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魔食晩餐〜最弱スキル食材鑑定でダンジョンサバイバル〜  作者: 猫屋犬彦
序章

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第14話

(*´ω`*)ルカちゃんはヒロインなのかな?ヒロインかも?どうなの?

「ふむふむ」


 新装備である手斧を振り回すクート。武器屋で少し悩んで結局、手斧を選んだのだ。

 ナイフより重いが、長剣や槍より重心が安定している。持て余す事は無いだろう。

 故郷に居た時に薪割りとかで手斧の扱いには慣れている。値段も手頃である。いざと云う時はぶん投げて攻撃も出来る。


「こっちかな?」


 何時もゴブリンを狩っていた森とは違う方向へ向かう。水場を抜けて草原に辿り着く。


「居た」


 早速オークを見つけた。手に棍棒を持ち草原をのしのしと歩いている。他に仲間は見えない。一匹だけだ。只此れは運が良い訳でもクートが索敵に優れている訳でも無い。


「地図の情報通りだな」


 モンスターエンカウントマップのお陰である。

 確度の高い情報を冒険者ギルドが買い取り、地図にして販売しているのだ。

 レアモンスターのエンカウントマップは高額で取り引きされているが、ゴブリンやオーク等の低レアモンスターの出没情報なら安価で入手出来る。


「マッピング⋯探索そのもののクエストか」


 自分の将来や身の振り方については常に考えている。戦闘職でない以上いずれ戦闘力には限界が来る。

 仔犬の様に可愛く懐いてくれるルカも、その内必ずクートよりも強くなる。


「⋯⋯⋯良くないな」


 ルカの好意を受け取れないのは全てクートの劣等感の所為だ。恋人の真似事は出来るだろうが、いずれは劣等感から辛く当たってしまう様な気がする。

 殴る蹴るとかの暴力は振るわないだろうが、つれなくなり冷たく接してしまいそうだ。


(もしくは逆に―――)


 ルカは男勝りの女の子だったが、一度抱いてみたら完全に女になった。

 ⋯なら、あのまま溺れさせてしまえば良い。

 ⋯俺の女にしてしまえ。

 戦闘職の女を支配する征服感は堪らないだろう。

 勢いで避妊もしなかった。子供が出来てしまうかも知れない。いやいっそ子供を作って逃げれない様にしてしまえば―――


「駄目だ駄目だ」


 何を考えているのだろう?

 ルカは可愛いが、それだけだ。目的を見失うな。女に現を抜かしている場合ではない。

 クートの中にも純粋にルカを想う気持ちも有る。しかしそれを上回るのは、食材鑑定と云う弱小スキルへの劣等感だ。

 ルカの純粋な眼差しを思い出し少し苛つく。助けた事も抱いた事も後悔しそうになる。


(よそう。雑念を持ってると死ぬぞ)


 クートは心を鎮め無表情になる。気配を消して草原を進む。其処まで背の高くない草だったが、まだ背が高くないクートが腰を曲げれば十分に隠れられる。

 そうしてクートはジリジリと獲物へと近付いて行くのだった。


「あ、当たった」


 ルカが戸惑いながら呟く。短弓を射てみているが、今の所百発百中だ。


「よし、じゃぁ次はこうだ」

「わわわっ!?ちょっ!?待っ!?」


 教官が的が描いてある木片を空中に投げる。

 ルカは慌てて矢を継いで射る。カコンカコンと的の中心を矢が射抜く。地面に転がった的を拾い教官が呟く。


「うん、筋が良いね」


 動く的にもちゃんと当てられている。目が良いのだろう。


「はぁ、はぁ、あ、ありがとぉ、ございま、すっ⋯はぁっ⋯はぁ」


 ルカは震える腕で弓を構える。


「!?痛っ⋯」

「問題は体力と腕力かね。先ずはたくさん食べて筋肉付けな」


 連射すると直ぐに腕に力が入らなくなり息も上がってしまう。此れでは実戦では使い物にならない。


「で、あの子と何処まで行ってるの」

「ぶほっ!?」


 教官と休憩しながら昼食を取っていたら突然ぶっ込まれた。水を吹き出し咽てしまうルカ。


「えぇと、別にクートとは」

「森へ行って朝帰り」

「うっ」

「彼氏の服を来て帰還」

「ううっ⋯」

「ずっと手を繋いで歩いてて何も無いは無いんじゃない?」

「あうう⋯」


 赤面したまま俯くルカ。スラム街の男友達とかとクートは全然違った。独り立ちして冒険者をしている同い年の少年。最初はいけ好かないスカした奴かと思ってた。何度か見かけたが初めて会話した以降は無視した。向こうも無視した。と云うか多分眼中に無かったろう。


(でも助けてくれた)


 あのままならゴブリンに犯されて殺されていた筈だ。


(凄く優しいもん。そりゃ好きになっちゃうだろ)


 クートは優しいしたくさん気を遣ってくれる。お金で釣られてるつもりも無い。しかしクートだって決して裕福ではないだろう。それでもルカにお金を掛けてくれている。きっとそれは自分を憎からず思っているからに違い無い。

 ルカはクートがたくさんプレゼントをくれる事で好感度を上げていた。

 しかしそれはクートが折角の戦闘職を埋もれさせない為の措置だとは知らない。クート自身も自覚が無い。ルカを抱いて元気付けたのは有能な冒険者を脱落させない為だ。

 しかし、戦闘職への劣等感も有る。

 歪んだ愛憎の結果がルカへの手厚い支援となっていた。

 だが初めてシてから特に体を求められておらず、大切にされている実感を得ているルカ。

 贈り物の代わりに毎回抱かれていたら少し認識が違っていたかも知れない。

 しかし今のルカはクートのパートナーとして立派な冒険者となるべく奮闘中であった。


「で、どうなのよ」

「や、優しくしてくれた⋯ました」

(其処までは訊いてなかったんだけど)


 真っ赤な顔で告げるルカに教官がはしゃぐ。


「ピューッ。可愛い顔してやるじゃん」


 ギルド内でもクートは有名だ。こんな小さな町では有望な新人冒険者は直ぐに名が知れ渡る。実は水面下ではクートのスカウトの話はすでに出ている。Eランクへ昇格すれば直ぐにでも声が掛かるだろう。

 まだ女の子みたいな顔と体付きをしているが、立派な男だったらしい。

 ルカがギルドにちゃんと報告したので、クートはルカを救った分もポイント加算されている。Eランクまでのロードマップは一歩前進している。


「あーあー、でもカヤルは可哀想に」

「え?」


 教官はカヤルとも付き合いが長い。予定外に子供が出来てしまい半引退してからは疎遠になっているが、以前は飲み友でもあった。

 今度、自棄酒に付き合ってやらないとならないかも知れない。なんなら男を紹介してやろう。


「いやいや、なんでもないよ。こう云うのは早い者勝ちだからねぇ」


 教官は惚けて空を見上げる。


「さて、噂の彼は順調に狩れてるかねぇ」


 見上げた先、続く同じ空の下、とある草原にて死闘が起こっていた。

 オーク等は雑魚モンスターだろう。Eランク冒険者なら敵ではない。しかしクートはFランク。つい最近までGだった。しかも非戦闘職。本来なら単騎で挑めば死すら有り得る。

 だが―――


「ブギィィィィィィィィィィッ!」


 抉られた片目を抑えながらオークが棍棒を振るう。スピードも遅く遠近感が狂った状態では敵に当たらない。


「―――っと!」


 風切り音を上げて鈍器が頭の横を通り過ぎる。直撃すれば絶命は必至だ。相手は雑魚、自分も雑魚。だが間違い無く此れは死闘だ。敗けた方は死ぬのだから。


「ははっ!」


 クートはしゃがみ込み、オークの膝裏にナイフを刺し込む。堪らず膝を屈するオーク。それでも身長はクートより高い。


「ああ、丁度良いな。そのぐらいが良い」


 クートが手斧を振り上げる。薪割りの要領で振り下ろす。


「ブギャァァァァァァァァァァッ!?」


 頭蓋骨で刃が滑る。上手くかち割れない。ならば何度でもやるだけだ。


「動かないでよ」


 クートはナイフをオークのもう一つの眼窩に突き刺す。人間よりも大きい頭蓋骨だと脳まで到達しない。だが視界は奪えた。


「よいしょ」


 ガンガンと頭に手斧を振り下ろす。暫くするとオークは動かなくなった。頭蓋骨から脳髄が溢れる。


「分厚いなぁ。まぁやるしかないけど」


 クートはオークの胴体をナイフで切り開き魔石をゲットする。小粒だがゴブリンよりは大きい。魔石の判別等クートには出来ないが、魔石鑑定スキル持ちならどのモンスターの魔石かは一目で解るらしい。


「ノルマ達成」


 血塗れになったクートはナイフと手斧を両手に構え油断無く構える。


「ブギッ、ブギッ」


 風下だからか匂いは向こうに行っていない。仲間か家族か番か。雰囲気から今仕留めたオークを探す様に別の個体が現れた。


「まだ殺せる」


 クートは草原に身を潜める。


「ブギャァッ!?」


 頭をかち割られ脳髄を垂れ流し、腹を掻っ捌かれて魔石を抜かれた仲間の死体を目にしたオークが騒ぐ。クートは忍び寄りオークの背中に駆け上がる。首に手を回しナイフを逆手に構える。


「死んで」


 ナイフを眼窩に突き立てる。此処までは同じ。なら後は先程と同じ様な作業をするだけだ。  


「俺の為に」


 ナイフを引き抜くと先端に眼球が着いて来た。そのまま引っ張り視神経を引き千切る。


「死ね」


 死闘は続く。敗けた方が死に、勝った方が生き残るだけの、弱肉強食の世界が其処には有った。

(*´ω`*)クート君は職業バーサーカーかバーバリアンかな?攻撃魔法使えないから肉弾戦オンリーですね。今は⋯

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