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魔食晩餐〜最弱スキル食材鑑定でダンジョンサバイバル〜  作者: 猫屋犬彦
序章

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第6話

(*´ω`*)おぱようございみゃふ!

 カヤルが早上がりするとクートが迎えに来ていた。

 

「お待たせ」

「いえ、大丈夫です」


 クートは何時もの服装⋯ではなかった。

 レンダから亡くなった旦那さんの服を貸して貰い、少しはマシになっていた。此処に来る前に湯で体も清めている。


(へぇ、身嗜み整えてくれたんだ?)


 カヤルポイントがピロリロリンと上がる。

 毎日薬草採取クエストに出掛けるクートの普段着は基本汚れている。

 宿屋の調理補助をする時も清潔な服を借りていた。


(私は普段着だけど⋯まぁ良いか)


 流石に家に帰って着替える余裕も無いのでカヤルは普段着だが、高給取りの冒険者ギルド受付嬢の普段着の方が今のクートの服装よりも上等だ。


「では行きましょう。クート君」

「はいっ!カヤルさん」


 カヤルはどさくさ紛れに敬語を止めて君付けにする。

 目的地には直ぐに着いた。行き付けの店を昼間に予約していたのだ。

 先ずは普通に食事を楽しむ事にする。その前に乾杯だ。


「Fランク昇格おめでとう。クート君」

「有り難う御座います」


 赤ワインが揺れるグラスをチンと合わせてから口を付ける。


「酸っぱい」

「あはは、クート君には早かったかしら?」


 ワインを飲んで戸惑うクートと、それを微笑ましく見つめるカヤル。

 クートは成人済みだが成人になった直後に故郷を飛び出して来ている。

 その後のお祝いの席やお祭りが有れば飲酒の機会も有ったのだろうが。新成人クートの初めてのお酒体験である。


「お肉だぁ」

「くすっ。いっぱい食べてね」


 前菜もサラダも何も無し、ドカンとデカい肉を焼いた物が出て来る。

 今夜は別に恋人達のディナーではないので高級レストランのフルコースではない。

 大衆食堂とレストランの中間の様なお店を選んだ。カップルや家族連れだけでなく、割と品の良い冒険者達も客として居る。勿論カヤルとは顔見知りだ。

 しかし彼等は常識人で空気を読めるので、子供にしか見えないクートと一緒に居るカヤルを見ても気付かないフリをしてくれている。有り難い事である。


「美味しいです」

「お野菜も食べなさいね」

「はいっ!」


 クートの皿にサラダも取り分けてやる。

 カヤル自身はツマミを食べながらワインを飲むぐらいだ。

 いっぱい食べる男の子を見ているだけで幸せな気持ちになる。男はやはりたくさん食べる豪快な方が良い。

 不潔でだらしない男は論外だが、冒険者なら多少はワイルドな方が良い。ワイルド過ぎて娼館通いが日課みたいな男は勘弁だが。


(戦闘職じゃないからってのは地雷よね)


 カヤルの最終目標はクートを安全な職種に誘導する事だ。勿論彼の夢を否定したい訳じゃない。

 戦闘職でなくともやれる所までやるつもりなのだろう。

 だが、見ていただけだがカヤルは知っている。

 戦闘職でないのに無茶をして死んで逝く新人冒険者達を。

 戦闘職でも油断すれば二度と帰って来ない冒険者達を。

 『カヤルさん、また後で!行って来ます!』⋯そう言って生きて戻って来なかった冒険者達を。


(嫌われちゃうかもだけど⋯言わなきゃ⋯)


 クートを結婚相手としてワンチャン狙ってるのも本当だが、心の底から心配しているのも本心である。

 戦闘職では望んでも内勤は難しい。怪我を機会に後進育成に転向するベテラン冒険者も居るが、何かの拍子に昔の冒険心が騒ぎ、突然ダンジョンへ向かってしまう者も居る。

 彼の食材鑑定は優れたスキルだ。最弱でも外れでもない。

 

「クート君」

「もぐもぐ、ごくん⋯ふぁい?」


 食後のデザートのケーキを食べている彼に話し掛ける。


「Fランクに上がったからって、いきなりモンスター討伐やダンジョン探索に向かうのは無謀だと思うの」

「ええ、そうですね」


 こんな事を言えば反発される。彼の顔から目を逸らしてしまう。


「だから、ね。先ずは片手間でも良いの。冒険者とは違う別の仕事を見つけてみるのも良いと思うのよ」

「見つけました」


 冒険者としてやって行こうとする少年には受け入れられない事だろう。明日からは別の受付嬢のカウンターに向かうクートを容易に想像出来る。哀しい。


「それでね⋯て、え?」

「え?」

 

 思わずクートと見つめ合いお互いに疑問符を浮かべる。

 

「え?じゃぁ今は宿屋でも働いているの?」

「朝と夕方だけですけど」


 クートが何故時間帯をズラしていたのかの疑問が解けた。


「そうなんだね⋯」


 クートの話を聞いて拍子抜けしてしまう。クートは思っていたよりずっと慎重で堅実だった。

 今は宿泊してる宿屋で下働きの様な事をしてるとの事だ。スキル食材鑑定を活かし、買い出しや料理でも活躍してるらしい。


(すでに違う道を模索してる?)

「じゃぁ冒険者は―――」

 

 辞めるの?と訊く前に応えが返って来る。


「大丈夫ですよ。ちゃんとクエストも受けます。只今の自分ではモンスター討伐もダンジョン探索も無理だと思うので、少し鍛えます。装備も揃えたいですし」

「そう、頑張ってね」


 違う意味で心配されたと思われたが、勘違いを訂正出来ない。立場からしてそう思われて当然だからだ。


「ご馳走様でしたっ!済みません」

「いいのよ。お祝いなんだから」


 並んで夜道を歩きながら会話する二人。


「なら今度は俺がクエストで稼いだらご馳走しますからっ!必ずっ!」

「⋯無理しないでね」


 笑顔で話すクートに、カヤルは複雑な感情を抱くのであった。


「⋯ところで、その宿屋って若い娘居る?」

「リコって子が居ますね。可愛いですよ」

「かわっ―――何歳?」

「さぁ?十歳ぐらいですかね?」

「へぇ、なら安心⋯⋯⋯⋯⋯いえ、年下?若い女⋯私よりクート君に年近い⋯」

「?あの、カヤルさん?」


 そう云えば元彼が選んだのも自分より若い娘だった事を思い出すカヤルであった。

 そうして彼女は失念する。何故クートが薬草採取クエストを短時間でクリア出来る様になったのか?その理由を訊ねる事を―――

(*´ω`*)お読み頂き有り難う御座いみゃす!

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