第30話
(*´ω`*)主人公は他のキャラの鏡となる性質が有るので、レナと一緒だと結構フランクになりますね。リコに対しては良いお兄ちゃんであろうとしてますし、年上のお姉さん達には甘え上手さを発揮してますし。
クートとレナは順調に目的地の森に到着した。道中ゴブリンとオークにエンカウントしたが、レナが槍の一撃で簡単に仕留めた。クートの出番は無かった。
「此処かな?」
森の中に入り、良い感じの場所を見つけた。クートはレナを其処に残して奥へ行く。
「ちょっと待ってて」
「何処に行くの?」
「標的を誘き出す。そして罠を張る」
「此の森に居るって地図に書いてあるの?」
レナがキョロキョロする。レナには森の違いが解らない。ついでに地図も読めない。誤解されがちだが勿論モンスターエンカウントマップにモンスターの正確な位置等記されていない。マップを活用する際には経験則か、地図を読む能力が必要だ。クートに冒険者としての経験は乏しかったが、獣を罠で狩っていた故郷の暮らしが此処で活きていた。山歩きも苦にならない。水場も探せる。都会へ憧れ町へ出て来たクートだが、最初から都市部に暮らしていたらこうも順調に歩めていないだろう。
「違う―――けど多分此処ら辺で合ってるぜ」
クートは標的を探して森の中を進む。周辺の目撃情報と被害報告から、此の森に居ると当りを付けていた。鋼糸と楔を取り出し何時もの罠を張り始める。
「デスファングボア、か⋯」
Eランクモンスターデスファングボア。Fランクモンスターであるファングボアが大きく育った個体の総称だ。ボスコボルトやホブゴブリン、オークソルジャー等に相当するだろうか。
「ファングボアと同じ性質なら良いんだけどな」
クートが故郷で狩り殺していたのはファングボアだ。強さは兎も角、性質が同じだととても有り難い。
(奴等は特定の縄張りは持たない。だが例外は有る)
猪は基本的に縄張り意識が無く、好きな場所に移動して好きに暴れる。猪型モンスターのファングボアもその習性を持ち、広大なフィールドを一匹で好きに動き回る。そこそこ手強いがFランクモンスター扱いなのは群れを成さず単独行動が多いからだ。だから素人のクートでも殺せていた。
「こんなもんか」
鋼糸はメインじゃない。あくまで予備みたいな物だ。念の為の措置でしかない。
「さてと―――うお、臭いな。腐ってやがる」
クートはレナが仕留めたゴブリンとオークの内臓を取り出す。匂いが漏れない様に革袋に詰め込んだ物だ。レナは嫌そうな顔をしていたのでクートが持ち運んでいたが。それを辺りにばら撒く。木に擦り付け、地面に撒き、木の上にまで放り投げてみる。そうして暫く血肉で森を汚して回る。すると⋯
「ブゴォォォォォォォォォォッ!」
「お、出た出た」
遠くからファングボアらしき鳴き声が聴こえた。故郷で聴いたものより太く大きい。きっとデスファングボアだろう。
クートはレナの居る所に急いで戻る。
「クート、何したの?」
「ちょっとね」
縄張り意識の低いファングボアだが、ある程度強くなると少しだけ縄張りを持つ様になる。その縄張り内でモンスターの血肉をばら撒いたのだ。かなりの挑発行為だろう。人間等恐れていないEランクモンスターならば必ず向かって来る。
クエスト受諾の確認事項にも有った。此の近辺に出没するデスファングボアは周囲の村人を喰い殺してる。大分前だが、クート達と同じくEランク昇格を目指したFランク冒険者パーティーが遭遇し、敗北。撤退中に一人殺られた。一人は怪我で療養中。一人は冒険者を辞めたらしい。クートとレナの同期ではない。一つ前の連中だろう。
「ブゴォッ!ブゴォォォッ!」
「おお、でけぇな」
デスファングボアが現れた。森の奥から此方に向かって突進して来る。草木を、細い木をへし折り薙ぎ倒して突き進んで来る。まともにぶつかればクートは勿論レナでも大怪我は必至だろう。
「猪だ猪だ!」
「田舎で見た奴よりデカいな。まぁ当たり前か」
「ん〜?ファングボアにしてはデカくない?」
ファングボアを倒した事が有るレナが首を傾げる。ファングボアは通常の猪より巨大な牙と分厚い毛皮を持つ。しかし目の前のファングボアは明らかに其れ等より大きい。牙も体も。
「クエスト内容読んだろ。アレはデスファングボア。簡単に言えばファングボアが大きく育った個体だ」
後少しでお互いの間合いに入る。レナは槍の穂先のカバーを外し臨戦態勢だ。
「ふーん?まぁいいや、殺せば良いんでしょ」
「まぁ早々に出会えて良かったよ」
クートの方は落ち着いている。Eランク昇格の条件、其れはパーティーを組んでEランクモンスターを討伐する事。FランクモンスターはFランク冒険者が、EランクモンスターはEランク冒険者が勝てる強さでレーティングされている。つまりEランクモンスター相手なら単騎なら辛勝、パーティーを組めば難無く倒せると云う強さだ。クートもレナもすでにEランクモンスターは単騎討伐している。油断や慢心はしていない。後はどれだけスマートに勝つかだ。
「私、Eランクモンスターならソロで倒してんだけどな」
「俺もだよ」
先日仕留めたボスコボルトはEランクモンスターだったらしいと魔石納品の時に知った。確かにアレが一番強かった?気もする。魔石も少しだけ大きかった。
「ソロで倒せるモンスターをわざわざ二人で殺る意味有る?」
「只殺せば良いって訳じゃないさ」
遂にデスファングボアが完全に姿を現す。しかし突進するのを止めていた。自分の姿を見て慌てふためいて逃げ出さない人間二人に少し警戒したのだろう。だが向こうも逃げ出さない所を見ると、自分が勝つと思っているのだろう。油断や慢心ではあるまい。生物としての強度では、クートやレナは今まで彼が屠って来た人間達と大差無いのだから。
「体を穴だらけにすんなよ?」
「えー」
一触即発の空気の中、クートがレナに念押しする。
「毛皮と牙、魔石も綺麗な状態で手に入れる事。其れが今回のクエストクリア条件だ」
殺すだけなら簡単だ。だが其れでは意味が無い。クエスト依頼を完璧にこなす。其れがEランク冒険者に求められる資質なのだから。
(*´ω`*)クートはレナの顔と体は好きだけど性格は苦手です。レナはクートの性格が今一掴めないけど胃袋は掴まれましたし、便利そうなのでパートナーとして好きです。恋愛感情は何処に落として来たのかなコイツ等。




