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魔食晩餐〜最弱スキル食材鑑定でダンジョンサバイバル〜  作者: 猫屋犬彦
序章

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第41話

(*´ω`*)フラッペに突っ込むのにクートが疲れて来てるので新キャラ登場です。

「フラッペ、後どのぐらいで着くの?」

「ああ、まだ掛かるかな。ゆっくりしてい給えよ」


 アレから数時間は馬車に揺られている。最新式の魔道車ではないものの乗り心地は今までで最高だ。多分かなり高度な魔術式を組み込んだ魔道具を使用しているのだろう。素材もきっと一級品だ。偶に石を踏んだ様な軽い振動を感じるが、それ以外は特に静かだ。防音性も高い。外の喧騒がまるで聴こえない。


(いや?全く聴こえないのはおかしい。何処に向かっている?)


 町中ではないのは確実だ。だからと云って場所の特定は不可能だろう。回り道等をされて時間調節されている可能性も有る。身動ぎしたクートを見てフラッペが楽しそうにする。


「お、トイレかね?手伝ってあげよう」

「大丈夫。事前に済ませてある。だからズボンを脱がそうとするな」


 今クートは目隠しをされている。更に頭には良く解らない魔道具らしき帽子を被せられている。鑑定等の感知系スキルや魔眼を封じるものらしい。ハイレベルな使い手には無意味らしいが、駆け出し冒険者のクートには効果覿面だ。何も感じないし解らない。

 だが逆に、其れ故に解る事も有った。


(俺の食材鑑定の根っこの、鑑定系、感知系スキルの恩恵は大きかったんだな⋯)


 何も解らない。と云う事が解る。普段なら目を瞑っても敵の気配はハッキリ解った。不意打ちは避けられたし、クートの不意打ちは成功していた。レナの槍術と同じだ。例え槍無しでもレナと純粋な殴り合いで勝てる気はしない。戦闘職の肉体が優れている様に、鑑定職は感覚が優れているのだろう。


(俺の戦闘に、食材鑑定は役に立っていたのか)


 役立たずと卑下はしたくないが、戦闘に直接役に立たない事に劣等感を抱いていたが、実はそうでなかったらしい。固有スキルを封じられると云う誰もが不安と恐怖に襲われても仕方無い状況下で、クートはかつて無い安らぎを得ていた。


(ふむ。不可思議な少年だね)


 フラッペは心細いだろうとクートの手をずっと握ってあげていたが、特に不安がってはいない。汗ばんでもいなければ震えてすらいない。フラッペの手を握る指先は微かにリズムを刻み、とても機嫌良さ気である。フラッペは彼の心理状態は見抜けなかったが、あながち間違ってはいない結論に至る。


「そんなにダンジョンが楽しみかい?」

「ああ、楽しみだ」


 其れも有る。だから多少の不自由は全然我慢出来る。此れから行くのは人生初のダンジョンだ。どんな冒険が待ち受けているのかワクワクが止まらない。クートの高揚感を掌で感じ取り、フラッペも楽しくなる。今回はクートの食材鑑定が有る。多大な成果を期待出来るからだ。


「すまないねぇ。今から行くダンジョンは魔法士ギルドが管理するダンジョンだからね。部外者は基本入れられないんだ。だからクート氏は今、私の助手と云う扱いだよ。外部委託、外注って奴かな?恋人でも他人扱いだものな。ならばいっそ婚姻関係を結ぶと云う手も―――」

「お断る」

「なんなら魔法の修行もしてみるかい?魔法が使えれば魔法士ギルドには入れるよ。魔法は魔力が有るなら絶対に使える。只才能が足りない分の努力は必要だがね。初級魔法士じゃぁ今から行くダンジョンは単独で潜れないが、私の助手として連れて行くのにこんな手間暇は掛けなくて済むんだよ。正に時間の無駄だからねぇ」

(成る程⋯遠回り、回り道をしてるって事か?いや、そんな事を言って、最短ルートをぶっ飛ばしてるのかも知れない。考えるだけ無駄かな)


 クートはダンジョンの所在地については考えるのを止めた。フラッペの誘いに乗り魔法士ギルドに入るのも有りだろう。それはまた別の話として置いておいて⋯


「寝てて良い?」

「おや?疲れたかな?子守唄を歌って膝枕でもしてあげようか?」

「要らない」


 クートは時間の有効活用の為に仮眠を取る事にした。フラッペは暫くクートの手を握っていたが、その内クートの膝枕でゴロゴロし始めた。


(安眠妨害だ)


 クートの太腿の上でグースカピーと寝息を立て始めたフラッペの温もりを感じながら、クートも少しだけ眠ったのだった。


「フラッペさん、その子ですかぁ?」


 気弱そうな女の子だ。童顔の幼い顔立ちだが、体付きは豊満と云うか、レナとは別方向の恵体と云うか⋯


「やぁショコラ氏。今日もぽっちゃりだね。ちゃんと太ってるかい」

「ぽっちゃりとか言わないでぇ〜⋯後私が太ってるのはぁフラッペさんの所為でしょぉ〜?」

「そうだね。今日も宜しく頼むよ」


 眠っている所を起こされ馬車を降ろされ歩かされ、漸く目隠しと帽子を取られたら其処はすでにダンジョンだった。磨き上げた様な綺麗な石畳が埋め尽くすフロアの真ん中に、少しだけ高くなった台座が有る。


「目の前の転送陣で下層に進む」

(転送陣⋯)


 目の前の台座は三、四人なら乗れそうだ。台座には細かい紋様が描かれている。魔法陣だろう。使用されているのは古代魔術文字だ。クートには読めない。


「そうそう紹介しよう。彼女はショコラ。固有スキルは防御結界魔法。フルパワーなら私の攻撃魔法を数秒は耐えれる。多分」


 初ダンジョンに気を取られていたが、クートとフラッペ以外に人が居る。黒いローブはフラッペと同じだが、ウェーブがかった真っピンクな髪の毛がド派手である。垂れ目で泣き黒子が有り、唇もプルンとしている。そして何よりデカい。胸も尻も、腹も。


「わわわわたしの固有スキル〜バラしゃないでくだしゃいぃ〜っ!?」


 真っピンクぽっちゃり魔法士が何か言っている。クートは初ダンジョンに夢中で余り目に入っていない。


(ダンジョンか。此処がダンジョンか。モンスターは居ない。転送陣が有るって事はかなり層が厚いのか?一層一層クリアしていきたいが我儘だろうな。今の俺なら何処まで行ける?今すぐ魔法士ギルドに入ってチャレンジしたい)


 おっぱい好きであるクートの人生の中でも、恐らく最大級の大爆乳を目の前にしても何のリビドーも感じない。男は女より冒険。おっぱいよりダンジョンなのだ。


「ショコラは魔力が尽きると脂肪燃焼する特異体質だ。面白いぞ?私の魔法の流れ弾が当たる度に見る見る痩せるんだ。だけど胸は痩せないよね。何故だろうね?胸に向けて攻撃魔法撃ってみようかね」

「止めてぇ〜〜〜死んじゃいますぅ〜!」


 ショコラが半泣きになっている。クートは話半分に聞いている。が、流石にそろそろ反応しないと失礼かも知れない。クートはギョロリと目玉を動かしショコラを品定めする。良い匂いがする。体臭ではない。上等な食材の匂いだ。


「成る程、それでですか」


 ショコラはパンパンに膨らんだ大きなリュックを背負っている。アレの中身は食糧だろう。食べ物の匂いがするからだ。


「此の子はクート氏。私の初彼だ」

「えええ〜!?君っ!キュート君っ!?考え直しなさぁ〜いっ!」

「違います。クートです。初めまして。宜しくお願いします」

「あっ、あっ、わ、私はショコラですぅ〜初めましてぇ〜」

  

 ぷるぷるでツヤツヤな肌でショコラが微笑む。思わず突っつきたくなるほっぺをしている。クートより年上だろうし背も高いが。


「ショコラはこう見えて二十後半のアラサーだ。彼女も彼氏居ない歴イコール年齢の私の友だ」

「やめて〜〜〜色々バラさないでぇ〜」

「へぇ〜結構年上なんだ?」


 思ったより上だった。背は高いが童顔だから騙された。魔法士は皆こうなのだろうか。


「彼女は私の監視役だね。上級魔法士だものな」

「上級?Bランク冒険者相当⋯格付け的に、魔法も物理も強い高位騎士クラスですね」


 見た目はぽっちゃり真っピンクだが、クートの遥か格上だ。クートは改めてショコラを見直す。威厳の有る真っピンク髪。貫禄の有る巨体。鬼強そうな垂れ目とプルンとした唇。


(いや、強そう?かな?)

「止めてぇ〜!期待の眼差し止めてぇ〜!結界張るしか能が無いのでぇ〜っ!」


 クートが曇り無き眼でショコラを見つめ続けているとショコラ本人がわたわたし始める。リュックも揺れるが乳も尻も腹も揺れる。ボリュームが凄い。


「クート氏には此れを貸そう」


 ショコラの揺れる巨体を見ているとフラッペが片手で巨大な鉄塊を差し出して来た。


「此れは」

「チョッパーさ。あの親方の作品だ。折角買ったのだが私では上手く使いこなせそうになくてね。君が使う方が有意義だろう」


 そう云うフラッペは小ちゃなお手々で木の棒でも持つ様に巨大な肉切り包丁を軽々と持っている。使いこなせそうにないと言っているが⋯


(⋯使うと壊してしまうとかか?魔法職なのに肉体強度も上がるのか?)


 詮索は無意味だろう。話しか聞いていないが、フラッペは魔法士ギルドでもかなりの上澄みだろうからだ。


「有り難う。使わせて貰う」


 クートは対モンスター用肉切り包丁、チョッパーを手にしたのだった。

(*´ω`*)ボケが増えただけかも知れないけど。

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