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<行動>のカケラ
「あ、いた!」
カリナはサキを見つけると指をさす。
サキはこのことは想定外だったのか、目を見開いており、動揺を隠せていないようだった。
「なんで…」
サキは2人を見ると一瞬悲しげな表情を浮かべるも、幼いカリナとカユウは気付かずサキに歩み寄る。
「お父さんがね、サキ兄ちゃんには近付くなって言ってきたの!何かしたの?」
「……動いたんだ」
ぼそっと呟く。
すると黙っていたカユウが、さっきの言葉の意味を確かめようと口を開く。
「どういう意味?」
「…なんでもないよ。そうだ、ここじゃなんだから、僕の家においでよ」
「お菓子!?」
「うん」
一気に明るくなったカリナにサキはにこっと笑う。カユウはサキを疑視しながらも頷く。
そしてサキの家へ向かおうとした瞬間、
「おい!カリナを何処へ連れて行く気だ!」
「…あらら」
サキは見つかった、と言わんばかりに笑みを浮かべた。
始まった、という思いと…つながった、という自信に満ちた笑顔が…満月の光で不気味に照らし出された。