<祝福>のカケラ
———5月23日、午前4時43分…。
まだ外は薄暗い午前4時。
そんな不気味な朝に僕らは生まれた。
おぎゃぁ、おぎゃぁ———
ある一室に響く生まれたばかりの赤ん坊の声。
そして一分も経たないうちにもう一つの赤ん坊の声が響き渡る。
「…くそっ、また双子かよ!」
「どうしましょう…」
その赤ん坊の父、母と見られる二人は苛立っていた。
なぜなら、双子は産んでは駄目なのだ。
「……殺すしか…ないか…」
そんな父の発言に母は顔色を変える。
「ちょっと待って下さい!…双子でも私の子供です!」
「だからと言って、このままじゃ養えない」
「……っ!」
母はその場に泣き崩れる。
そんな母を父は黙って見つめていた。
コンコン———
『失礼します』
「入れ」
父が許可を出すと、扉はゆっくり開きお婆さんが入って来た。
産まれたばかりの子供を両手に抱えて。
「先に生まれたこちらの子が男の子。そして後に生まれたこちらが女の子。どちらも健全です」
普通ならいろんな人に喜ばれる、祝福される出来事。
なのに、父も母もお婆さんも…誰一人として笑っていなかった。
「この子は…人間なのですか?」
母は今にも泣き出しそうな顔で聞いた。
お婆さんは申し訳なさそうに頷く。
ショックで気を失った母を父はなんとか支える。
「やはり…私のような悪魔と天使の子は人間しか生まれないのか…」
「ですが、ほんの微かに…男の子にも女の子にも悪魔反応、及び天使反応が見られます」
「なに!?本当か!!」
父は目を見開きながらお婆さんに詰め寄った。
「はい…。ですが、本当に僅かなので成長するにつれ消える可能性も…」
「構わんッ!今、反応を示しているなら魔王様や神様に許可をとろう!」
「でも…天使と悪魔は結婚してはなりません」
「それは結婚する前になんとか許可をとった!」
「そうですか…。では、その報告…私の跡継ぎであるサキも同行させます」
そうお婆さんが言うと14.15歳くらいの少年が出て来た。
「私はサキ・ラニアと申します」
「サキか…分かった。私はキラン・クイだ」
「…と言う事は悪魔族…ですか」
「あぁ。こっちは天使族なんだが、結婚したからな。ニクハ・クイ」
「…以後、お見知りおきを」
そう言いながらサキは一礼した。
「では、行くぞ。ライ!」
「…はい?」
お婆さんは急に名前を呼ばれて驚いていた。
「ニクハの面倒、頼むぞ」
「はい」
返事を確認すると、キランとサキは部屋をでた。
…父と母とお婆さん(ライ)の名前でるの遅いね…。
まぁ…いいか…ww