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魔食晩餐〜最弱スキル食材鑑定でダンジョンサバイバル〜  作者: 猫屋犬彦
序章

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第9話

(*´∀`*)おぱようございみゃす!

「お願いしますっ!」


 クートは元気良くゴブリンの魔石を並べる。小粒だが魔石が十五個だ。初モンスター討伐クエストとしては上々の出来であろう。


「⋯はい、確かに確認しました」


 カヤルが張り付いた笑みで魔石を数える。


「余剰分は買い取りで宜しいですか?」

「はい、有り難う御座いますっ!」

「ではその様に手続き致しますね」


 報酬を受け取る。ゴブリン討伐ぐらいの少額報酬なら即日日払いだ。もっとクエストランクが上がればギルド口座への後日振り込みとなる。

 冒険者ギルド銀行口座は冒険者登録した者なら誰でも開設可能であるが、クートはまだ開設していない。


「あの」

「何か御用でしょうか?」


 カヤルに恐る恐る問い掛ける。


「怒ってます?」

「⋯⋯⋯」


 にっこぉぉぉ〜と笑うカヤルと怒る姉の姿が被る。


「今度御馳走しますから」

「今度?」


 カヤルの張り付いた笑みがピクリと動く。


「今夜は宿屋の仕事が有るので」

「そうですか」


 嘘ではない。今夜は宿屋で仕事をし、その後ちょっとしたお祝いをするのだ。Fランク昇格と初モンスター討伐クエスト達成のお祝いである。

 レンダとリコはモンスター討伐に向かうクートを心配してくれたが、御馳走を用意して待っていると言ってくれた。早く帰って報告したい。


(ゴブリン倒したぐらいでお祝いなんて⋯いや、厚意はちゃんと受けよう)


 クートは大袈裟だなぁと考えるが、実はそうでもない。有望な新人冒険者が初モンスター討伐クエストで死亡するケースは彼が思ってるより多い。

 それも戦闘職や魔法職の者達が大半だ。彼等彼女等は才能に溢れており、それに溺れてしまう。

 ゴブリン等雑魚モンスター。その油断が命取りとなる。

 今回クートは十五匹のゴブリンを仕留めたが、作戦が嵌った事が大きい。

 勇敢な槍術スキル持ちの若者が単身ゴブリンの巣穴に突撃、落とし穴に落ちて奪われた槍で突き殺される。そんなパターンも有る。

 クートの卑屈さと劣等感が慢心を防いでいた。自分は戦闘職ではない。その意識が戦闘への用意周到さに繋がっていた。

 食材鑑定等と云う非戦闘職なんかより、剣術や槍術スキル持ちはきっとゴブリンを二十三十と倒すに違いないと、盲目的に信じていた。


「解りました。そちらの指名クエストも、受注して頂きますね?キャンセル不可ですよ?」

「はは、は」


 少し機嫌が良くなったカヤルに愛想笑いを返すクート。冒険者ギルドの受付嬢が何故モンスター討伐した事で不機嫌になったのか理解が出来ないからだ。


「師匠ー」


 カヤルとデートの約束を取り付けさせられた後、宿屋に帰る前に師匠が良く昼寝してる辺りに行く。


「師匠ぉ〜〜〜⋯あれ?何処行っちゃったんだろ?」


 そもそも何をしてる人なのかすら把握してない。

 居る時も有れば居ない時も有る。


「報告したかったんだけどな」


 本格的にソロでモンスターを倒すのは完全初心者。そんな自分が怪我も無くゴブリン十五体を殺せたのは師匠のお陰である。

 クートは師匠に報告出来なかった事を残念に思いながら宿屋に帰る。


「クー兄っ!」

「ごふっ!?」


 宿屋の有る通りの一つ前で、リコの突撃を受ける。皮肉にも本日一番痛かったのはリコの頭突きであった。


「大丈夫っ!?怪我してないっ!?」

「大丈夫だよ」

(お腹痛い)


 ギュッと抱き着き上目遣いで見つめて来るリコの頭を撫でる。目に涙を溜め潤んでいる。


(気持ちは解るけど、こればっかりはな⋯)


 リコの父親でありレンダの夫はモンスターに襲われ亡くなったらしい。冒険者ではなかったらしいが、戦闘職持ちの商人だったそうな。

 今の宿屋はその亡くなった旦那さんの遺産で建てた物らしい。小さい宿屋ながら母子家庭で細々と続けていられるのは借金も無く宿屋を建設出来たからだ。


「良かったよ⋯お帰り。クー坊」

「ただいま、レンダさん」


 レンダもホッと息を吐き肩を叩いてくれる。その日は一階の酒場は臨時休業となった。レンダとリコと三人で食事を楽しんだ。


「要らないよ。貯えておきな」


 今日得た報酬は薬草採取よりも良かったので、お礼としてレンダに渡そうとしたが断られた。


「じゃぁ明日お出掛けしよっか」

「クー兄本当っ!?」


 それならリコに何か買って上げようと思い立つ。


「デートだデートっ!」

「まぁ買い出しついでになるけど」

「仕方無い子だね」


 クートと出掛ける事になり興奮するリコを宥める。

 満腹になったらぐっすりと眠れた。流石に疲労していたらしい。


「師匠」


 朝早く訓練がてら師匠を探してみる。

 木漏れ日の中、樹上で揺れるフサフサの金色の耳と尻尾を探すが見つからない。


「何処に行ったんだろう」


 宿屋に戻り朝の仕込みを手伝う。その後はリコと二人で買い出しへ。リコはクートの手をギュッと握り、楽しそうに買い出しを楽しんでいた。


「えへへ、似合う?」

「凄く似合うよ。可愛い」


 露店で売っていた安物の髪飾りを買って上げた。花が開く様に笑うリコの頭を撫でてやる。


「クー兄大好きっ!」

「俺もだよ、リコ」


 抱き着いて来るリコと二人で食材を選び宿屋へ帰る。昼の忙しい時間帯と夕方の仕込み、夕飯時も酒場を手伝う。

 夕方の賄いを食べた後にまた走り込みと筋トレ、素振りをしつつ師匠を探す。


「何処行っちゃったんだろ?」


 飛び切り甘い桃を選りすぐって持って来たのに。クートは仕方無く桃を齧る。


「甘い」


 次の日も行ってみたが、師匠の姿は何処にも見つからなかったのであった。

(*´∀`*)師匠はふぉっくす系ケモモです。お稲荷さんとか有るのかなこの世界?

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