白い
目の前に白い球体が現れた。突然だ。ノートに一瞬だけ視線を落とし再び前を向いたらそこにいたのだ。
「おや、私を観測できるのかね」
球体から声とも音ともわからぬものが響く。
「私は完璧すぎるのだ。だから観測できるものはほぼいない。誇って良いぞ」
突然の出来事すぎて私は声が出なかった。
いや、出す必要がなかったのかもしれない。
「私たちは新しい人類の形。完全であるが故に完全なものにしか観測されない。だから誇っていい、そして今日から君も完全な球体に成るのだよ」
「君はなにを言って」
やっと声を出せた僕の体はすでに白い球体であった。どうやってみているのかわからないし、どうやって声を出したのかもわからない。
「いや、君はわかるはずだよ。なんたってもう完全完璧なのだから」
ああ、そうか。
完璧であるが故に僕は僕自身がわからない。わからないということがわかる。わかり得ないから完璧なのだ。
その日から僕は完全な白い球体になった。
テーマは完全に白い球体……頂いた瞬間に記憶が飛んだのはいい思い出です。調べましたが結局その正体はつかめませんでした。