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魔食晩餐〜最弱スキル食材鑑定でダンジョンサバイバル〜  作者: 猫屋犬彦
序章

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第45話

(*´ω`*)

 クートは即席自作のスリングを確かめる。予備の革ベルトに布を結んだだけのお粗末な物だ。


「スリングショットか。器用なもんだ。でも弾はどうするんだい」

「此れで行く」


 フラッペに訊ねられ魔石を取り出し示す。


「ははは、君は本当に面白いな」

「スリングはあんまりやった事無いんだけど、ねっ!っと!」


 クートは小粒の魔石をスリングショットで撃ち出す。魔石がバチバチとモンスターに当たるが勿論其れで倒せる訳も無い。


「よいしょ」


 其れでも怯む。十分隙を作れる。後は手斧やナイフ、ウルミを使ってザクザク倒して行く。


「君はアレだな。スタミナが凄いな」

「うん?まぁ若いから、かな?」


 抱く女は大体クートより先にへばる。レナぐらいだろうか?同じぐらいのスタミナが有った女は。しかし槍術スキル持ちの前衛戦闘職と一晩中ヤり合ってケロリとしているクートも大変な性豪である。


「うーん。飽きて来るな」


 クートが感想を漏らす。先程から出て来るモンスターが代わり映えしない。Fランクの雑魚モンスターだけである。順調に地下三階、四階まで進んでいたが、出て来るモンスターも同じ。景色も同じ。ずっと同じ場所をぐるぐる回ってる様な気がして来る。


「けど、此の慣れも罠だったりする?」


 単調な作業と成っているのがダンジョンの狙いかも知れない。


「多分そんな裏は無いよ。初級魔法士なら地下二階辺りで魔力切れでリタイアする。下級魔法士ならまだ少し余裕有るかな?此の単調且つ延々と襲って来るモンスターは魔法士にはかなり苦戦する相手なんだよ?クート氏なら下級魔法士まで直ぐさ」

「そうかなぁ?俺は純粋に魔法使って探索してる訳じゃないし。だからってズルしてる訳でもないけど」


 魔法使いの魔法は強力で魅力的だが、消費した魔力は中々回復しないと聞く。クートにだって体力気力に限界は有るが、小休止や食事で回復出来る。しかし魔力は一晩ぐっすり寝ないと完全回復はしないらしい。強引に回復させる魔法の薬も有るが、副作用も有るらしく余り推奨されない。


(魔法使いが貴重なのは其処だな)


 ぐっすり寝たり高価な薬でないと回復しない魔力。勉強や瞑想に時間を使う為に身体を鍛え難い環境。冒険者には不向きな職種だが、魔法使いは常に求められている。其のデメリットやコストに見合った能力が有るからだ。


(感知魔法で索敵出来る。鑑定魔法で罠や宝物を調べられる。回復魔法で怪我を治せる。防御魔法で敵を防げる。そして何より―――)


 フラッペをチラリと見やる。


(攻撃魔法の圧倒的火力⋯)


 フラッペが規格外なのは解るが、彼女より遥か下の魔法使い達も其れなり以上に戦えるだろう。クートがチマチマ一体一体倒してる雑魚モンスター等、範囲攻撃で一毛打尽に出来る筈だ。


「俺が勝ててるのは相手が雑魚だからだ」

「ははは、正直で宜しい。君は謙虚なのか自己評価が低いのか。ちなみに転送陣は一階フロアと最新最深部の最下層にしか設置していない。と云うか出来ない。小まめなショートカットは不可能だよ」


 クートはフラッペの説明に聞き入る。初ダンジョン探索の貴重な経験だ。一言一句聞き漏らせない。一分一秒も無駄に出来ない。


「転送陣は上級魔法士一人と随行者二人までが同時に転移出来る。部外者は魔法士ギルドの通行証が無いと弾かれる。ちなみに君の通行証はそのチョッパーだよ。大事にし給え。我々魔法士も通行証は持っているが、自分達で魔術式を刻めるから再発行は簡単に出来る。通行証と本人の魔力は紐付けされてるから、私の通行証は君では使えない。其のチョッパーはクート氏の魔力パターンを私が刻んだ君専用の通行証さ」


 フラッペは馬車内でクートの手を握りながら魔力パターンを読み込んでいた。指紋声紋と同様に、魔力パターンも個人個人で差異が有る。


「此の肉切り包丁が⋯」


 クートはゴブリンの首を断ち切りながらチョッパーを繁繁と見つめる。どう見ても普通の⋯よりかは大きいが⋯肉切り包丁である。魔力感知能力が有れば何か解るのだろうか?


「あのぉ〜普通は杖とか短剣とかカードとかですからねぇ〜?チョッパーにわざわざ魔術式刻むのはフラッペさんぐらいですからぁ〜」


 フラッペの片寄った説明にショコラが補足を入れてくれるのは有り難い。クートは雑魚モンスターを片付けながら其れ等の情報を耳に入れる。


「我々の魔力パターンは転送陣に保存されている。最新最深部に自力で到達した者しか転送陣は使えない。それ以外の魔法士が下手に最深部に行っても死ぬだけだからね。まぁ安全措置だね。転送陣は本当に便利だが、そう云った制約が色々有る。やはり危険だからね。転送陣の運用が不安定だった頃の話だが、最下層の強力なモンスターが一階から地上に溢れ出す事故も有ったそうだよ。勿論うちはそんなヘマはしない。何処か遠くの国の話だったかな」

「ふーん」

「此処は我々魔法士ギルドの庭だ。転送陣に安全地帯にキャンプ。私には必要無いが、緊急避難転送魔法も有る。使用すると一階の転送陣へ送還される。但し其のログは残るからな。撤退はペナルティが発生する」

「そっかそっかー」

(有用な情報だが話が長ぇ)


 クートはフラッペの話を聴きながら、ドロップした魔石や素材を拾う。今回の目的は魔石回収や素材採取ではないので、其れ等全てを拾った側からスリングで投げ付ける。モンスターが多く居る方を突き進むと階段が見えて来た。次は六階、いや七階か。


「階段は一休み出来るな」

「解ってはいたが本当にタフだね。全く音を上げないね」

「そぉですねぇ〜上腕二頭筋と広背筋が可愛いですぅ〜」


 凸凹魔法使いコンビが何か言っているが気にしない。階段を降りながら頭の中を整理する。

 フラッペの話を要約すると⋯


「此のダンジョンは魔法士ギルドの完全管理下に有る。此のチョッパーには魔術式が刻印されており、所持者の生命活動⋯放出される魔力パターンが希薄に成る等⋯が有ると地上一階に強制転送される」

「そうだね。余り体から放しては駄目だよ。壊してもね。だから危険を感じたら通行証を投げ捨てたり破壊すればオートで緊急避難転送魔法が発動するよ。其れで脱出出来る」 

「破壊って、俺の肉切り包丁なんだけど⋯」


 緊急避難転送魔法なのに壊れて発動しない、体から離れてて使えないでは意味が無いだろう。故に逆転の発想で壊れたら発動、体から離れ過ぎたら発動する様に設定されてあるのだ。


「だからぁ〜普通はカードとか杖とかなんですぅ〜危なくなったら簡単に壊せる様に〜」

「壊せるとしても勿体無いかな」


 此のチョッパーは手に馴染む。壊す等勿体無いだろう。

 クート達は無事地下七階へと辿り着く。モンスターが目の前に居る。クートは拾っていた魔石や牙等をスリングショットで叩き付ける。スリングショットで足の骨を砕かれたスケルトンが転ぶ。背後に居たゴブリンがそれに躓き重なる様に転ぶ。チョッパーでスケルトンの頭蓋骨とゴブリンの頸を破壊する。

 情報整理を再開しよう。


「出現モンスターは探索者の強さを測る為に出て来ると云う説も有る。何故なら―――」


 マーダーウルフの大きく開いた口に鋼糸を投げ込む。サハギンの顔面にウルミを叩き付け、チャクラムを投げて回り込もうとして来たコボルトの顔面に突き刺す。怯んだ敵の首筋に順次ナイフをザクザクと突き刺す。倒れたモンスターの死体が邪魔で突進力が落ちたファングボアの脳天に手斧を振り降ろす。


「各階層のボスモンスターは探索者の強さに比例して種類や強さが変動する」

「うむ。此のダンジョンが生きてると云われる所以だね。探索者の強度に合わせてボスモンスターの強度も変動する。地下一階から地下九階まで出て来るモンスターは、物差しの様な物なのだろうね」

(*´ω`*)

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