第6話 冒険者登録
すいません!予約投稿するの忘れてました!
「さて、明日は冒険者ギルドに行くか」
俺は宿屋のベットに横になりながら明日の予定を決めていた。
ちなみにイリーナ様とバルトルたち護衛騎士とは、街に着いた後に後日お礼をすることを約束させられて、この宿屋を紹介してもらってそこで別れた。
イリーナ様は今度は何も言ってこなく、すんなりと別れることが出来た。
しかし、別れ際のイリーナ様の何かを考えているような視線だけが気になった。
「まあ、それはどうせ後日会う約束してるしその時にでも分かるだろ」
俺は思考を切り替えて明日のことを考えることにする。
「先ずは、冒険者ギルドに行って冒険者に登録するのが最初だよな。でも朝一は依頼の取り合いとかで混むみたいだしゆっくり行くか」
ついに俺は明日憧れの冒険者になる。
テンプレみたいに絡んでくる質の悪い冒険者がいるかもしれないから気を付けるつもりだ。
流石に殆ど可能性としてはないと思っているが、この今の体の容姿はかなり美形だし、そもそもフリューゲルという種族自体が空飛ぶ島から出てこないみたいだから珍しさなどの様々な理由があって目立つと思うし、気を付けておいて損をすることはないだろう。
「で、その後に必要な買い物とかしなくちゃな。さすがに着の身着のままってのもあれだしな。あと念のためにも魔法が使えない場合を想定してポーションとかも買うか」
今はまだいいが、さすがに何日も同じものは着ていたくない。
浄化魔法で汚れとかは落とせるけど、心情としては普段着は別のものがいい。
ポーション類も回復や状態異常を治すのは普通なら光魔法を使えばいいけど、もしMPがきれたときとか魔法が使えない事態に陥った時のために保険として買っておく。
「ま、取りあえずこんなもんか。腹も減ってきたしそろそろ食堂に行くか」
俺は取りあえずの明日の予定を決め、夕食を取るために宿の食堂に向かった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「あ、ヘル君!ヘル君もご飯食べに来たの?」
食堂に入った俺に少女が元気よく声をかけてきた。
「レナか。その通りだから俺も飯を頼む」
俺に声をかけてきた少女の名前はレナ。
この今俺が泊まっている宿屋『黄金の小狐亭』の看板娘だ。
今も俺に声をかけながらも忙しく働いている。
「うん、今持ってくるから待っててね!」
そうしてレナは、途中他のお客の注文を取りながら厨房に向かっていった。
俺はレナが見えなくなると視線を周りの客に移した。
この宿屋は飯が美味いと評判らしくかなり混みあっている。
その中でも結構冒険者らしき人たちが多い。
明日から冒険者になるつもりの俺は、レナが飯を持ってくるまでの時間を使って情報収集をすることにした。
「なあ、ちょっといいか?」
俺は一番近くにいた冒険者に声をかけた。
「ん?なんだ坊主?」
「あんた冒険者だろ?俺は明日冒険者になるつもりだから色々と教えて貰えればと思ってな。もちろんタダでとは言わない。あんたの飲み代を俺が持つでどうだ?」
「へっ、分かってるじゃねえか。いいだろう冒険者について俺が教えてやる」
「なら頼む。俺はヘルシャフトだ」
「おう。俺はCランク冒険者のガルフだ」
俺はガルフに冒険者について聞くことになった。
もちろん知識としては知っているが、やはりそれだけで判断するのはダメだと思うのだ。
そう考え俺がガルフに早速聞こうとしたタイミングで、レナがさっき頼んだ夕飯を持ってきた。
「はい、ヘル君のご飯持ってきたよ!」
「ああ、ありがとう」
「どういたしまして!追加で何か頼みたいときは呼んでね!」
そう言ってレナは他のお客にも料理を届けにいった。
レナが持ってきた食事は、具沢山のシチューと黒パンとサラダだった。
「旨そうだな」
「ああ、ここの料理は絶品だぜ。先に食っちまいな。話はそれからだ」
「そうさせてもらう」
食欲に負けた俺はガルフが気を使ってくれたのもあり、早速食事を食べた。
「ふー、本当に旨かったな」
俺は夕飯を全て平らげて満足げに呟いた。
「だろう?それにしてもお前の食いっぷりは凄かったな!」
そんな俺にガルフが笑いながら声をかけてきた。
情報通りこの宿屋の料理は旨かった。
それを掻き込むように食べてたからな俺、それりゃあガルフが笑うわな。
「ま、お前も飯を食い終わったしそろそろ話をするとするか」
「そうだな。まあ、時間もないけど頼むな」
気持ちを切り替えて俺はガルフに質問するとした。
「おう、任せとけ。でもな、俺から見たらお前はけっこう冒険者について知ってそうなんだがな。何が聞きたいんだ?」
確かに俺は知識と知ってはいるが、ある事柄については分からないのだ。
それは―――。
「それなんだがな、俺の容姿どう思う?」
「ん?美形だな。憎らしいくらい」
「違う、種族とかそういうのを含めた見た目だ」
そうフリューゲルという種族は空飛ぶ島から殆ど出てこないから珍しい。
だから、冒険者として俺がどういう立ち位置になるのか、フリューゲルである俺を捕まえてを奴隷として売り払おうとする冒険者がいないのかを聞きたいのだ。
これだけは異世界常識全書にも載っていなく分からないのだ。
「ああ、そういうことか。フリューゲルなんて普通は見ないから目立つだろうな」
「それは分かっている。それでだ、俺を捕まえて奴隷として売り払おうとするような冒険者とかはいるのか?」
これは俺としても聞いておきたいことだ。
「そりゃいるな。同じ種族同士でも騙して奴隷として売り払うやつがいるんだから、高値で売れそうなお前に目をつける奴等はいるだろうよ」
ガルフの答えはある程度は予想していたものだった。
「やっぱりか……。分かった、聞きたかったのはこれだけだ。俺はもう部屋に戻るから飲み代はここに置いておくな。じゃあ世話になった」
聞きたいことが聞けた俺はテーブルの上に金を置き、ガルフに礼を言って部屋に戻った。
「まあ、あんましそんな奴等はいねえから気を張りすぎんなよー」
そう最後に付け足したガルフの言葉を聞きながら食堂を出た。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「ここが冒険者ギルドか」
ガルフに話を聞いてから一夜明け、俺は朝の混み合う時間帯が過ぎ去るのを待ってから冒険者ギルドに来ていた。
見た目は木造の三階建ての周りより大きな建物だった。
「ここにずっと突っ立てる訳にもいかないし、中に入るか」
そして俺は、扉を開けギルドの中に入った。
中に入った印象は役所みたいだった。
この世界の冒険者ギルドは酒場が併設されてはいないので、けっこう地球の役所そのままのイメージに思える。
俺は入ってすぐのところにある登録用の受付に向かった。
「ようこそ冒険者ギルドへ。冒険者登録をなさる方でよろしいでしょうか?」
受付に付いた俺に受付嬢が微笑みながら用件を聞いてきた。
「ああ、冒険者登録をしに来た」
「分かりました。冒険者についてのご説明などは必要でしょうか?」
「いや、大丈夫だ。早速手続きをしてもらっていい」
一応冒険者について一通り知っている俺は、説明を断って手続きをしてもらうことにした。
「では、こちらの板に手を触れて魔力を流してください。それであなたのデータがステータスプレートに記入されますので」
言われた通りに受付嬢が取り出した板に手を触れて魔力を流し込んだ。
板は数秒間光っていて、その後光は集束するように消えた。
「はい、完了ですね。ではこちらがあなたのステータスプレートになります」
そう言い受付嬢は、板の下から出てきたプレートを渡してきた。
渡されたステータスプレートには、確かに俺のステータスが表示されている。
「これって自分以外にも見えるのか?」
流石に自分のステータスが周りよりも異常だと知っている俺は、ステータスが他の誰かにも見られる可能性があるか聞いた。
「いえ、ステータスプレートは本人にしか見えない作りとなっております」
「ならいいんだ」
「他にもご質問はございますか?」
「いや、もう大丈夫」
「分かりました。それではこれで手続きは完了です。では改めて言わせてもらいます。ようこそ冒険者ギルドへ!」
この瞬間、俺はついに憧れの冒険者になったのだった。