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魔食晩餐〜最弱スキル食材鑑定でダンジョンサバイバル〜  作者: 猫屋犬彦
序章

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第7話

(*´ω`*)けもけも〜

 安眠妨害をされている。


「はぁっ!はぁっ!やぁっ!たぁっ!」

「⋯⋯⋯⋯⋯」


 此の木の枝は寝心地が良かったのに。


「ふんっ!ふんっ!ふんっ!」

「おい」


 堪らずにその邪魔者に声を掛ける。

 小さな体を汗だくにして、適当に体を動かしている人間の小僧にだ。


「おーい」


 真上から声を掛ける。

 不機嫌が伝わった尻尾が枝葉を散らす。

 その小僧は小枝や葉が降って来ても気にしていない。


「シカトかぁコラ」


 眼力を強めると、その子供がピクリと反応する。

 だが気付かない。

 何故―――


「ああ、そうか」


 無意識に使っていた隠形を切る。透明に成れる訳ではないが、周囲に認識阻害を起こす技術である。

 微かな魔力反応が有る以上魔法と呼べなくもないが、通常の魔力反応を薄くする為、魔力反応を増幅する魔法とはやはり同じではない。それに極論魔力反応が有れば魔法と云うなら、拳や蹴りも魔法と言わないといけなくなる。


「おい」

「わぁっ!?」


 頭上から突然声を掛けられ、その小僧が吃驚する。

 その様子が可笑しかったので笑う。


「くふふっ」

「え?だ、誰―――」


 此方を見上げる瞳が純粋で気に入った。

 先程の笑える反応も良かったので、安眠妨害は許してやる。


「軸がブレてる」

「え?」


 疑問符を浮かべた小僧に指示を出す。


「腰を落とせ」

「あ、はいっ!」


 素直な小僧だった。逃げる訳でも疑う訳でも怒る訳でもない。


「体重を乗せろ」

「んっ!」


 先程より鋭い拳が空を切る。少しはまともになった様だ。


「はぁ⋯もう少し離れてやれ」

「はいっ!有り難うっ!」


 そう言って人間の小僧が離れて行く。

 縄張りの外に出て行くかと思ったら、近くに有った自分の荷物を漁って戻って来た。

 見なくとも解る。若く生命力に溢れた魂。

 その魂から放たれる魔力反応。


「⋯⋯⋯⋯」


 何かを感じる。視線だ。隠形を再びオンにした筈だ。実際人間の小僧は此方をハッキリとは認識していない。だが此方を視ている。


「ちっ」


 一回認識させてしまったからだろうか?隠形が見破られた。だがそれだけでは無い気がする。


(魔力感知かの?何のスキルじゃ?)


 悪い癖だ。

 他人のスキル等どうでも良い。

 魔法の才能が有っても平凡な家庭を望んだ女。

 戦闘職のスキルを持っていても花を育てるのが好きだった男。

 宝の持ち腐れと云えばそうなのだが、果たしてそうなのだろうか?

 争い事に向かない奴は向かない。

 メンタルが弱い者を戦場に引っ張り出しても死ぬだけだ。


「お主はどっちじゃ?小僧?」


 独り言に近い言葉だったが、相手を認識して放った言葉⋯言霊とも呼ばれる魔力反応を知覚した人間の小僧が彼女をハッキリ認識したのが解った。


「あ、居た。此れ良かったら⋯よっと!」

「何じゃ?」


 人間の小僧が何かを投げて来た。

 鼻をひくつかせて果物だと解る。

 パシリと尻尾で受け止める。


「おい⋯ったく」


 余計なお世話だと返そうとしたが、人間の子供はすでに離れていた。

 言い付け通りに離れて鍛錬を続けている。

 貰った林檎を齧る。


「美味いの」


 普通の林檎だった。だが美味い。


「⋯食材鑑定」

「あん?」


 返事が有った。此れも独り言だったのだが。小僧の方も独り言と云うか、独白に近い。


「俺のスキルです」

「そうか」


 その俯いた顔は樹上からは見えないが、感情は解る。解ってしまう。


「ふっ!ふっ!」


 人間の小僧が拳を振るう。先程よりはマシだが、あんな拳ではゴブリンすら殴り殺せまい。


「仕方無いの」


 頭をガリガリと掻く。別に面倒を見てやる義理も無い。何しろ面倒だからだ。そうだ。面倒臭い。早く疲れさせて居なくなって貰おう。


「打って来い」


 地面にふわりと降り立つ。


「林檎一個分くらいなら付き合ってやる」


 そう言って林檎を齧る。


「お願いっ!しますっ!」


 人間の小僧は足を踏み締め、彼女へと殴り掛かって行った。

(*´∀`*)けもも〜

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