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魔食晩餐〜最弱スキル食材鑑定でダンジョンサバイバル〜  作者: 猫屋犬彦
序章

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第35話

(*´∀`*)クート君の超必殺技はレバーを左にタメてから下に入れて一回転でパンチボタン同時押し。隙だらけなので鋼糸で相手の動きを封じる小技を出さないと決まらない手間がかかるヤツ。クートはハメ技ばっかで相手に嫌がられるキャラです。

「なぁぁぁっ!?」

(なんてタイミングっ!?もう帰って来たのっ!?早過ぎるっ!)


 メリッサが青褪め心の中で絶叫する。クートとレナがデスファングボア討伐クエストに出掛けたのは知っていた。だからせめてクート不在時にカヤルとハーニャの仲直りと云うか関係修復を図ったのだ。それなのに当事者が乱入して来るのは予想外である。

 只の喧嘩とかなら別に場所を設けたのだが、直接喧嘩をした訳でもないので改めて場を用意するのも変だ。カヤルが復帰すると聞いたのでハーニャにそれとなく伝えてみたのだ。其れが思いっきり裏目に出た形だ。ファインプレーだと自画自賛していた少し前の自分を恨む。


「まさかっ!?」

「もう倒したのか?」

「デスファングボアを?」


 事情を知る一部の冒険者達もザワつく。Eランクモンスターを倒す事自体は其処まで大仰な話ではない。しかしたった三日で目当てのモンスターを見つけ出し、素材を傷付けない様に倒すのはそう簡単ではない。しかも其れを行ったのは即席のFランク冒険者パーティーである。

 そう誰もが驚いていた。しかし担いでいる大きな牙や丸めた毛皮は購入した様にも見えない。後何故か二人共上半身裸である。二人は町に入って服屋に行く前に、やっぱりクエストクリアの報告を済まそうと先に来たのだ。


「あ、此れ魔石です」

「毛皮と牙でーす」


 カウンターにゴトゴトドサリと素材を納品する二人。久しぶりに会うカヤルにクートは無反応だ。若干忘れている。カヤルに会うよりもモンスターを殺す回数の方が多いからだ。


「クート君⋯その子は?」

「クート?」

「あ、ハーニャさん。此れで俺もEランクです」

(アレ?さん付け?敬語?)


 ハーニャが突然距離を取ったクートにショックを受ける。クート的にはハーニャは年上で先輩なので、接し方が安定していない。只それだけなので特に深い意味は無いのだが、それはとてもハーニャを傷付けた。


「私も私もー!」

「おい、ひっ付くんじゃねぇよ馬鹿」

(ばか?クートがばか?じゃねぇとかいうんだ?)


 更に同世代のレナにフランクな口調な事にもショックを受ける。若い二人がベタベタしながらキャッキャする度にカヤルとハーニャの目から光が消えて行く。世界が闇に沈む様だ。


(レナ―――槍使いレナ)

 

 クートの腕に腕を絡める若い娘。知っている。見覚えが有る。ある意味クートよりも有名人だ。

 槍使いレナ。クートやルカの同期の期待の新人だ。明らかにEランク以上の実力は有るものの、ソロ活動の為Fランク止まりだった新人。クートと同じ境遇の少女。


「デッ」

「でっっっかっ⋯」


 有名なのは見た目がハイレベルだったからだ。長身でスタイルも良く、顔も可愛らしく美人だ。しかも未だ十五歳。伸び代がデカい。しかし今は皆、別のデカいモノに意識と視線が向いていた。普段はズボンにブカブカのジャケットを着ているので解らなかったが、胸にはキツく晒を巻いていたらしい。はち切れそうなたわわな双丘を無理矢理晒で押し潰している。そして今その豊満過ぎる果実をクートの腕に押し付けているのだ。

 クートが頬を赤らめてるならまだ良い。しかしクートは実にウザそうだ。胸を押し付けられてもデレてない。女体に興味が無いからじゃぁない。もう腕に押し付けられるぐらい平気だからだろう。実際一晩中好きに吸ったり舐めたり噛んだりしたので満足してる。歯型でマーキングしてるのも余裕に繋がっているだろう。


「早く服買お」

「そうだな」


 そんなレナの露出した素肌には歯型が付いていた。クートも似た様なものだ。裸の上半身には虫刺されでは誤魔化せないキスマークや噛み跡が有る。背中には蚯蚓腫れが酷い。


「背中痛ぇ」

「ごめごめ。むっちゃ引っ掻いたもんね。でも私も痛かったんよ?初めてだったし」

「其れはさっき聞いた。其れ言うなら重かったぞお前」

「おー?乙女に向かってそれゆー?」

「俺よりデカい筋肉の塊なんだから重いに決まってんだろ」

「それもそーか」

「あ⋯あの⋯」

「はい、なんです?」


 子持ちパートの受付嬢トロネがビクビクしながら二人に問い掛ける。固まって無言になってしまったカヤルとハーニャが怖くて見れない。メリッサは頭を抱えて蹲っている。


「パーティー解散⋯は、しますか?」


 嫌だが仕事はしなければならない。クエスト開始時に予定されていたパーティー解散の確認である。冒険者パーティーはくっ付いたり離れたりは普通である。一生一緒だぜ!とか言ってた連中が一回ダンジョン潜っただけで喧嘩別れしたり、即席で仕方無く組んだパーティーが引退まで長続きしたり。

 ギルドとしては生存率を上げる為にクートとレナには一緒に居て欲しい。しかしトロネの口からパーティー解散は考え直して下さいとか言えない。とても言えない。カヤルの顔が死んでいる。ハーニャの顔も死んでいる。彼女としても、折角やっと仕事が楽になると思ったのに、またカヤルに倒れられたら堪らない。


「解散で」

「そ、そうですか⋯」


 ホッと胸を撫で下ろすトロネ。カヤルとハーニャの顔が一瞬だけ緩む。


「昨晩はあんな激しかったのに。ホントつれないよね〜コノヤロー」

「俺には俺の予定があんだよ」


 駆け出しの前衛戦闘職ぐらいなら罠さえ嵌まれば圧倒出来る。だがそれだけだ。鋼糸やチャクラム、切り札まで出し掛けて漸く勝てた。其の後のエキシビジョンマッチでは主導権を握られた。散々搾り取られて衝動が治まったのは良かったが。


「取り敢えず産院行くか」

「えー?五回で出来るかな?」

「出来る時は一回で出来る」

「私クートの子供欲しい」

「解った。その内孕ませてやる」

「やったー」

「結婚はしねぇ」

「うわぁ屑だー屑が居るー」

(アレ?なんかその流れ、前に私としたよね?アレ?おかしいな?) 


 クートとレナの遣り取りにハーニャの目が死ぬ。二人は冷え切った空気を意に介さずにギルドを出て行こうとする。確かに二人共少し匂う。デスファングボアの血の匂いだろうか?


「あ、その前に⋯」


 レナがクートの顔を固定する。そして⋯


「ぶちゅーーー!」

 

 ⋯とキスをする。皆が見える様にじっくりと。クートは手をバタつかせるが直ぐに諦める。単純なパワーではレナに勝てないのは昨晩思い知らされた。避妊薬を処方されに行くのも其の為だ。レナに押し倒されたら気の済むまで搾り取られるだろう。レナは可愛いし体も美味しいが、今はまだ子供は早い。


「えへへ、頂き。絶対私クートと組むから」


 レナはクートの唇を解放すると舌舐めずりする。其の目は肉食獣の様にギラついている。流し目で確認する。目を逸らす受付嬢、俯く弓術の教官。白けた顔の支部長や男冒険者達。


(この三人か⋯)


 確かカヤルとか云う受付嬢。そしてハーニャ⋯だろう。クートが言っていた斥候職の女。そしてもう一人。

 

(見覚えが無い顔ね。部外者かな?)


 此の三人がレナの視線を正面から受け止めていた。


「げほっ⋯お前な⋯」

「あ、服買ったら公衆浴場行こうよ。臭いし」

「腹も減ったな」

「私クートの御飯食べたい」

「えー⋯まぁ良いけど。レンダさんとこで厨房借りるか」

「誰よその女」

「俺が泊まってる宿屋の―――」


 そう話しながら出て行く二人。残された者達は何も見なかったフリをして自分達の仕事や会話に戻る。


「⋯⋯⋯私、ルカの指導に行かなきゃ⋯」

「メリッサ」

「ちょっと話が有るんだけど」

「私関係無いもんっ!」


 アラサー女子三人が揉め始めたがそちらも皆見て見ぬフリだ。


「アレが食材鑑定の男か⋯」

 

 レナの視線を受けても目を逸らさなかった第三の人物がポツリと零す。そして動き出す。


「すみません。よろしいかな?」

「はい、なんでしょうか?」


 疲れた顔をしたトロネが精一杯の笑顔で応える。仕事に集中して全てを忘れようとしているのかも知れない。カヤルはまた出て行ってしまった。業務が滞る。頭が痛い。


「指名クエストをお願いしたいのだが⋯」

「はい、誰をでしょうか?」


 トロネの顔が輝く。指名クエストは別途指名料が発生する。冒険者に合わせたクエストであり、達成する確率も高い。リピーター率も高い。つまりは良い仕事だ。其の冒険者と依頼主とのパイプを持てればトロネ自身の実績にも成る。トロネは悪い事の後には良い事が有るのだと喜んだ。


「Eランク冒険者、クートを指名する」 

「は、い⋯」

 

 トロネの顔が強張り目が死ぬ。悪い事は続くものだと再確認する。トロネはあくまで仕事をするだけだ。しかし、カヤルやハーニャに知られると怖い。二人が居なくなったタイミングで、違う女にクートを売る様な真似をしたと咎められそうだったからだ。

(*´∀`*)さぁ、次の女の子はどんな子でしょう!実は何も考えてません!誰なんでしょうね!

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