表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/17

<未来>のカケラ

「おーい、カリナぁ!」

「ちょっと待ってってばぁ!」


———あれから幾年…。

双子を育てる事を許された。

ある条件と一緒に…。



「サキです」

『用は何だ?』

「顔を会わせて話したく存じます」

『…そのまま話せ』


サキは諦めたような表情をつくるとキランをちらっと見た。

キランは仕方ない、と言うように頷いた。


「…双子が生まれました」

『……誰の子だ』

「キラン様とニクハ様の」

『人間なのだな?』

「それが…。僅かですが反応を見せております」

『何だと!?』


魔王は驚いたように声を上げた。

サキは気にせず、話を進める。


「キラン様やニクハ様はこの少しの可能性にかけて育てていきたい、との事です」

『…よかろう。ただし、人間になったら殺せ。親の手でな』

「……伝えておきます」

『サキの近くにいるのではないのか?』

「いません」


サキは再びちらっと見る。

キランは話ができる状態ではなかった。

【自分の手で子供を殺す】

その言葉に反応して、震えてしまっていた。


「では、失礼致します」

『あぁ、ごくろうだった。サキ』

「…これしか出来ませんから」


サキは一言そう言うと、震えているキランを背負い消えた。

そして家に戻って来た。


「あ、どうでしたか?」

「……」


キランはまだショックで震えており、話せそうに無い事をサキが悟ると話しだした。

ニクハのためにも…キランのためにも…言葉を選びながら。


「育てる事は許されました」


サキが言うと、キラン以外は安心して胸を撫で下ろしていた。

でもサキはですが、と付けたす。


「もしこの先、反応がなくなれば…”解放者“ではなく、親が子供を殺せとの事でした」

「っ!!」


ニクハは口を押さえる。

涙目になりながらサキにしがみつく。


「………」

「うぅ…ぅ…」


サキはそんなニクハをただただ悲しそうに見ていた。

そして落ち着いたのかキランが口をひらく。


「…解放者に、頼めないのか…」

「今、悪魔族の国は人間を無理矢理悪魔にする実験が行われています。その実験の成功率は0に等しい。そしてその実験の失敗作の始末は我々解放者が担当しています」

「…だから何だ。仕事だろう…!?」

「……解放者にも…その実験が及んでいるのです」

「!?」

「だから…人手不足なんですよ」


サキは申し訳なさそうに俯き、言った。



———解放者…。

それは悪魔族にも天使族にも…人間にも属さない特別な存在。

どこにも属さないため、神様や魔王の伝令を勤めたり、実験の失敗作の葬り…。

そして双子のうち一人…つまり、無駄な命を排除する…。


解放者の一番多い仕事は…殺す事…。

そのため、解放者は私情を出してはならない。

迷う事なく、小さな命…哀れな命をこの世から消すため…。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ