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魔食晩餐〜最弱スキル食材鑑定でダンジョンサバイバル〜  作者: 猫屋犬彦
序章

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第5話

(*´ω`*)おぱようございみゃふ!

「働きたい?」

「はいっ!」


 クートは宿屋の女将さんに直談判していた。


「アンタ冒険者だろう?どうしてウチに?」


 戸惑いつつも品定めする様な視線を浴びるが、クートはそれを受け止める。

 偽らざる気持ちで応える。


「俺はもうすぐFランクに上がります」

「そうかい。おめでとう」


 女将さんの目が細まる。複雑な気持ちであった。クートは冒険者になる為に町にやって来てからずっと此の宿を使っている。

 一日一食になる夕食をたくさん食べ、朝から元気に飛び出して行く。

 薬草採取が順調なのは良い事だがいずれ終わりが来る。それが来た。


「んん?それがどうしてウチで雇って欲しい事になるんだい?」

「お金を貯めたくて」

「ああ、そうかい。アンタ思ったより堅実なんだね。直向き過ぎて心配してたんだよ」


 女将さんがホッと息を吐く。Gランク冒険者が薬草採取等の簡単なクエストしか受注出来ない事。Fランクに上がればモンスター討伐やダンジョン探索が可能になる事は知っている。

 冒険者でなくとも、冒険者相手の商売をしてれぱ自然と身に付く知識である。


「でもクエストに行かなくて良いのかい?」

「クエストは受けます。朝と夕方で働かせて貰えれば嬉しいです」

「でもうちも人を雇う余裕は⋯」

「いえ、もし可能なら宿代分を働いて支払います」

「ああ、成る程。そう云う事かい」


 クートと女将の間で話があっさり纏まる。

 朝夕の手伝いの報酬は宿代と二食の賄いで相殺。

 クートはクエスト報酬を丸々蓄えられる事になる。


「あたしはレンダだ。おーいっ!リコ!おいでっ!」

「何?母さん」


 レンダが大声を出すと、レンダに良く似た女の子がやって来た。クートよりも若い。十歳ぐらいだろうか?


「今日から働くクートだよ」

「え?お兄ちゃんお客さんじゃ?」


 リコとは何度か会って会話もしている。お互い宿泊客と看板娘なのは知っていた。


「今日からよろしくお願いします。レンダさん、リコさん」

「リコで良いよ。敬語止めて。クー兄って呼んで良い?」

「勿論。リコの好きに呼んでよ」

「えへへ、そっか。よろしくねっ!クー兄っ!」


 そうしてクートの一日の予定が出来上がった。

 朝起きたら先ずは宿屋と一階の食堂の掃除や仕込みを手伝う。

 その後、賄いを食べてから冒険者ギルドへ向かう。


「女将さん美味いですっ!」

「はは、賄いだけどね」


 客相手に出す料理とは違う有り合わせだが、今のクートにはご馳走である。

 そして昼前に冒険者ギルドに行き、薬草採取クエストを受けて森へ。


「やるか⋯『食材鑑定』」


 スキル発動時に宣言等要らないが気分である。

 言葉を発する、特定のルーティンを作る、オートで発動する様な条件付けをする。そうしてスキルのオンオフを行う事も必要である。


「視えた」


 魔力感知と云う発想は無いが、クートは薬草が放つ固有魔力パターンを拾い必要分を確保。冒険者ギルドへ戻り換金。

 その後はまた宿屋と食堂の手伝いである。


「クー兄、それどうかな?」

 

 今は宿屋の看板娘リコと明日の分の買い出しに来ていた。夕食は今宿屋でレンダが作っている。


「そっちのが良い。そっちは中身が傷んでる」


 クートは己の固有スキルを伝えていた。

 食材鑑定と云う冒険者に不向きなスキルだが、レンダとリコ母娘には大いに歓迎された。クートとしては複雑ではあったが。

 リコはチャキチャキと良く働く娘だったが、普通にまだ小柄だ。日中しか行かさないとは云え買い出しも一人だし、レンダはやはり心配であった。


「クー兄が居て助かるよ。うちでずっと働かない?」


 レンダリコの母娘は二人で宿屋を切り盛りしていた。若いとは云え男手は嬉しかったのだ。


「いや、俺は冒険者だから」

「そっかぁ」


 残念そうに笑うリコ。

 クートが宿屋で働こうとしたのは時間短縮の為だ。寝起きする場所が職場なら大いに時間を稼げる。

 当然の様に料理も手伝う。


「アンタ手際良いね」

「やってましたから」

「そうかい」


 レンダは深くは聞かない。成人したての若者が冒険者を目指して家を飛び出す。良く有る話だが事情はそれぞれ大きく異なる。

 中には温室育ちで自分の世話一つ出来ないボンボンも居る。だがクートは違う。

 食材鑑定スキルが有るとは云え、肉も捌ければ料理も出来る。

 多くは語らないが、それなりに苦労して来たのだろう。


「頂きます!」

「たくさん食べな」


 夕食代わりの賄いを頂く。客に出す料理の余り物だが、女将さんは大盛りによそってくれる。


「さて、と」


 夕食後から寝るまでの時間を訓練に当てる。

 大きな冒険者ギルド支部なら訓練設備も有るのだが、この町のギルドにそれは無い。頼めば誰かしら面倒を見てくれるかも知れないが、夜遅くのこの時間では無理だろう。

 道場に通う金銭的余裕も時間的余裕も無い。

 結局は自己鍛錬となる。


「はぁっ!はぁっ!はぁっ!」


 走り、筋トレをし、拳や蹴り、ナイフを振って格闘術の練習。

 その後は井戸から水を汲んで布で体を拭く。

 そして眠り、朝起きたら宿屋の手伝い。

 そんな毎日を過ごすうち、薬草採取クエスト受注上限に達し、クートはFランク冒険者となるのだった。


「女将さん、御免。今晩予定入っちゃったので⋯。あ、ちゃんと仕事はしますよ?」


 クエストをこなし宿屋に戻って来たクートが申し訳無さそうに伝える。


「そうかい、Fランク昇格祝いは明日にするさね」

「済みません、有り難う御座います」

「で、誰とデートだい?」


 女将さんが意味深にニヤリと笑う。


「デート?ギルドの受付の人と食事です」


 クートがキョトンとして応える。


「はっはっは!隅に置けないねぇ、クー坊も」

「はぁ⋯」


 良く解っていないクートが視線を感じて振り返る。其処には頬を膨らませたリコが居た。


「クー兄の⋯馬鹿っ!」

「えぇ⋯?」


 走り去るリコの背中を見てクートは困惑するのだった。

(*´ω`*)お読み頂き有り難う御座いみゃす!

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