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魔食晩餐〜最弱スキル食材鑑定でダンジョンサバイバル〜  作者: 猫屋犬彦
序章

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第39話

(*´ω`*)フラッペは間延びしてる様で早口と云う緩急の付いた喋り方です。文章量は多いけど実際聞くと凄い早口。

 幼女と偽幼女二人とお手々を繋いで宿に戻ったクートをレンダが出迎えてくれる。


「おや、誰だい?リコの友達かい」

「ははは、いやいや違うよ女将さん。私は魔法士ギルド中級魔法士フラッペ。俗に言う魔法使いって奴さ」

「魔法使い」


 レンダが目を丸くする。魔法使いとは普通に生活していたらそうそう出会わないからだ。魔力は誰にでも備わっているし、修行次第で誰でも魔法は使える。只その振れ幅は個人差が大きい。

 例えば火魔法を使うにしても火の魔法を使う為の魔法理論の勉強が必要だ。更にはイメージ修行の瞑想も要る。そんな地味で地道な事を何年も積み上げ、実際の発動時の魔力消費でゴッソリと気力体力を持っていかれて、結果として顕現する火魔法が指先に灯る蝋燭程度だったりも、する。其れならば火打石を使った方が良い。


「ほらほら、此の通りだよ」


 フラッペが杖の先端にシュボッ!と炎を灯す。灯すだけでなく細く伸ばして何かを空中に描いている。


「兎さんだー!」

「あら、本物だわ」

「フラッペちゃん凄い!魔法使いみたい!」

「だからフラッペちゃんは魔法使いなのだよ」

(――――今、魔力が杖を通った?てゆーか、今のが魔力⋯か?)


 フラッペの杖の先端には魔石が付いている。クートは魔石鑑定スキルではないので詳しくは解らないが、今ナニカの感覚を得た。クートの食材鑑定も食材の魔力を感知している、らしい。感覚で得ている情報を理論で理解しているので少し齟齬が有る。今確かに魔力の流れを知覚した。


(何の魔石だ?相当高価⋯つまり強力な魔術式を施されてる筈だ)


 魔石に依る魔道具の実現化。今は魔石を使った魔道具が人類の生活を一変させている。火打石よりも魔石を使った着火魔道具の方が簡単だ。勿論魔道具を使用した武器も数多く有り、魔法使いでなくとも魔法が使える様になってしまった。皮肉な事に、魔石に依る魔道具の流通が天然の魔法使いの減少に繋がっている。

 魔法には何よりもイメージが重要だからだ。火魔法を使いたいなら掌から⋯もしくは口からでも良い、火炎を生み出すイメージを構築する必要が有る。しかし魔道具の普及で火魔法ならば着火魔道具⋯と云った様な雑念がその構築を阻害する。地力で魔法を使いこなす者よりも、魔道具を使いこなせる者の方が成果を上げている。

 素手の殴り合いで凄く強い者より、剣でそこそこ強い者の方が有利なのと同じだ。魔法も魔道具も所詮手段に過ぎない。


(今の魔法―――嘘だな⋯?)


 クートは感覚でフラッペの嘘を見抜いた。今の着火魔法はブラフだ。だが何が嘘なのかは解らない。しかし彼の鑑定スキルがフラッペの言動に嘘が有る事を見抜いていた。


(食材鑑定⋯は、あくまでも食材の鑑定に特化している、だけ⋯か)


 槍術スキル持ちのレナは見事な肉体に恵まれている。格闘能力も高いし下手な体術スキル持ちより強いだろう。殴り合いならハーニャよりは上だろう。只ハーニャは本職なので、寝技や関節技とかで完封されそうではある。それと同じ様に、クートは食材以外の物へも鑑定⋯と呼べる程ハッキリしたものではないが、直感レベルでの真偽が解る。だが解答が解っても公式が解らない様な気持ち悪さが残り、結局解らないのと同義なのだが。


「なんだか悪いねぇ。連日で作って貰っちゃって」

「偶々ですよ。今夜はフラッペの歓迎会と⋯発ダンジョン探索の決起会⋯ですかね?」

「おや、私の歓迎会かい?其れは嬉しいねぇ」


 宿泊客への配膳等を手伝った後、今夜もクートが料理を作った。昨日買い込んだ食材はほとんどレナが食い尽くしたので有り合わせの物になったが、フラッペは満足気だった。


「成る程良い腕だ。此れなら魔食料理も期待出来るな」

「魔食料理⋯」


 詳しい依頼内容は聞いていないが、クートの食材鑑定が目当てと云うならそう云う事だろう。


(⋯モンスター肉の料理―――作れるか?)


 夕飯後はクートが朝の仕込みを買ってでた為、レンダは今夜も晩酌を行う。


「おや、いける口かい?フラッペちゃん」

「此れでも三十も半ばを越えているのでね」

「羨ましいねぇ。そんな年でそんな若さを保ててるなんて。魔法使いってのは何でも有りだね」

「そう云う訳でもないさ。しかし此の形に関しては私も良く解ってなくてね。両親親戚も特に普通だ。祖先に別にエルフ等の長命種は居ない筈なのだがね。後普通に結婚も恋愛も無理だぞ?何度か告白したが『自分はロリコンではない』と断られる。ロリコンからは『合法だ』と付き纏われる。偶に襲われたりもする。まぁ私に手を出した者は文字通り痛い目を見ただろうがね。幼女を見ただけで発狂する程のトラウマは植え付けてあるさ」


(痛い目か⋯)


 サラッと流されていたが、フラッペの論文には彼女が一人で食材となるモンスターを捕獲した記述が有る。其処に重要性は無いらしく『探した。見つけた。捕まえた』みたいな内容しかない。モンスターを単騎で殺しまくる合法ロリ等、そう云う性癖の者からすれば最悪のトラップだろう。殺しはしないだろうが、局部ぐらいは焼き切りそうだ。傷痕を焼いて潰せば、高名な神官でもなければ治癒は不可能。コネも金も無い犯罪者ならそのまま終わる。


「なので可愛い娘さんの居るレンダが羨ましいさ。研究一筋の私が言うのも何だが、女の幸せは結婚と出産だよ。私も一応憧れてはいるがね」

「そうかい。あたしは旦那には先立たれたけどね」

「ふむ、其れは失礼した。まぁ今夜はアラフォー同士楽しもう」

「あたしはまだアラサーだよ」


 女二人でまったりしんみり飲んでいる。クートはおかわりのお酒とつまみを追加して食堂を後にする。


「結局、ダンジョンの事聞けなかったな」


 一方的に喋るだけのイメージだったが、フラッペは話し上手聞き上手だった。レンダリコと女三人で楽しそうにお喋りしていた為、重要な話が出来なかった。


「クー兄」


 身支度を整え寝る寸前のクートの所に、リコが訪ねて来た。


「いっしょに寝よ?」

「いいよ、おいで」


 普段はレンダと一緒に寝てるから不安なのだろう。抱き締めて添い寝してやる。リコは幼くして父親を失っている。父性に飢えているのだろう。クートの胸に顔を埋めて来るので、おでこに口付けしてやる。


「お父さん⋯」


 リコの寝言を聞き涙を目の当たりにする。死んだ人間は其処で終わりだが、遺された者達の人生は続く。


「俺は死なない。心配要らない」


 クートはリコを抱き締めながら、そう自分に言い聞かせるのだった。

(*´ω`*)髪の色とか目の色とかは忘れちゃうので決めてまてん。師匠が髪も尻尾も目も金色。クートは髪も目も黒です。たぶん。

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