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魔食晩餐〜最弱スキル食材鑑定でダンジョンサバイバル〜  作者: 猫屋犬彦
序章

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第46話

(*´ω`*)おぱようございみゃふん!

「結論」   


 クートはチョッパーを振り抜き、オークを真一文字に斬り捨てる。流石に上下に一刀両断とはいかなかったが、腹から臓物をばら撒きオークが事切れる。


「此のダンジョンは探索に来た人間を鍛える為に作られた」

「と、云うのが通説だね。勿論転送陣や緊急避難転送魔法との接続は魔法士ギルドが行っているが、其れも探索をし易くする為の追加装置に過ぎない。此のダンジョンは最初から人を受け入れている。壁を見給え」

「壁?」

「天井でも良いかな。此のダンジョンの建材は淡く発光しており、松明や光を放つ魔法が不要だ。単純な事だがとても大事だね。ダンジョンに依っては松明を常に片手に持ち、暗闇の中を手探りで進むしかないのだから。此処は明らかな人工物で有るし、更には探索者を拒んでいない。未熟な者は死ぬ事も有るが、基本的には親切だ。ボス部屋の前には安全地帯が有るしね」


 クートはフラッペの話を聞いて納得する。クートが望んだ未知の冒険とは違うが、チュートリアルダンジョンと考えれば悪くない。そもそも今は格上のフラッペやショコラが同行している。初ダンジョンクエストにしては手厚い待遇である。


「但し、ボス戦は気を付け給え。ボス部屋からは緊急避難転送魔法が使えない。魔術式が乱されるんだろうね。雑魚モンスターに油断し、緊急避難転送魔法に安心してボス部屋に入り、其のまま帰って来なかった者達も一定数居るよ」

「成る程ね」


 地下一階から地下九階までで雑魚モンスターで探索者の力量を測り、ボス部屋で其れに見合ったボスモンスターと戦わされる。負ければ死。其の事実にクートの心は歓喜に震える。一応今も命の遣り取りはしているが、歯応えが無かったのも事実だ。地下十階が楽しみである。そして今は地下九階である。いよいよ階層ボスとのご対面だ。


「コツを掴んで来たぞ」


 牽制の為に当てずっぽうに投げていたスリングショットの精度が上がって来た。牙や角や魔石をスライム目掛けて叩き付けたらそのまま崩壊した。核に成っていた魔石付近の内臓器官を破壊出来た様だ。ゴブリンに魔石スリングショットを浴びせたらゴトリと倒れ動かなくなった。魔石は硬い。体内に入り込んだ魔石が致命傷を与えたらしい。魔石や素材を使い捨ててる様で勿体無い気もするが、倒した全てのモンスターの魔石や素材を持ち帰るのは現実的に不可能だ。そう考えると此のモンスターリサイクルシステムは上手い具合に機能してると言える。


「生きたダンジョン⋯ダンジョンコアの有るダンジョンか⋯」


 行程は楽ではあるが、まるで大きな意思の掌の上か、巨大生物の胃袋の中に居る様な不気味さを感じるクートであった。


「腹減ったな」


 クートが腰のポーチを漁っているとショコラが食べ物を差し出して来た。


「どうぞぉ〜〜〜」

「頂きます」


 肉をパンで挟んだ物を咥え、齧りながらチョッパーを片手で振り回す。


「もぐもぐ」

(成る程。コイツも少しコツを掴んだぞ)


 疲労も無くも無いが、其れ以上にチョッパーに慣れた。良い具合に力が抜けて来ている。対モンスター用肉切り包丁を遠心力と重量で叩き斬る様に叩き付ける。片手で使うと今も体が持ってかれるが、其の勢いに逆らわなければ良い。チョッパーの流れに乗り足運びをする。肉とパンをもぐもぐしながらもう片方の手で手斧を振り回す。重量バランスを取る事で安定させるのだ。チョッパーと手斧の二刀流である。


(師匠。有り難う御座います)


 金色のフサフサ耳とフサフサ尻尾を思い出す。手解きを受けた二刀流が役に立っている。包丁と手斧の二刀流等、師匠に見られたら叱られるか呆れられるか笑われるか。


「なんだか活き活きしてますねぇ〜」

「ふふ、可愛いだろう?」


 アラフォーアラサー凸凹魔法使いに好奇の目で見られながらクートは肉切り包丁と手斧を振り回す。オークの頭に手斧を突き刺し、ウルミでバチバチと他のモンスターを叩く。チャクラムを投げて、空中を飛んでいた大きな蝙蝠⋯マーダーバットを撃ち落とす。何階からかは忘れたが何時の間にか出現モンスターのバリエーションが増えていた。すばしっこい大きな鼠型モンスターであるマーダーラット、肉食で知られるマーダーラビット、凶暴で好戦的なマーダースネークも居る。


「石畳のダンジョンに獣系が居ると違和感が凄いな」


 マーダーバット、マーダーラット、マーダーラビット、マーダースネークは其処まで強くない。素早くてウザいと云うのが感想だ。鼠や兎は蹴り殺せば良いし、蛇は踏み潰す。蝙蝠が一番鬱陶しいがスリングショットでも普通に撃ち落とせる。


(⋯でも、初級魔法士や下級魔法士の心を折るには最適かな?)

 

 魔法使い達は回復が難しい魔力を絞り出してモンスターを撃破して行く。雑魚とは云えオークやスケルトンなら貴重な魔力を使って倒すしかないが、小動物系は厄介かも知れない。マーダーバットは魔法を当てるのが難しい。マーダーラットもチョロチョロしていて狙い難い。マーダーラビットも的が小さい。だからと云って放置も出来ない。小物に対処してるとスケルトンやゴブリンの物量に押し潰される。


「罠張れたらもっと楽なんだけどなぁ」

「私としてはもう少し苦戦すると踏んでたんだがね」

「普通に踏破しちゃいましたねぇ〜」


 フラッペとショコラの感想を聴きながら、発見した階段を降りて下へと進む。 


(階段を降りている最中に襲って来ないのも親切設計だな。普通のダンジョンだとこうは行かない)


 階段と云う不安定な足場は格好の狩り場となろう。此のダンジョン探索も楽しいが、此処しか知らないのはやはり危険だ。魔法士ギルドが中級魔法士以下の単独探索を禁じているのは、此のダンジョンが他のダンジョンと比べて安全だからだろう。此処に慣れるのは危険だ。


「アレ?此処は⋯」

「おやおや、もう地下十階だよ。やはり思ったより早いね」


 其処には何も無かった。いや、有る事は有るが、フロアが広い。だだっ広い。階段が有る今のフロアの先には扉が有る。今までの探索した脳内マッピングの感覚だと、此の今のフロアと扉の先のフロア、更に先にフロアが有ったとしても恐らく三部屋か其のぐらいだ。


「アレはキャンプだよ。常に最低三人は魔法士ギルドの職員が居る。少し休もうか」

「あの扉」

「まぁそう急くな。ゆっくりしよう」


 広大な部屋に安全地帯。キャンプ。と来れば―――


「階層ボスの部屋」


 クートは自然とチョッパーを握る手に力が入る。肉切り包丁がギシリと軋む。薄っすらと光るダンジョンの壁の魔力光が、血の付着した刀身をギラリと光らせる。其れ以上にギラついた目をしたクートが、ボス部屋の扉を凝視し続けていた。

(*´ω`*)お読み頂き有り難う御座いみゃす!

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