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【揺花草子。】(日刊版:2025年)  作者: 篠木雪平
2025年09月
259/331

【揺花草子。】[#4982] スヤァ。

Bさん「『不労伏し』界のアイコン的存在と言えば

    三年寝太郎だと思うんだ。」

Aさん「『不労伏し』界と言う界隈が存在する事に疑念の余地があるし

    その象徴的な存在が三年寝太郎と言うのはどうなんだろうね?」

Cさん「だって日暮巡査は起きた時はバリバリ働くじゃない。

    『不労』の看板にはふさわしくないわよね。」

Aさん「そう言う人たちが集まる界隈なんです?」

Bさん「ところで阿部さん三年寝太郎ってどう言う話か知ってる?」

Aさん「え、どう言うって・・・。

    確かものすごい巨漢のものぐさな男が寝てる話では・・・?」

Cさん「ただ男が寝ているってだけじゃ何の物語にもならないじゃない。

    寝ているだけで何も生み出さない阿部さんが物語にならないように。」

Aさん「なんて事言ってくれてるんですか。

    ぼくの中にもぼく自身が輝くぼくだけのストーリーが

    きっとあるはずですよ。」

Bさん「あのね、寝太郎はただ寝てたわけじゃないの。

    村を悩ませる水害をどうやったら防げるだろうかと

    ずっと思案していたんだよ。

    そして3年間の熟慮の末ついに行動に起こしたと言うわけ。」

Aさん「あれ、そう言う話だった?」

Cさん「灌漑工事のような公共性の高い大規模案件は

    そりゃ3年くらい計画や設計に時間を掛けるのも頷けるわよね。

    実際寝太郎は起きたらすぐに施工に入り

    またたく間に村を救って見せたわ。

    計画に時間を掛けすぎと言う意見はあるかも知れないけれども

    最も効果が高い方法を見抜き

    また適切な工事のタイミングを掴む嗅覚は

    さすがと言わざるを得ないわ。」

Aさん「寝太郎に対してずいぶん評価高いじゃないですか。」

Bさん「そうは言うが、実は寝太郎なんてのは

    不労伏し界隈では割とひよっこです。」

Aさん「ひよっこ?」

Cさん「上には上がいると言うわけよ。

    かつて古代ギリシアに、ギリシア七賢人の1人に数えられる事もある

    クレタ島出身のエピメニデスと言う人物がいたの。」

Aさん「エピ・・・」

Bさん「家業が羊飼いだったのだと思うんだけど、

    お父さんの言いつけで逃げた羊を探しに出た中で

    暑くて洞窟の中で涼んでたら57年間も眠っちゃったと言う彼。」

Aさん「57年!!!」

Cさん「57年ってすごいわよね。

    20歳かそこらで眠り始めても起きたら後期高齢者だもの。」

Aさん「その言い方適切です?」

Bさん「その後羊をうまく使う事によってアテナイを

    疫病から救ったとかなんとか。」

Aさん「はぁ・・・。」

Bさん「何にせよ57年と言うのは凄い。

    ロングスリーパー界の旗手的存在と言えるでしょう。」

Aさん「長ければ長いほど偉いのかなあ。」


Bさん「これに勝つには

    コールドスリープしかないよね。」

Aさん「急に SF!!!!!」


 少しずつ実現の可能性も近付きつつあるとかなんとか。

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