25話 話したいこと
私は屋敷に戻ると急いでお風呂に入り、簡単な朝食と身支度を済ませて神殿へと向かった。
昨夜はほとんど眠っていないのだけれど、神聖力が強くなったせいなのか、それとも興奮がまだ覚めていないのか、ちっとも眠いとは思わなかった。
いつも通りに女神像に向かって指を組み、お祈りを捧げているんだけれど……
思い出すのはシューク様に抱かれているシーン。
あんなことやこんなことや、恥ずかしすぎて口に出せないことばかり……。
もしも神官様が私の頭の中を覗いたら、卒倒してしまうのではないかしら……?
聖女様、いったい神様に何をお祈りしているのですかって……。
初めて味わう快感に、私の身も心も酔いしれてしまったのだけれど……
最後の最期で、シューク様を傷つけてしまった。
シューク様のすべてを受け入れるって決めたのは私だったのに
仮説が実証されたことは喜ばしいことなのに
つい、感傷的になって涙を零してしまった……。
そんな私に、シューク様はすまなかったって、謝ってくれた。
王族なんだから、謝る必要なんてないのに……。
今度会ったら、私から話そう。
もう気にしないでくださいねって。
私はこれからもシューク様の癒しの治療を続けたいって……。
私が祈っているフリをしながら悶々としていると、シューク様が現れた。
まるで私の祈りが神様に通じたみたい……。
「神官、少し聖女を借りるぞ」
シューク様も私に話したいことがあったみたい……。
シューク様は神殿内の応接室に私を連れて行き、テーブルを挟んで向かい合って座った。
人払いをしたので、部屋の中にはシューク様と私の二人きり。
「エクレーヌ、私はあなたを傷つけたことを、もう一度謝りに来たのだ。本当にすまなかった」
シューク様は、私を見つめた後、頭を下げた。
「いえ、シューク様、謝らないでください。もともとすべてを受け入れると決めたのは私なのです。それなのに、大人げない態度をとってしまいました。私の方こそ申し訳ございませんでした」
王族であるのに、私に二度も頭を下げるなんて……。
シューク様はやっぱり優しい。
「傷ついたのは私の心が弱かったからです。シューク様の呪いを解くためなら、協力することは当然で、仮説が実証されたことは、むしろ喜ばしいことでしたのに……」
「やはりエクレーヌは優しいのだな。傷つけた俺を許してくれるのか……」
「許すも何も・・・、私は怒ってはいませんわ。だから、もう気にしないでください」
「そう言ってくれるのだな。ありがとう」
「シューク様、私はこれからも、シューク様の呪いを解く癒しの治療を続けたいと思っています」
「あなたがそう言ってくれるのなら、頼みたいことがあるのだ。聞いてくれるか?」
シューク様は熱を帯びた目で私を見つめた。




