ひと夏の出来事
貴方が私を綺麗と言った
だから私は貴方の前で もう少しだけ生きられる気がした
夏のはじまりのある夜に
好きとキスをくれた
貴方の前以外では 私は死んでいる
まるで蝉の抜け殻のように
あと一日 あと一日
私は生きられる
貴方は私は純粋だという
こんなに酷く汚れきっているのに
貴方は私をとても素晴らしいという
こんなにも浅ましく 罪深い人間なのに
来年の季節も 貴方の為に生きたい
夏を超えたら 秋を
秋を超えたら 冬を
冬を超えたら 春を
そうして 貴方の傍で生きていたい