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魔食晩餐〜最弱スキル食材鑑定でダンジョンサバイバル〜  作者: 猫屋犬彦
序章

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第26話

(*´ω`*)リコちゃんお久しぶり〜

「パーティーメンバーを募集したいです」

 

 コボルトの魔石を納品したその足でパーティーメンバー募集に名乗りを上げるクート。

 あれからコボルトの出る森に潜伏して計二十体以上は仕留めた。拍子抜けしたのは、最初の群れのデカい個体が一番強かった事だ。

 コボルトは犬面なだけあり鼻が利く。最初の頃は血の匂いからクートに引き寄せられたコボルト達。しかし同族の血と死の匂いを撒き散らすクートを危険と判断した者達が彼を避ける様になる。あの森ではもうクートはコボルトにエンカウント出来ないだろう。引き上げる最後の日には一体も遭遇しなかった。遠目にコボルトを見た様な気もするが、直ぐ逃げて行ったので良く解らない。


「ええと⋯それでは此処にパーティーメンバー募集の要望内容をお願いします」

「はい」


 受付嬢の言う通りに必要事項を書く。ついでに同じくパーティーメンバーを募集してる冒険者達を調べてみる。


「あぁ、やっぱ無理かぁ」


 前衛戦闘職募集、後衛戦闘職募集、治癒魔法使い募集、魔法職募集、Eランク以下お断り、Cランク以上限定等々。どれもクートでは無理なものばかりだ。それに何とかパーティーメンバーに加わってもお互いに旨味が無い。

 Fランクで、しかもソロでやっているクートの様な者を受け入れてくれそうなパーティーが無い。


「俺も欲しいのは戦闘職の前衛と後衛⋯まぁ欲しいのは前衛だけど。魔法使いは⋯良く解らないんだよね」


 魔法使いの使う魔法は一度見てみたい。町の大広場とかで偶に魔法で大道芸を行う者達も居る。だが本格的な戦闘用攻撃魔法を肉眼で見た事が無い。しかし魔法使いは引く手数多なので、クートの出す様な募集に応募はしないだろう。


「まぁ気長に待つかぁ」


 最悪ルカかハーニャで手を打とう。そんな風に半分諦めるクートである。その間は少しのんびりしようと思う。


「クー兄、クー兄、あっち。今度はあっち行こう!」

「はいはい」


 リコがニコニコしながらクートにベッタリしている。最近はクエストに出掛ける頻度が上がり、レンダの宿屋の手伝いは余りしなくなった。稼いだ分余計に支払おうとしたら丁重に断られた。

 日頃の恩返しに今日一日は宿屋を手伝おうとしたら、買い出しついでにリコと遊んで来て欲しいと言われたのだ。今はリコと手を繋いで市場を歩いている。


「ふふっ!デートだねっ!」

「うん、次は何処に行きたい?」

「えーと⋯お買い物っ!は、終わったから⋯」


 クートの手には彼が選んだ良質の食材が有る。今日の買い出しはもう此れで十分だろう。


「クー兄が何時も行ってる所が良いっ!」

「何時もか⋯」


 町に来て大分経つが、冒険者ギルドと宿屋ぐらいしか行ってない。劇場や賭場等も行った事が無い。

 シャロンの働く酒場は未だ開店前だし子供を連れて行く様な場所ではない。


「あ、有った」


 一つだけ有った。クートの行き付けの店が。


「それで俺の店かよ。もう少し遊べ」

「親方の店面白いですよ?」


 十歳の女の子と連れ立って現れたクートに呆れた表情で返す親方。


「へぇ〜ここが武器屋さんかぁ〜」

「厳密には違うが⋯まぁいいさ」


 親方が店に出す物は生活用品も多い。実際リコも包丁や鍋等を物色し始める。やはり剣とかには余り興味が湧かないらしい。クートも折角なので新しい武器を探してみる。


「何此れ?」


 また不思議な物を見つけた。ウルミ以上にどう使うのか解らない。だが解る。此れは武器だ。他者の命を奪える武器だ。


「⋯其れも買うのか?」


 親方が眉をピクリと動かす。


「此れ、どうやって使うの?」

「前に言ったウルミ使いが使ってたんだ。そいつも俺の物真似品だよ⋯名前は確か―――」


 クートは其れを購入した。次のクエストで早速使ってみよう。


「所であのお嬢ちゃんは妹か?まさかお前のコレか?」


 親方が小指を立てて来る。


「お世話になってる宿屋の娘さんだよ」

「デート中なのっ!」

「そうかい。まぁ好きに見てきな」


 リコには少し声が柔らかくなる親方。


「此の包丁貰うよ」


 クートはリコが見つめていた包丁を買う事にする。普段使いには少し高いがまぁ良いだろう。


「はい、リコ」

「ありがとうっ!クー兄っ!これで美味しいもの作るねっ!」


 ピカピカの刃物を持って花が咲く様に微笑むリコ。


「⋯お前、其れで刺されんようにな?俺の打った包丁で人死には勘弁だぞ?」

「ははは、親方は冗談が上手いなぁ」

「お前⋯いや、いい」


 親方の店には他の冒険者も来る。それとなくクートの事を訊いたらとんでもない話を聞いた。割と女を取っ替え引っ替えしてるらしい。クエスト中に不慮の事故に巻き込まれないか心配だ。其れに凄腕の冒険者が痴情の縺れで女に刺されてアッサリ死ぬ事も、偶に有る。


「えへへ、クー兄から買ってもらっちゃった!大切にするね!」

「うん。親方の腕は良いから、指を切らない様に気を付けてね」


 その日は宿屋に帰り、夕餉の時間の配膳の手伝い、明日の仕込みの手伝いをした。レンダは申し訳無さそうにしたが、気にしないでと伝えた。


「此処は俺の第二の実家みたいな物ですから」

「アンタ⋯いや、そう言ってくれるのは嬉しいけどさ」


 レンダは困った様に笑う。照れているのだろう。


「うんっ!クー兄が本当のお兄ちゃんならなぁ」

「⋯リコ。アンタ兄妹だと結婚出来ないよ?」

「兄妹じゃなくて良かった〜」

「?」


 良く解らない内容の会話も聴こえた気がしたが、久しぶりにリフレッシュ出来た。命の遣り取りの無い日常、レンダリコ母娘との時間は息抜きには丁度良い。


「クートさん」

 

 翌日冒険者ギルドに行くと受付嬢が声を掛けて来た。カヤルは最近見ない。顔も声も段々忘れそうになる。


「やぁ私はレナ。クートと同期、同い年だよ」

「クートだ。同期なんだ?宜しくね、レナ」


 なんと、クートのパーティーメンバー募集に応募者が来たのだ。

 そして丁度その人物がギルド内に居たので顔合わせを行う事にする。

 カウンターからずれ、壁際にて挨拶を交わす。

 背の高い女だった。クートよりも、ハーニャよりも高い。しかも同年代だ。此れからきっともっと大きくなるだろう。正に恵体。


「固有スキルは槍術。槍士って所かな」

「槍使い」


 クートの劣等感が刺激される。戦闘職。そして肉体スペックも上だ。成長性将来性もずっと上だ。生物として明らかに格上の、女。


「まぁそうだろね。槍持ってるもん」

「へへ、良いだろ?ちょっと高いの買ったんだ〜⋯お陰で素寒貧だけども」

 

 レナは手に持った槍を軽く上下する。新米が持つには少々良い物なのだろう。前衛の戦闘職。正に冒険者の花形だ。クートとは違う本物の戦闘職。更に彼の劣等感が刺激される。折角来てくれた相手なのに、昏い感情が顔を出し始める。

 

(苛々するな)

「俺はクート、スキルは食材鑑定」

「知ってる」


 含む様な言い方が気になったが、無視する。


「何故俺とパーティー組む事にしたんだ?」

「私の希望と合ってたからさ」


 クートのパーティーメンバー募集条件は少し変わっていた。

 規則として一応二人からパーティーと認められる。広義では一人でもパーティーであるし、登録も可能だ。だがEランク昇格へのミッションは、コミュニケーション能力や協調性を調べる為のパーティー結成である。本当は三人以上が望ましいが、二人でも可だ。

 クートの求めたのは一名。

 求める人材は前衛の戦闘職。

 更に結成条件は⋯


「Eランク昇格目的のFランク冒険者で⋯」

「Eランク昇格後、速やかにパーティーを解散する」


 お互い見つめ合い握手を交わす。此処にEランク昇格を目指す即席パーティーが結成されたのだった。

(*´ω`*)槍使いレナ、登場。作中のクートの『(苛々するな)』は『コイツ見てると苛々すっぞこの野郎』と『折角来てくれたんだから苛々するなよ俺』の二通り取れる様にしてます。お好きな方で捉えてくだしゃい。

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