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僕と彼女のある1週間

作者: 過去未来

<シンイチの日記>


日曜日


今日はカズミさんと2週間ぶりのデートだった。土曜日はカズミさんが残業だったので疲れているだろうから午後からのデートだったので時間がたつのがあっという間だった。特別なことをしたわけではないが2人でいるだけで楽しい時間が流れる感じが最高だね。新宿の高島屋と伊勢丹、丸井のハシゴでブラブラして疲れ果ててマックで夕食(笑)明日も仕事だし、俺は朝一から授業が入っているので早めにお別れをした。別れ際にチュウしようとしたが歩き過ぎて疲れている様子だったのでヤメておいた。帰ってからおやすみメールをしたが返事がなかった。もう疲れて寝てしまったのかな。来週も仕事がんばってね。おやすみ〜カズミさん。


<カズミの日記>


日曜日


昨日は友達と朝5時までカラオケをしてたから今日は一日寝てようと思ったけどシンイチとの約束があるのを寝る前に思い出してしまった。あーあ、めんどくせぇなぁ〜会ってても楽しくないし。とりあえずデパートのハシゴしてみたけどなにか買ってくれるわけでもないし、足はパンパンになるし、ロクなことないんだよな。極めつけは夕食はマックって、、、あたしをバカにしてんの?いくら学生だからって夕食マックはないでしょう。その後はムカついて口もきかないで帰ってきた。もちろんメールなんかシカトだよ。あーあ、無駄な一日を過ごした、そろそろ潮時かな、、、


<シンイチの日記>


月曜日


今日は朝一から遅刻ギリギリだった。電車が人身事故で遅れたのが原因だ。この授業は必修だから落とすわけにはいかないのでよかった。夕方まで無事に授業が終わり、夜はコンビニでバイトをして帰った。途中何度かカズミさんにメールをしてみたが返事はなく、、、仕事忙しいのかな。バイトが終わってから電話をしてみたが「今友達といるから後でかけ直すね」と言われてしまった。ちょっと寂しかったけど家に帰って寝る支度などをしながら待っていたが、12時過ぎてもかかってこなかったのでいつの間にか寝てしまった。何かあったのかなぁ、、、


<シンイチの日記>


火曜日


今日も朝一からの授業だったが電車が遅れることなく順調に動いていた。授業も問題は無かった。今日は何もないのでカズミさんと夕食でも食べにいきたいなと思ってメールしてみた。「仕事が遅くなりそうだから、今度の日曜日にしましょう」とのメール。そうだよな、仕事が第一だよな。「仕事の邪魔をしてすみません。頑張ってね」と一言いれておいた。返事は返ってこなかった。


<シンイチの日記>


水曜日


今日は朝一から体育がある日だった。今はソフトボールをやっているのでとても楽しい。みんなヘナチョコボールを投げてくるので全部ホームランになってしまう。おかげで「ドカベン」のあだ名がついてしまった。なんだかなぁ。今日は夕方からコンビニのバイトが入っていたのでガッツリかせいできた。夜カズミさんにメールをしたが返事は返ってこなかった。なんか一方通行な感じで寂しいな、、、


<カズミの日記>


木曜日


ゲッもう木曜日、月、火、水って何してたっけ??確か、、、月曜日は友達とお互いの彼氏の悪口で盛り上がってたっけ。盛り上がっている最中にシンイチから電話が来てさらにKYだったような、、、火曜日は岩盤浴でリフレッシュしたかな。昨日は、、、久しぶりの合コンで盛り上がったんだ。一人結構いい感じの人がいたからお持ち帰りされちゃったんだっけ、、、こんなことシンイチにバレたら大変だ。日記の中だけにしておこう。今日は珍しくやさしく接しておくか。


<シンイチの日記>


木曜日


今日は、、、学校はいつも通り。それよりカズミさんがすごくやさしかったのでうれしかった。メールもマメに返してくれるし夜電話も2時間も話しちゃった。お互い話し放題だから気にしないけど、、、日曜日に会うのを楽しみにしてくれているから俺も楽しみだなぁ。早く日曜日にならないかなぁ。


<シンイチの日記>


金曜日


今日も学校は変わらずだった。バイトも変わらず忙しかった。ただカズミさんがまた音信不通になってしまった(悲)メールをしても、夜電話をしても出なくてまた悲しくなってしまった。でも日曜日に会うんだから我慢我慢、、、仕事お疲れ様。おやすみなさい。


<シンイチの日記>


土曜日


今日は1つしか授業がないがその授業が休講なので休みになってしまった。やることがないので久しぶりにパチンコに行ってみた。土曜日なのでかなり混んでいたがなんとか空いている席に座ってぼけーっと始めた。すると1000円で大当たり!あれよあれよという間にドル箱の山、山、山。その日そのお店で一番の稼ぎ頭になったしまった。そんなこともあるもんだ(汗)カズミさんは相変わらず返信ナシ。明日の時間だけは返信があった。夕方の5時に渋谷になった。せっかく勝ったしちょっと奮発して、、、


<カズミの日記>


土曜日、日曜日


また日記をさぼってしまったよ。金曜日・・・変化ナシ。土曜日、休みだったので一日中家でゴロゴロ。以上。ついでに日曜日の日記を書いてしまいます。シンイチと夕方からデート。またマックで食事をする。私は我慢の限界を迎えて「あんたとはもう付き合ってられない。もっとお金のある人と付き合うわ。じゃあね」と三行半をつきつけて別れる。その帰り道。とあるバーで見知らぬイケメンに誘われそのまま意気投合。その後は、、、想像におまかせします。


<そして運命の日曜日>


その日の空は午前中から曇り空で午後3時くらいから我慢できずに泣き出してしまった。シンイチは雨なのでいつもより早めに家をでた。渋谷には4時30分に到着した。シンイチは相手を待たせるのはイケナイ、自分が待つくらいがちょうどいいんだという気持ちでいるのでこれ位のウェイトはどうってことなかった。


一方カズミは4時30分にはまだ家にいた。まだ服が決まらずにモタモタしていた。「シンイチと会うんだからGパンにTシャツでいいか」と半ばヤケになって家を出て行った。渋谷までは50分かかった。


5時20分改札を出で慌てて走る演技に切り替えてカズミが息を切らして(フリ)やってきた。


「遅くなってごめんね〜」


「大丈夫だよ、そんなに待ってないから」


「すごい雨だね。早くお店に入ろうよ」


カズミはこの後マックに行くに違いないと思い左に歩きだした。


「そっちじゃないよ」


「えっ、あっそう。ごめんね」


マックとは反対方向だけど、、、カズミは不思議に思いながらシンイチの後について行った。

傘と人ごみを掻き分けながら15分ほど歩くとシンイチは一軒のお店の入口に立った。


「ここ結構雰囲気いいと思うんだけどどうかな」


古い中世風の建物はこの場所だけタイムスリップしたような錯覚を起こしそうだった。


「そうね、いいんじゃない」


シンイチにしてはなかなかいい選択ね。カズミは少し感心していた。


店の中に入ると日曜の夕方なのに人が少なかった。しかもテーブルの明かりがローソクだけだった。なんだか不気味でさえあるこの雰囲気に二人は飲み込まれそうになった。入口の近くに案内された二人は黙ってメニューを見ていた。メニューはごく普通のラインアップであった。


「何にする」


「じゃあ、このワインにしようかな、食事はこれで」


「OK、俺も同じでいくよ」


店内が空いているせいか、ワインも食事も出てくるスピードが速かった。二人は黙々と食事をしていた。しばらくするとシンイチが話し始めた。


「カズミさんこのごろ忙しくて大変でしょう。日頃の疲れをこれで取ってもらおうと思ってプレゼントを用意したんだ」


そういうとシンイチは大きなプレゼントの入った紙袋を取り出してカズミに渡した。


「えっ、これ何?」


「いいから開けてみてよ」


「うっうん」


カズミはなぜかシンイチの言うがままに必死になってその袋を開けた。中から高級そうなバックがでてきた。


「こっこれ、、、」


「カズミさんが前から欲しがってたブランド物のバックだよ」


「うれしい。ありがとう、シンイチくん、、、私、わたし、、、」


カズミは言葉にならずに泣いてしまった。


「なんで泣いてるの?欲しかったものでしょう?」


「嬉しくて思わず泣いちゃった」


「ホント?よかったぁ、よろこんでくれて」


カズミは別れようとしたことをすっかり忘れてしまった。完全にモノにつられてしまった。


「シンイチくん大好きだよ」


「僕もカズミさんのこと好きだよ」


この日の夜は二人は久しぶりに大人の夜を過ごしたのであった。


この日で別れようとしたカズミ、それに気づかずにカズミのためにプレゼントを買ったシンイチ。別れそうであと一歩のところで踏みとどまった二人。こんなカップルが世の中にはたくさんいるのではないですか?


ではまた(←誰?)





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― 新着の感想 ―
[一言] 初めて拝見させて頂きましたが、日記をベースにしているのは、とても斬新でした。 今回のストーリーは僕も共感しました。
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