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<真偽>のカケラ
「…ここではっきりしたらどうですか」
「何をだ」
サキはいつまでたってもはっきりしないキランに戸惑い、そして困っていた。
確かに二人共大切な子供だろう。
でも家族、という関係以外にも関係があるはずなのに…。
「はっきりするのは、お前の方なんじゃないのか?」
「…?と、言いますと?」
「黒察者だ、と早く言えばいいんだ」
「…何の話です?」
キランは相手の一番言われてはいけなさそうな事を口にする。
したはずだった。
でも、サキはさきほど同じく表情を一切変えることなく聞き返してくる。
「…キラン様。貴方は大きな勘違いをしていらっしゃるようで」
そんなキランにサキは可笑しそうに笑った。
カユウとカリナは話の意味さえ理解できぬまま、サキの腕の中できょとんとしている。
「…ねぇ、いつまで続けるの?」
「っ!?」
キランは後ろからの声に身を震わせる。
勢いよく後ろを振り返るもそこには誰もいない。
「いーじゃない。子供には黒察者なんて分からないでしょ」
次はさきほどまでサキがいた場所から声が聞こえる。
振り返ると、サキの隣に…女の人が立っていた。…ミスナだ。