(2)待ち伏せ
翌日の放課後、ぼくは君鳥さんを昇降口で待ち伏せた。
上履きを靴箱に入れてスニーカーを取り出しながら、階段の方をそれとなく伺う。
君鳥さんは教室で帰り支度を終えて友達と話していたから、そろそろ来るはずだ。
スニーカーを簀の子の外の土間に置いて、もう一度階段を見る。
降りてきた3年生の男子と目が合う。
やばい! 待ち伏せしているのがばれてしまう。
《あっそうだ! 忘れ物した!》
声には出さないが、迫真の演技でぼくは再びスニーカーを靴箱に戻す。
上履きを履いてその辺を一周。
ドキドキ。ドキドキ。
胸が痛い。苦しい。もう嫌だ。
こんな苦しい思いをするんだったら君鳥さんのことを想うのなんてやめにしたい。
もう一度靴箱の所に戻ると、丁度君鳥さんが他の友人二人と一緒に階段を降りてくるところだった。
《あー、友達がいるんじゃCD渡せないよ》
ぼくは挫折しそうになる。
《でも、別に告白しようって訳じゃないし、ただCD渡すだけだし。全然普通じゃん?》
ぼくはデイパックから電気機関車のEF58とかEF64なんかが正面を向いて勢揃いしているイラストが印刷してあるぼくの大事な紙袋に入れたビートルズのCDを取り出した。




