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魔食晩餐〜最弱スキル食材鑑定でダンジョンサバイバル〜  作者: 猫屋犬彦
序章

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第29話

(*´ω`*)クートは見慣れぬ土地で猫を被ってたり、年上や初対面には礼儀正しいと云うか他人行儀です。なので距離感バグってるワンコ系レナだと口調が素になります。じゃねぇよ。うるせぇな。黙れ、とか。友達にはそんな感じですね。

「え!?模擬戦受けてくれるんっ!?」


 レナが驚きと喜びの叫びを上げる。とうとうクートが折れたからだ。


「一回だけな」


 一晩過ごし少し情が移ったのも有る。それにレナは竹を割った様なサッパリした気性だ。クートとは正反対である。クートは外面は爽やかで人当たりは良いが、中身はドロリとしている。その自覚は有る。

 レナは好戦的で辟易するが好感を持てる性格だ。見た目も良い。背は女としては高過ぎるが顔も良くスタイルも良い。嫌いになるのは難しいだろう。

 昨夜はレナの寝顔を見ながら色々考えた。深夜から朝方に掛けてはクートが眠った。目覚めた時にはしっかり火の番をしてくれていた。

 誰かの側でゆっくり眠るのは久しぶりだったかも知れない。女と寝る時は先に女の方がダウンするし、女が目覚める前にクートが起きる。


(殺す気なら殺されてた⋯)


 クートはレナの様に瞬時に目覚められたか自信が無い。レナが殺す気なら昨晩殺されていた。勿論レナにクートを殺す理由等無い。だが理由が無いから殺されない訳じゃない。其れが此の世界だ。昨夜クートは一度死んだ。そう思えば模擬戦の一つくらいしてやっても良いだろう。


「おおっ!じゃぁ早速今から――」

「阿呆」

「きゃんっ!?」


 喜び勇んで叫び出すレナのおでこをお玉で軽く小突く。


「今やって怪我したらどうすんだよ?クエストの後な。そもそも目的を忘れんなよ?」

「うに」


 変な声で返事をするレナ。


「パーティーを組んで一定の成果を上げる。それで俺もレナもEランク冒険者に上がれる、此処までは良いな?」

「そだね。そう云う話だよね」


 他にどんな話が有ると云うのか。クートは嘆息混じりに条件を伝える。


「クエスト完了後、町に帰って体調を回復させて疲労も怪我も無い状態での模擬戦ならオーケーだ。立会人はギルドの教官。怪我したら即終了して教会にて治癒。治癒魔法への寄付金は折半」

「なんか細かいなぁ」

「それで飲めないなら無しだぞ?」

「解った、それで良い」


 漸く話が纏まる。


「ならば戦ろう。但し、怪我しても恨みっこ無しだ」

「もっちろんだね」

「⋯しかし只やるのもつまらないな」


 了承はしたもののモチベーションが上がらない。クートはレナの様な戦闘民族じゃないのだ。勝った時に何かご褒美が欲しい。


「じゃぁさじゃぁさ!負けた方が勝った方の言う事を一つだけ何でも聞くってのは?」

「オーケー、其れで行こう」


 戦るからには勝つつもりだ。相手が戦闘職だろうと槍術スキルだろうと負ける気は無い。負けたくない。


「何か俺にして欲しい事は有るか?逆に俺がレナに勝ったら⋯」

「私が勝ったら私と組んで」

「え?それ約束と違くない?」


 レナもソロでやっていた。後腐れ無く別れられるからバディを組んだのだ。それを反故にするのは流石に無しだろう。訝しむクートにレナはニンマリとした笑顔で応えて来る。


「クートの御飯美味しいし。後色々やってくれて助かるから。クートとなら組んでも良いかも」

「俺はお前の世話係じゃねぇーよ」


 二人は今日中にはクエスト依頼のモンスターの棲息地に到着するだろう。しかしレナ一人だったらこんなに順調に辿り着けたか怪しい。

 数有るクエストから今の二人に攻略可能なクエストの選択。地図を読んでのルート構築。お互いの戦力に依る計画立案。日数計算から必要な道具や食材の調達。報酬分配に関する契約。全部クートがやった。ギルドで出会ってパーティー結成後速攻でクエストを受諾、歩きながら話しながら買い物をしてその足で出発。クートの段取りは理想的でレナとしては楽な事此の上無かった。レナ自身は、目的地に着いて目当てのモンスターを見つけたら暴れるだけで良いのだから。

 レナは仲間等煩わしいと思っていた。しかしクートにおんぶに抱っこする関係なら悪くない。


「絶対嫌なんだが?」

「えーじゃぁ結婚して?」

「もっと嫌だ」


 そして何より昨晩と今朝のシチューでレナは胃袋を掴まれてしまった。即席で作った野外の冒険者飯で此の美味しさなのだ。町で、ちゃんとした環境で作ったならどんな美味しい物が食べられるのだろうか。


「私、クートの御飯なら毎日食べたい!」

「其れは嬉しいが却下だ」

「一緒に冒険者やれば良いじゃん」


 家でもクエスト先でも美味しい御飯が食べられる。クエストをする上での雑事や面倒事は丸投げ出来る。レナにとっては最高のパートナーだ。


「悪ぃな。結婚相手は料理上手で小柄な女の子と決めてんだ」

「ガーン。寝てる私のおっぱい見てた癖に」

「本当に熟睡してんのか胸の動きを見てただけだ。今更お前の胸ぐらいで興奮しねぇよ」

「この女誑しのスケコマシー!」

「喧嘩売ってんのか?」

「買ってくれんの?」

「もう飯作んねーぞ」

「ごめんなさいゆるして」


 料理を出来るかの話になった時、クートはレナの話を聞いて諦めた。レナの料理の腕は下手以前だった。なんでも以前、引っこ抜いた野菜らしき何かと、仕留めた兎の肉を下処理せずに火で焼いて食べたらしい。ワイルド過ぎる。しかしお腹は大丈夫だったそうだ。

 それを聞いて食事はクートが全部作る事に決めた。目的地に着く前に腹を壊したら堪らないからだ。勿論報酬分配の目安にはさせて貰うつもりだ。


(まぁ雑事雑用の貢献度は俺のが高いが、危険な前衛を任せる以上、レナの方が報酬の取り分は多くなるけどな⋯)


 クートは真っ平御免だが、客観的に見れば役割分担として悪くない。レナに雑用をやらせたり頭を使わせると恐らくパフォーマンスが落ちる。美味しい御飯を食べさせ楽をさせてご機嫌にした状態でモンスターにぶつける。其れがレナのベストな運用方法だろう。⋯クートは真っ平御免だが。


「解ったよ。俺が負けたらパーティーを組んでやる」

「いえーい!ヤッター!」

「もう勝った気かよ?」

(まぁもし負けても、適当な期間組んで解散すりゃいいさ)


 屑な予防線を張るクートである。それにレナがその気ならクートにも考えが有る。


「なら俺が勝ったら⋯」

「クートが勝ったら?」


 此れ一択しかないだろう。クートはレナの体に興味が湧いていた。槍術スキルの戦闘職、その恵体を―――


「抱かせろ」

「へぇ〜やっぱ噂通りだね。良いよー」

「良いのかよ」


 レナがアッサリ承諾したのでカチンと来るクート。勝てると侮られた気がしたからだ。


「舐めやがって。⋯てかどんな噂だよ」

「年上の女冒険者を弄んだとか」 

「ハーニャとはいずれ組むよ。今はランクが違うから組んでないだけだ。だから弄んではいない」

「まさか組んだ相手全員と寝るつもり?」

「うーん?そんなつもりは⋯無い、かな」


 どうだろうか?衝動が抑えられない時には女を抱いて処理したい。結果的に寝るかも知れない。


「ルカとも寝たらしいじゃん」

「まぁね」

(ルカ知ってんのか?そういや同期だったな俺達)


 結構知られているのがなんか嫌だと思うが、無理も無い話である。二人と寝た直後に冒険者ギルドでイチャついていたクートが悪い。


「そうだよ。俺はレナも味見したい」


 それぐらいの報酬が無いと戦う気が起きない。レナとパーティーを組むなんて悪夢も嫌だが、ネガティブなモチベーションだけではやる気が保たない。


「はは、ヤってみなよ」


 立ち上がり、愛槍をぶん回すレナ。風圧がクートの髪を撫でる。


「何時でも良いよ。来な」


 獰猛に微笑む長身の美少女。そして話を聞かない。


「うん、だからクエストの後な」

「ちぇー」


 そうして二人はクエストに向かう。Eランク昇格を目指し、仕方無く組んだ即席のバディ。お互い下心を抱きながら。


「クート」

「何?」

「なんでもなーい」

「あ、そ」


 レナはクートを計りかねていた。クートは弱い。自分よりも、他の同期の戦闘職よりも。だが気配は独特だ。油断すると寝首を掛かれかねない気がする。寝てる時に近付かれただけで飛び起きた。本能が警戒心を剥き出しにしてレナの脳を叩き起こしたのだ。


(私をどう見てる?)


 自分を見つめるクートの視線に背筋が寒くなった。そう、偶にクートの目がとても冷たくなる。まるで此方をじっくり品定めしてる様な視線だ。鑑定職独自のものなのだろうか?でも彼のスキルは食材鑑定だ。まさか―――


(私を食材として見ている訳は⋯無いよね。無い無い。気の所為だ)


 噂のクートと戦える胸の高鳴りとは別に、背筋を走る寒気の様なものを感じ、レナの体は震える。其れは果たして武者震いだったのかは⋯今は誰にも解らない。

(*´ω`*)若く健康的で才能の有る女の子。きっと良い味でしょう。食材的に―――

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