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魔食晩餐〜最弱スキル食材鑑定でダンジョンサバイバル〜  作者: 猫屋犬彦
序章

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第38話

(*´∀`*)よーじょよーじょよーじょー♪

「―――は本当に不味かったね。酷い味だったよ。食べた瞬間、魂があの世とこの世を行ったり来たりしたよ。いや魂の観測は魔法士の永遠の命題の一つだから非常に貴重な体験では有るがね」


 夕陽に染まる街並みを歩きながら会話は続く。と云うかフラッペが一方的に喋ってるだけなのだが。


「ふーん、そうなんだ?」

(上級に上がれる可能性が有ったって事は⋯実質Bランク以上か?)


 クートはフラッペを測りかねていた。魔法士ギルドのレーティングは単純な強さや賢さではない。論文や研究を発表したりする事で評価を得る。純粋な戦闘力は関係無い、筈だ。


「私はモンスター食への未知の可能性を信じている」

「そうなんだね」


 其れはまぁ知っている。彼女の論文は何回か読んだから。クートも少し興味が湧いて試してみた。直ぐに吐き出した。アレは人間の食べる物ではない。


「何でも訊いてくれ給えよ。何でも教えてあげるからね」

「うーん?」


 何故其処までモンスター食へ拘るのか?と云う単純だがプライベートな質問なら思い浮かぶ。モンスター食を研究しても気持ち悪がられるだけだろう。実際、変人の多い魔法士ギルド内でも更に異端児扱いだ。


「あ、クー兄」

「リコ」  


 お買い物中のリコとバッタリ出会う。偶然ではない。行き付けのカフェや酒場等無いクートは、話が長くなりそうなフラッペをレンダの宿屋に連れて行こうとしていた所だったから。ずっと手を繋いだままだったのは何故なんだろう?リコの視線が痛い。


「誰その子?また新しい女?ルカ姉やレナ姉だけじゃ足りないの?リコじゃ満足出来ないの?おっぱい大きくないと駄目?でもその子も小さいよね?リコは何で駄目なの?」


 リコがスンッとする。少しヒヤリとしたクートが言い訳と云うか正当な理由を述べる事にする⋯前にフラッペが余計な事を言い放つ。


「新しい女に成るのは此れからだね。まだ違うよ。出来れば優しくして欲しい」

「おい」

「私はフラッペ。クート氏の依頼主さ」

「依頼?子供なのに?」

「私は子供ではないぞ、お嬢ちゃん」

「嘘だー」


 フラッペはリコより身長が低い。師匠のがもっと低い。此の世界は見た目が幼い方が強いルールでも有るのだろうか?


(やっぱり訊くのは止めておこう)


 クートが興味を抱いたのはモンスター食の実食実験結果だ。フラッペが実際にモンスター食を試し、下痢と嘔吐と発熱で死に掛けたとかの記述だ。それぞれどの食材でどの食中毒が起こるかを知れたのは良かった。モンスター食への未知の可能性を説いている部分は流し読みした。何故なら研究テーマが―――


『モンスター食で背を伸ばす』

『モンスター食で豊胸効果』

『モンスター食で不老不死』


 ⋯等だからだ。


(魔法士って、そんなんばっかなんかね?)


 魔石でお湯が出るシャワーや、馬ではなく魔石で動く魔道車を開発した高名な魔道具師は、真剣に霊との交信を試みてるらしい。ゴーストタイプのモンスターは居る事は居るがアレは所謂、人間が死んだ後の魂とは違うとされる。死体から漏出した魔力が半実体を取り、新たな肉体を求めて人を襲う魔力暴走だとか言われている。真偽は不明だが。


「えー嘘だー。フラッペちゃんリコより年下でしょー」

「フラッペちゃんは年下ではない。多分君の母君と同年代だぞ?」


 レンダの事は知らないだろうが、リコの見た目から逆算したのだろう。するとフラッペの実年齢は三十後半か。見た目詐欺にも程が有る。


(まぁもしかしたら、不老効果は有るのかも?なんか色んなモンスター食べてるみたいだし⋯変な効果出てるんじゃね?)


 フラッペはどう見ても成人女性には見えない。リコよりも年下に見える。師匠よりかは大きく見える。まぁ多分、師匠も絶対凄い年上だろう。


(師匠、有り難う御座います)


 クートがフラッペを侮らなかったのは師匠のお陰である。師匠の見た目は一桁年齢だが、瞳に宿す知性は幾星霜の年月を感じさせる物だった。その笑みには老獪さと神秘さが滲んでいた。フラッペにも同じ物を感じる。


「じゃぁ行こうかクート氏。ダンジョン探索だ」

「いきなりだな」


 ご機嫌に杖を振りながらフラッペが告げて来る。


「ダンジョンか」


 ダンジョンへはいずれ潜るつもりだった。仲間を集め情報を集め、下準備を整えてからのつもりだった。周囲からは無鉄砲で命知らずのイメージを抱かれているクートだが、実際は違う。クートは石橋を叩き壊して鉄橋を作ってから渡る様な、用意周到さと慎重さが有る男なのだ。彼にとって此の様なパターンは想定外だ。


(今か、今なのか―――)


 手が震えるのは武者震いではない。未知へ挑む興奮と、未知への恐怖。


「ああ心配はしなくて良い、クート氏。戦闘は私が行う」


 汗ばむクートの手をちいちゃなお手々でにぎにぎしながらフラッペが告げて来る。


「フラッペ⋯」


 クートが見下ろすと、其処には年下の男の子を安心させる様な優しい笑みが有った。確かに年上なのだろう。そしてやはり、クートよりも強い。そう確信する。


「私がクート氏を守ってあげよう。君は食材鑑定だけしてくれ給えよ」


 屈辱感は無かった。今一瞬だけ垣間見せた表情にクートを侮る色は無い。スキルが食材鑑定だとか関係無い。生物として遥かに格上の視点。彼女とかからすればクートもレナも⋯いや此の町の冒険者程度全て同じだろう。


(昨日の違和感は、此れか―――)


 姿格好が異質だったのではない。存在が異質だったのだ。本物の強者は強者らしい姿をしていない。剣も鎧も装備していない。背丈はクートのお腹ぐらい。手足も短くか細い。だが、強い。


(師匠)


 やはり同じなのだろう。見た目年齢も近いが雰囲気とかが⋯


(師匠に似てる⋯)


 今のクートでは何方が強いとかの判別すらつかない。


(多分師匠のが強いと思うけど)


 得体の知れない気配はあっちのが上だろう。それも感覚でしかないが。


「解った。行くよ。ダンジョン」

「宜しい。では早速行こうか」


 突然フラッペがくるりと反転して歩き出そうとする。クートとしては望む所ではあるが、今からは流石に無理だ。ナイフは腰に差してるし鋼糸は体中に仕込んでるが、チャクラムやウルミは宿の自室に置いてある。


「ちょっと待って。其の前にせめて一晩しっかり寝よう。後装備を整えさせてくれ」


 出発前に親方の所に行きたい。頑固一徹に見えるあの鍛冶屋は、見掛けの割に変な物を打つ。また何か見つかるかも知れない。


「私は何処でも寝れるぞ?ん?組んだ相手と必ず寝ると云うのは本当なのかい?男同士と組んでもそうなのかい?」

(何処情報だよ其れ)


 クートが不服そうにするが全くの事実なので否定出来ない。


「取り敢えず俺の泊まってる宿の厨房を借りて料理を作るよ。腕によりを掛けるからさ。俺の腕前は知りたくないか?」

「ふむ、良かろう」


 再びくるりと反転するフラッペ。傍目には魔法使いの格好をして遊んでる女の子にしか見えないだろう。


「では行こう!クート氏お勧めの連れ込み宿へ!」

「連れ込み宿じゃねぇ。人聞き悪いからヤメロ」

「クー兄っ!リコも!リコも連れ込み宿に連れてって!」

「違うから、リコの宿に帰るんだよ」


 リコもクートの手を握って来た。お買い物鞄は片手だと重いだろう。クートはリコのお買い物鞄を首に掛けさせる。クートはお買い物鞄を首から下げ、幼女と偽幼女二人と手を繋ぎながら帰路に着く。


「ふむ、此れが所謂サンピーか?ふむふむ」

「違ぇっつってんだろロリババア」

「お、其れが素かい?年上キラーの可愛いクートきゅんは猫被りかい?」

「クートきゅん」

「クー兄⋯リコももうオトナの女だよ?だってもう来てるし⋯」

「やめろそれいじょーはいけない」


 見た目に騙されてる所為か、リコはルカやレナよりもフラッペに対抗心を剥き出しにしている。


「はっはっは!クート氏の手料理か、楽しみだなぁ!」


 ルンルンでスキップし始めた偽幼女に手を引っ張られ、クートは疲れた溜め息を吐き出す。そうしてクートの初ダンジョン探索が、始まる。

(*´∀`*)合法合法ロリババア♪以前も書きましたが、モンスター食と魔石喰いは、ガソリン飲んだら車みたいに走れるぜ!石油飲んだら身体が頑丈になるぜ!みたいな自殺行為なので、水先案内人は必要ですね。なので彼の人生分岐点、所謂メインヒロインとしてのフラッペ登場です。

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