プロローグ
まだ人間に見つかっていない『集合体』。
それは地下洞窟の奥深くで着々と戦力を蓄えていた。
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『集合体』から産卵管だけを出した『主要器官』が握り拳大の黒い卵を産み、取り込む。
『集合体』に取り込まれた卵は、やがて孵化し、歪な肉片、すなわち『兵士』となり、『集合体』の一部となる。
何度も何度も産卵と融合を繰り返し、腹が減ったら狩ってきた獲物を喰らう。
獲物が無くなれば、獲物を求めて洞窟内を渡り歩く。
こうして長い年月をかけ、生まれたての頃は三匹のオークを相手に、命からがら逃げ出すほど弱かった『集合体』は、今ではドラゴンですら逃げ出すほどの力を得た。
――そんな『集合体』に、異変が起こった。
『主要器官』が産んだ十数個の卵の中に、真紅の卵がひとつだけ含まれていたのだ。
普通、『兵士』の卵は黒色をしている。
『主要器官』の卵でさえ、二回り大きいだけで黒色をしているのには変わりない。
『医師』の卵も、大きさや模様が多少違うだけだ。
動物は、自分たちと見た目の違う生物が生まれてきた場、育児放棄や迫害が起こっても仕方がない。
しかし、『集合体』は動くのも、食べるのも、考えることでさえ、全てを『兵士』や『主要器官』などの仲間に依存している。そのため、仲間意識がとても強く、産まれた真紅の卵を捨てることはしなかった。
そして、命令をだされた『兵士』が卵を取り込み、『集合体』と融合してしまった。
取り込まれた真紅の卵は、他の卵と同じように栄養を受け取り、やがて孵化して蠢きだす。
その体は、やはり周囲の黒い個体とは異なり、血を思わせるような真紅をしていた。
真紅の卵を取り込んだことにより、今後どうなっていくのか?
それは彼女ら『集合体』や神ですら、今はわからない。
『兵士』の卵の色を白と書いていたり、黒と書いていたりしていたので、黒に統一。
他にも矛盾点ができていたので修正しました。
現在、この小説の内容を修正しています。詳しくはお知らせや活動報告をご覧ください。タイトルの後ろに(旧)と付いている部分は修正前の物です。(8/7)