキラン。
「どーぞ」
カユウはニクハの煎れたコーヒーを差し出す。
机に背が届かないため、どこか危なっかしい。
「ありがとう」
そんなカユウから笑顔でコーヒーを受け取り一口飲み、机に置いた。
そしてサキがコーヒーから手を離すと…
ドンッ!———
カリナがサキの膝の上に飛び乗った。
サキはしばらく驚いていたが、すぐ笑顔でカリナの頭を撫でる。
カリナは撫でられるのが好きなのか、ニコぉと笑う。
「悪いな。しつけが出来てなくて…」
「いえ、今はこういう年頃ですから。……しばらくの間これなくて申し訳ございませんでした」
「…気にするな。仕事…どうなだんだ?」
「あまり、よくないですね。…最近は暗殺ばかりです」
「……人間のか?」
「いえ、それは失敗作になった時で。……近頃、実験の事を他国に洩れつつありまして…」
「実験を知った人物、または見に来ている人物の排除か」
「…その通りです」
そしてキランは深く溜め息をついた。
そんなキランにカユウは近付く。
「ねぇ、サキ兄ちゃん!あんさつって何?」
なんにでも興味を示すカリナは”あんさつ“の意味を求めた。
そんなカリナにサキはただ微笑むだけ。
そしてカリナの頭を撫でながらの一言…。
「…カリナには、まだ早いかな」
「ふーん…そっか」
意外にもカリナはあっさりと諦めた。
「…では、いきましょうか。…検査をしに」
サキが呟くように言うと、キランもニクハも悲しそうな顔をして頷いた。